獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

東大OB医師の告発 その4

2024-06-29 01:08:13 | 犯罪、社会、その他のできごと

東大OB医師である坂本二哉(つぐや)氏が「鉄門だより」に寄稿した「告発文」についての雑誌の記事を紹介しました。

実は、私も東大医学部のOBですので、毎回「鉄門だより」が送られてきます。
しかし、坂本二哉の記事は、表題も地味だったので、スルーしてしまいました。
慌てて、古紙の束をひもといて該当の記事を探し出しました。

鉄門だより 令和6年4月10日発行(毎月1回10日発行)

晩鐘の時 
坂本二哉氏(1954卒)

その中に、次のような記述がありました。

Kさんは、別の疾患で東大医学部とは古くから非常に縁の深いセンターを受診、そこで後で見ると上述のMVPによる僧帽弁閉鎖不全で手術に失敗、東大に搬送され延命処置を行ったが、冠動脈への過剰な空気漏れという考えられない重大ミスで心筋梗塞を起こしており、救命には至らなかった。事の詳細は最近の朝日新聞にも載っている(2024年3月6日)。もう3年近く経ち、奥様は多くを語られないが、その友人の患者さんはことあるごとにそのセンターの対応を非難しており、また事故原因究明を行わず、再発防止策も講ぜずに診療を継続していることに対し、多くの著名な心臓外科医がそれを批判し、学会でも問題にしていると聞き及んだ。不肖、私の家内もそこで随分ひどい目に遭っていたので、他人事とは思えなかった。

気になったので、該当する記事を求めてネットで検索しました。

これがヒットしました。
一部引用します。


朝日新聞DIGITAL
心臓手術の2カ月後、命落とした兄 無念の弟は医療事故調査を求めた

 予期せぬ死亡事故の原因を調べ再発防止につなげようとする「医療事故調査制度」が始まり、8年。希望しても医療機関側に調査をしてもらえないと無念の思いを抱える遺族は少なくない。医療事故を減らすため、何が今、求められているのか。
(米田悠一郎、編集委員・辻外記子)

 東京都新宿区の国立国際医療研究センター病院で2020年12月、当時72歳だった男性は心臓手術を受けた。

 心臓の弁が閉じず血液が逆流する「僧帽弁閉鎖不全症」という持病があったが、週に1度以上、水泳をするほどで症状はなかった。股関節の痛みで受診したところ、その治療前に心臓の手術が必要と判断された。

 切開の範囲が小さい低侵襲心臓手術(MICS)という方法で、医師からは「年内に退院できる」と言われ、4時間ほどで終わる見込みだった。ところが10時間以上かかった。

「心臓を止めている時間が長くなった。心臓の動きが悪くなっている」。家族は執刀医からそう説明された。3日後、男性は都内の大学病院に転院。心臓の機能は回復せず、約2カ月後の21年2月、息を引き取った。

「医療事故には該当しない」不十分な説明
 15年に始まった医療事故調査制度では、予期せぬ死亡事故が起きた場合、第三者機関の医療事故調査・支援センターに報告。院内で調査して、結果は遺族に説明することになっている。ただし、調査するかを決めるのは、病院長だ。

 遺族は男性の死の直後から病院に対し、制度にもとづく調査を求めた。だが病院側は「このような転帰は可能性として予期された。医療事故には該当しない」などと説明。遺族が再度求めても十分な答えはなかった。

 対応を問題視した日本心臓血管外科学会の高本真一名誉会長は、22年9月の学会誌で、心臓を守る心筋保護液が正しく注入できていなかった疑いなどを指摘し「病院の判断に大きな疑問が残る」と批判した。

 病院は22年10月、センターに医療事故として報告。調査を始めた。院内での調査結果をまとめた報告書には、死亡から報告までに1年以上かかったことは触れられていない。男性の弟は一連の対応に不信感を募らせる。「隠すつもりだったのではないか」。遺族は昨年12月、国立国際医療研究センターと当時の執刀医を相手取り、損害賠償を求める裁判を東京地裁に起こした。

