というわけで、正木伸城『宗教2世サバイバルガイド』(ダイヤモンド社、2023.06)を読んでみました。
本書は、悩める「宗教2世」に対して書かれた本なので、私のようにすでに脱会した者には、必要ない部分が多いです。
そのような部分を省いて、正木伸城氏の内面に迫る部分を選んで、引用してみました。
(もくじ)
はじめに
1 教団の“ロイヤルファミリー”に生まれたぼくの人生遍歴
2 こんなときどうしたら?宗教2世サバイバル
3 自分の人生を歩めるようになるまで
4 それでも、ぼくが創価学会を退会しないわけ
5 対談 ジャーナリスト江川紹子さん
謝辞
宗教2世の相談窓口
4 それでも、ぼくが創価学会を退会しないわけ
■無理に教団から退会する必要はない
□宗教2世について発信するときに抱える葛藤
□「宗教2世」を豊かに語れる社会を
□あなたは、おかしくなんかない!
□宗教のために人間があるわけではない
4 それでも、ぼくが創価学会を退会しないわけ
本書をここまで読んできた読者のなかには、「あれ? この著者、創価学会を脱会しているのかと思っていたけど、もしかして脱会しているわけではない?」と思われた人もいるかもしれません。
そのとおりです。
ぼくは、いまも現役の創価学会員です。
退会届は出していませんし、現状、退会するつもりもありません。
一方で、学会活動からは完全に離れています。地元組織の学会員がぼくに接触してくることも一切ありません。ぼくは、信仰実践の基本となる勤行や唱題もしていません。
無理に教団から退会する必要はない
なぜ退会をしないのか? それには理由があります。
端的に申し上げると、「やめるメリットがなにもない」からです。
「え? それだけ?」と思われましたでしょうか。
それだけ、というか、これはけっこう大きなポイントです。
もしもここでぼくが創価学会をやめれば、おそらく大きな波風が立つでしょう。
ぼくの家族や親族は、見わたすかぎり学会員です。学会員だらけの家系で、学会関係の知人・友人のネットワークも、ぼくのなかで、いまだそれなりの比重を占めています。あまりにも学会のど真ん中で生まれ育ってきたため、現在もその人間関係には足場があるのです。
それなのに退会をしてしまえば、ぼくへの見かたが一部でさらに悪く変わってしまうかもしれない。あるいは、家族や親族が後ろ指をさされることになるかもしれない。 学会的ないいかたをすれば、いまのぼくは「退転状態」にあります。
この退転状態と、学会を「退会」することの間には、相当な違いがあります。
もちろん、退転状態のぼくは、一部からは村八分のような扱いを受け、学会内では腫れ物にさわるような接しかたをされたりもしました。
ぼくのことを「創価学会の危険因子だ」と見る人もいるくらいです。
この状況にあって、ぼくが「退会」まですると、その度合いが格段に高まります。 ぼくが退転の状態でとどまっているなら、それなりに多くの学会員が、ぼくの危険性について、「確証はない」と判断するかもしれません。
ですが、退会すると、「ああ、正木はほんとうに退転したんだ」と認識する学会員が出て、そういった人から攻撃を受けたり、「あそこの家は、とうとう脱会者を出した」といったレッテル貼りにあったりするなど、不利益を被る人が、ぼくだけでなく、ぼくの家族や親族、友人から出てこないともかぎりません。
だから、ぼくはやめないのです。
創価学会に所属したままであっても、自由にべつのなにかを信仰をすることはできます。信仰をしないということもできます。
そういった宗教2世の生きかたもあるのです。
【解説】
創価学会に所属したままであっても、自由にべつのなにかを信仰をすることはできます。信仰をしないということもできます。
そういった宗教2世の生きかたもあるのです。
いろいろな信仰形態はあっていいし、創価学会に所属したまま信仰しないという選択もありうるでしょう。
私の場合は、嘘の多い創価学会組織に見切りをつけて、宗門に移籍しました。
それでも親族はみな創価学会員ですので、彼らの幸せのために、創価学会がより健全な組織になるように祈っています。
せっかく創価学会員の身分を残しているのですから、また元理事長の息子としての人脈もあり、ライターとしての影響力もあるのですから、正木伸城さんには、ぜひ友岡雅弥さんの遺志を引き継いで、創価学会組織の改革に力を注いでいただきたいと思います。
私も外部から、微力ながら応援させていただきます。
獅子風蓮