獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(2)

2023-11-15 01:56:25 | ガーシー

ガーシーには嫌悪感が先に立つほどだった私ですが、ガーシーのおかげで救われたという人もいたのですね。
また彼は家族思いで、母や妹には今でも慕われているようです。
ガーシーについて、好奇心がわきました。
ガーシーはどのように育ったのでしょうか。
彼なりの正義とはいったいどういうものなのでしょうか。

そこで、ガーシーの自伝的な本があるというので読んでみました。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(幻冬舎、2022.07)

かいつまんで読んでみたいと思います。

(目次)
□序章 ジョーカー誕生
□第1章 逃亡者
■第2章 しゃべりだけで成り上がる
□第3章 芸能界への扉
□第4章 アテンダーという裏稼業
□第5章 酒と女とカネと反社
□第6章 死なばもろとも
□第7章 社会の不満が生んだ怪物

 

第2章 しゃべりだけで成り上がる
■朝鮮学校の在日コリアンと襲撃合戦・リアル『パッチギ!』ワールド
■走り屋をやっていたリアル『ナニワトモアレ』
□イベントサークルで入学したての女子大生とヤリまくる
□入社3日目に車を3台売ったらブチギレた上司
□中古車のブローカーとイベント業・二足のわらじで独立
□阪神・淡路大震災によって到来した中古車市場バブル
□中古車販売で儲けたカネを裏カジノで2億円熔かす
□十三の「ヌッキーマウス」から
□西淀川警察署での手打ち式
□ヤクザになるかアナウンサーになるか
□ロンブー田村淳との初めての出会い


朝鮮学校の在日コリアンと襲撃合戦
リアル『パッチギ!』ワール

1971年10月6日、俺は兵庫県伊丹市で誕生した。実家は伊丹空港(大阪国際空 港)のすぐ近くや。
ウチの近所には、在日韓国・朝鮮人が大勢暮らすコリアンタウンがあった。今はどうか知らんが、当時の朝鮮学校のガキンチョはハンパなくガラが悪かった。日本人の不良と朝鮮学校の不良が街でかち合ったら、たちまち抗争の始まりや。服装を見りゃ、 誰が日本人で誰が朝鮮人かは一発でわかる。日本人の不良が連中に見つかると、すぐ さま襲撃されたもんや。
中にはテコンドーが強いヤツもおる。パッチギ(朝鮮語で「頭突き」という意味)もヤツらの得意技や。頭蓋骨の額部分は石みたいに堅いから、勢いづけてパッチギを喰らったら目から火が飛び出る。あれは辛抱たまらんで。完全に井筒和幸監督の映画『パッチギ!』の世界や。
俺の後輩の中には、朝鮮学校の連中にさらわれて半殺しの目に遭った者はいくらでもおる。4人がかりで担ぎ上げられ、ビルから突き落とされて死んだ者もおった。もちろんそんな目に遭うからには、そいつもムチャクチャやりすぎたわけやけどな。映画『パッチギ!』ではみんなで観光バスをワイワイ押しまくって横転させたりと、コミカルな描き方をしとる。実際の抗争は血も噴き出せば骨も折れる。文字どおり命がけのストリートファイトやった。
1人や2人が相手なら、死ぬ気で戦えば負けはせん。相手が大勢になると、とても勝ち目はない。連れとお好み焼き食ってても、パチンコ店で小遣い稼ぎしてても、いつ襲撃されるか気が気じゃあらへん。殺るか殺られるか。あの襲撃の日々を思い出すと、心底ゾッとするわ。


走り屋をやっていた
リアル『ナニワトモアレ』

10代のころは走り屋やっててん。環状線を爆走したり、警察車両の目が届かない峠 のほうまで出かけて、車で走りまくったりしとった。 暴走族の延長や。
俺らの世代の武勇伝は、南勝久さんのヒット作『ナニワトモアレ』というマンガになっとる。
このマンガのモデルは、あの当時関西で走り屋をやってた俺らや。マンガを見てもらうと、俺が18歳から20代前半までどうやって生きてきたかが集約されとる。マンガやからだいぶソフトタッチにデフォルメされとるけどな。実際はあれよりもっとエグかった。
このマンガが最初読み切りとして発表されたとき、チーム名がリアルのままやった。 実在する走り屋の固有名詞が出てくるわけやから、不良は怒るに決まっとる。聞くと ころによると、俺らの上にいた怖い先輩がブチギレて、マンガを描いた南さんをさら ったらしい。都市伝説かわからんが、しばらくは『ナニワトモアレ』の印税の一部が その先輩に支払われていたっていう話もある。
走り屋が好きでも、車やバイクを転がすだけじゃ銭にならん。17歳のときに実家から出なアカンかった俺は、メシを食うために自分で稼ぐ方法を考えた。当時、大阪の 梅田に「ラジオシティ」という有名なディスコがあった。そこに毎日ナンパに出かけ て、女の子をどんどんつかまえた。
俺が17歳のころはバブル全盛期やったから、ディスコで遊んどる女の子はみんなめっちゃカネをもってて羽振りがええ。彼女らは遊び好きやから、カネヅルのパトロン がいればすぐに、今でいうところのパパ活をやりたがる。
ラジオシティでつかまえたかわいい子を、カネ持ちの社長のところへ連れて行って紹介する。すると社長は喜んで5万円も10万円もお駄賃をくれる。効率良くカネをガ ンガン稼げるうえに、ディスコのメシは食べ放題やった。ひもじい思いをすることな く簡単に儲かる。俺は高校生のくせに、けっこうなカネ持ちやった。
生活費と小遣いを稼ぐために、社長に女の子をアテンドする。アテンダーとしての芽は、10代のころすでにすくすくと伸びていたわけや。

 


解説
時系列でガーシーの生い立ちと成長を見るには、第2章から読むのがいいようです。
しかし残念ながら、彼は、幼少時代と家族のことについてはほとんど書いていません。
中学か高校生のころ、在日韓国・朝鮮人の不良とケンカに明け暮れる、不良時代から記述がはじまります。

できれば、家族を含めた、もう少し深い成育歴が知りたいところです。


生活費と小遣いを稼ぐために、社長に女の子をアテンドする。アテンダーとしての芽は、10代のころすでにすくすくと伸びていたわけや。

10代にして、すでにまともな金銭感覚とは思えません。

のちに彼は「アテンダー」を自分の天職と思い、いろいろ活動をしてきたようですが、その活動の目的が金銭を含む利害だったことは間違いないでしょう。

 

獅子風蓮