獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

『居場所を探して』を読む その40

2024-12-01 01:02:37 | 犯罪、社会、その他のできごと

友岡さんがこの本を紹介していました。

『居場所を探して-累犯障害者たち』(長崎新聞社、2012.11)

出所しても居場所がなく犯罪を繰り返す累犯障害者たち。彼らを福祉の手で更生させようと活動する社会福祉事業施設の協力で、現状と解決の道筋を探った。日本新聞協会賞を受賞した長崎新聞の長期連載をまとめた一冊。

さっそく図書館で借りて読んでみました。

一部、引用します。

□第1章 居場所を探して―累犯障害者たち
■第2章 変わる
 ■変わる刑事司法と福祉~南高愛隣会の挑戦をめぐって
 □山本譲司さんインタビュー
□おわりに 


第2章 変わる

変わる刑事司法と福祉~南高愛隣会の挑戦をめぐって

(つづきです)

このころ、東京でも動きがあった。
厚生労働省の文書偽造事件で無罪が確定した元局長、村木厚子が、不当逮捕・起訴を理由に国から支払われた損害賠償金3333万円を、南高愛隣会に寄付することを表明したのだ。
村木と愛隣会の田島は、障害者の雇用施策を通じて知り合った十数年来の知人。大阪地検特捜部に村木が逮捕された後、田島は「支える会」の代表として、村木の無実を訴え続けた。
「累犯障害者の問題に使ってほしい」
村木からこう持ち掛けられた田島は、寄付金を原資にして基金をつくることにした。有識者でつくる運営委員会を組織し、累犯障害者にとって適正な刑事司法や社会復帰を進めるための活動にお金を使うのだ。
基金は「共生社会を創る愛の基金」と名付けられた。
12年3月10日。東京都内で基金の設立式が開かれた。
会場には160人が詰め掛けた。田島をはじめ、「獄窓記」を書いた元衆院議員、山本譲司、元宮城県知事の浅野史郎、最高検検察改革推進室長の林眞琴……。累犯問題に関わるそうそうたる面々が基金の船出を祝った。
一時は「容疑者」「被告」として扱われ、5ヵ月間も不当に勾留された村木。それは人生で味わった最大の屈辱だった。どん底にいる村木を支えたのが、家族であり、職場の同僚であり、古くからの友人たちだった。
晴れの舞台であいさつに立った村木は、静かに語った。
「障害者と刑事司法がクロスする累犯障害者の問題は、社会の中で一番日の当たりにくい場所にあると思うのです。この分野で、賠償金を使ってもらうのが一番いい方法なのだろうなと思いました」

(つづく)


解説
厚生労働省の文書偽造事件で無罪が確定した元局長、村木厚子が、不当逮捕・起訴を理由に国から支払われた損害賠償金3333万円を、南高愛隣会に寄付することを表明したのだ。

(中略)
晴れの舞台であいさつに立った村木は、静かに語った。
「障害者と刑事司法がクロスする累犯障害者の問題は、社会の中で一番日の当たりにくい場所にあると思うのです。この分野で、賠償金を使ってもらうのが一番いい方法なのだろうなと思いました」

村木厚子さんのこの言葉に感銘を受けました。


獅子風蓮