 病院側は朝日新聞の取材に対し、「係争中のためコメントは差し控える」としている。(米田悠一郎)


遺族「納得できない」
 この制度の目的は、個人の責任追及ではなく、再発防止や医療の質向上をめざすものだ。センターに報告するかどうかは医療機関が判断し、遺族側に決定権はない。報告数は年300件台で推移している。

 医療事故の当事者や家族でつくる「医療過誤原告の会」は23年11月、制度開始から7年間に起き、制度の対象になるとみられる医療事故の遺族を対象としたアンケート結果を公表した。

 相談があった194家族のうち、約3割の59家族が回答した。「センターに医療機関が(事故を)報告をしたか」の質問に「報告した」と答えたのは8家族。うち5件は遺族からの要望を受けての報告だった。41家族は「しなかった」と答え、その理由は「(医療機関側から)事故ではないと否定された」が最多。「説明がない」「過失がない」などだった。

 「事故報告しないという説明に納得できたか」の問いに答えた33家族中、31家族が「納得できない」と答えた。医療機関に望むことは、「遺族が事故を疑って医療機関に申し出た場合、センターに報告してほしい」が最多。「家族の死を無駄にしないでほしいという遺族の気持ちを尊重してほしい」「再発防止策を示してほしい」と続いた。

 宮脇正和会長は「医療機関が調査を始めるかを判断する現状のままでは、一部の病院しか調査しない状態が続き、泣き寝入りする遺族が減らない。再発防止推進のために制度をもっと周知し、遺族の声を聞く公的な窓口をおくとともに、遺族側の求めで調査を開始できるようにしてほしい」と話す。

 報告数の格差は、データからもみてとれる。センターを運営する日本医療安全調査機構によると、人口100万人あたりの報告数は全国平均で年2・8件。最多は5・3件の宮崎で最少は1・1件の福井。医療事故が少ないために報告されていない可能性もあるが、5倍近くの開きがある。

 医療事故に詳しい堀康司弁護士は「調査に積極的な施設と消極的な施設とで極端に分かれ、まだらの状態」と指摘する。制度では、調査すべきか迷う場合、医療機関はセンターに助言を求めることもできる。だが「報告を推奨する」と助言されても、報告・調査しない事例も少なくない。

 一方、堀さんは「調査を重ね患者側と信頼関係を構築できている施設もある」と述べ、「医療の信頼性向上のために透明性を高めることが出発点だったはず。調査しない医療機関を公表するなど、何らかの手立てが必要だ」と語る。

 日本心臓血管外科学会元理事長の高本真一名誉会長も、院長が判断する現状の制度では不十分と指摘。「院長が事故に詳しくなく、病院組織を守ることを優先してしまうこともある。死亡事案が起きた際、専門学会に依頼して判断を仰ぐようにすれば改善につながる」

 運営側はどう受け止めるか。日本医療安全調査機構の木村壮介常務理事は「どの施設でも同じ判断がされるとの期待があるが、そうなっていない実態の表れ」と話す。

 どうすれば改善できるか。医療機関は調査するかの判断について、地域の医師会など支援団体に相談ができる。木村さんは格差の背景に支援団体の意識の差があるとし、「医療機関の相談にのったり、講習会を開く事業を医師会が積極的にしたりする地域は報告数が多い。こうした事業を促すことが重要だ」と話す。(編集委員・辻外記子、米田悠一郎)

 

 


解説
 15年に始まった医療事故調査制度では、予期せぬ死亡事故が起きた場合、第三者機関の医療事故調査・支援センターに報告。院内で調査して、結果は遺族に説明することになっている。ただし、調査するかを決めるのは、病院長だ。

せっかく「医療事故調査制度」という素晴らしい制度を作っても、病院側に調査する意思がないのでは、医療事故の被害者は浮かばれませんね。

坂本二哉先生の告発が、この問題の解決に一石を投じることになればと思います。


獅子風蓮



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