獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

すたぽ「友岡講演2」(7)一人のおばちゃん

2023-11-07 01:01:21 | 友岡雅弥

以前、増田のおばあちゃんに関連して、有料サイト「すたぽ」の紹介をしました。
音声記録のみの【友岡講演2】ですが、これがなかなかいいんです。
友岡さんの貴重な、生の声が聴けます。

この講演の最後の方に、おそらくこの増田のおばあちゃんのことを話しているところがあります。
感動します。

というわけで、反訳をこころみましたので、かいつまんで要約をお届けしたいと思います。

 

Salt88 -【友岡講演2 7/8】 一人のおばちゃん(2021年7月30日投稿)

 


すたぽ「友岡講演2」(7)一人のおばちゃん


一人の人間の力には限りがあると言われるが、 いつも困難な時代を拓いてきたのは、一人の小さな革命である。
何者にも負けない、屈しない。
本当の力とはどこから湧き出でてくるのか?

友岡雅弥氏が所属する団体において講演された貴重な音声を8回にわたって連載させて頂きます。

今回は第7回目です。
(文章は適宜要約してあります)

ちなみに、ぼくと創価学会の一番最初の出会いというのがあります。
幼稚園の時です。
鮮明に覚えています。
うちの母親が、たまたま、本当に偶然にですけれども。
日本ではじめて戦後、知的障害者の学級をはじめたんですよ。
同時に、日本全国で何件かできたんですね。
そのうちの大阪府の第一号。
(中略)
ホントは一番ベテランの先生が行かなきゃダメですね。
一番大事な教育ですから。
そう思わなかった、文部省。
で、力もまったくないんですけど、今となったら名誉なことですけど、そういう日本で最初の知的障害者の教室に携わらせていただきました。
で、そういうふうにしているうちに結婚して、ぼくができた。
もう、すさまじい差別がありました。
今でもありますけど。
ある、おっちゃんがいました。
そのおっちゃんの言葉、そのまま言いますね。
差別的な言葉、含まれていますよ。
それを普通の言葉に直したら、おっちゃんの言葉でなくなりますから。

__お前のおかんがな、あんなあほな学級作ったんやろ。
ぼくに言うんです。そんな差別的な言葉いうんです。
__そやからな、あいつらは、今まで家の中におって、外に出てきて見苦しくてしょうがない。やめさせ、言うとけ。

ビール瓶でどつかれました。
まだここに傷、あります。
で、そんな辛い思いをしました。
その学級の父兄、差別用語すね。
その母と姉も……親御さんたち。
ほとんどは、母親だけ。
夫は逃げていってる。
無責任にも。
その当時に、そういう風な女性の働く場所っていうのは限られています。
土木作業です。
飯場(はんば)の飯炊きですね。
だから、いきおい、帰ってくるのが7時、8時。
そのお母さんたちが、お子さんたちを連れてくるまで、うちの母親が学級を開けとかんとしょうがない。
帰ってくるのが、8時、9時、10時。
で、5時か6時にご飯作りに帰ってきて、またもとに戻っていく。
そして、8時とか9時に、冷たくなったご飯を食べる。
そんとき、ぼくもおる。父親もおる。

あるときうちの母親が幼稚園の先生に呼び出された。
__友岡先生、あんたも先生しているんでしょ。お子さんにあんまりへんなこと教えないように。
何かっていうと、うちの幼稚園で、ぼくガキ大将だったんです。
悪い遊びをやってたんです。
風呂敷で覆面して、ぼく悪役。
で、みんないじめるんです。
悪役の名前を「世間仮面」。
__よお、世間は冷たいぞ。
ばん、ばん、っていじめるんです。
というのは、うちの母親が、食べながらぼやいてたんです。
__世間は冷たい。なんで、何の悪いこともしていない、あんな子どもたちをいじめんとあかんの。
世間何て、こども知りませんから、きっと世間仮面っていう悪者がおって、うちの母親と子どもたちをいじめているんだとばっかり思っていたんです。

で、あのおばちゃんにだけは頭が上がらんというおばちゃんがおった。
あのおばちゃんがいるから、自分らもいじめられてもがんばるっていう。
そういうおばちゃんが一人おりまして、そのおばちゃんは生まれてきた子ども3人全部重度の脳性小児まひ。
3人ともうちの母親の学級に入ってきました。
一人のお子さんが、脳性麻痺ですから、身体障害も伴っていますから、そのお子さんをおんぶして、一人のお子さんを乳母車にのせて、もう一人のお子さんの手を引きながら、うちの母親の学級に毎日通ってきました。
そういうおばちゃんがおりました。

そうこうしているうちに、うちの母親の学級がある学区の中学にもそういう学級ができて、その学級の担任の先生がうちの母親のところに来て、泣いていました。
__中学卒業したら行くところない。高等学校がない。就職先もない。どうしたらいいんやろう。母親も泣いていました。
__私もこれ以上、なんもできない。
そういうことが、うちの母親の、わかば学級っていうんですけど、わかば学級の父兄にも広がっていく。

それを聞いて、このおばちゃんが、頑張ろうって思ったんですね。このおばちゃんの子は小学校にいるんですよ。
毎日毎日どっか行っていました。放課後。
働きに行っているのかな、お子さん連れて。
働き行っているのとちゃう。
あるとき、旋盤の残りかす、鉄くずを頭からかぶって、
__痛いよ~
言いながら帰ってきました。
近所の町工場に行って、職を探していたんです。
あるとき、私の母親に、
__ありましたよ。マッチ箱の組み立ての仕事。
それをもらってきて、近所の納屋を改装して、大阪府で第一号の知的障害者のための作業所を、このおばちゃんが一人で作りはった。
自分のお子さんはまだ小学校ですよ。
で、そうしているうちに、あちこちの中学校でも、そういう問題が起きる。
卒業しても行かせるところがない。
そのおばちゃんは行ったんです。
見知らぬ町に行って、また頭下げて、嫌がらせされて、それでも行ったんです。
結局、4件か5件、作りました。
大阪府における知的障害者の作業所、それは私の母親ではない、小柄なおばちゃん、しかもみずからが3人の障害を持つお子さんをかかえたこのおばちゃんがやったんです。
しかし、大阪府教育委員会は認めようとしません。

 

 


解説
3人の障害を持つお子さんをかかえたこのおばちゃんが、一人で大阪府で第一号の知的障害者のための作業所を作られた、と。

すごいですね。


獅子風蓮