獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅰ章 その2

2023-02-02 01:07:19 | 東村山女性市議転落死事件

長井秀和が西東京市市議会議員選挙で当選を果たしました。
その選挙戦の中で、長井秀和は東村山市議転落事件に言及し、それを創価学会は誹謗中傷ととらえ、告訴に踏み切るというきな臭い争いも起きているようです。
私は、長井秀和自身はどうでもいいですが、東村山市議転落事件については真相解明を望むものです。
そのためには、何が問題になっているかを、今一度冷静になって考えるべきだと思います。
基本的な情報を共有するために、いくつかの資料を提示したいと思います。

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』(教育史料出版会1996年5月)
より、引用しました。
著作権上、問題があればすぐに削除する用意がありますが、できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。

(目次)
□まえがき
■Ⅰ章 怪死のミステリー
□Ⅱ章 疑惑への道のり
□Ⅲ章 対立の構図
□Ⅳ章 たたかいの軌跡
□Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること
□あとがき

 


◆事件発生の経過
事件発生の経過は次のようなものだった。

〈9月1日〉
午後10時頃:事件発生。
10時10分頃:ビルの一階にあるハンバーガーショップ「モスバーガー」に勤めるアルバイト店員(女子短大生)が、ビル裏手のゴミ捨て場に使用済みの段ボールを捨てに来て、ビルの壁とフェンスの間、幅約60センチの空間に仰向けに倒れている女性を発見する。酔っぱらいが寝ているのかと思ったアルバイト店員は、薄気味悪くなり、段ボールを捨てるとすぐに店に戻る。
10時15分頃:アルバイト店員の報告を受けた「モスバーガー」の店長が、再び段ボールを捨てに現場に赴く。当初、酔っぱらいかと思っていた店長は、「大丈夫ですか」と声をかけた。これに対し女性は、「大丈夫です」と答えたという。ところが、よく見るとフェンスが大きく歪んでいることから、店長は、もしかしたら落ちたのかもしれないと思い、「落ちたんですか」と尋ねたところ、女性は首を振りながら「いいえ」と答えたという。女性の足から大量の血が流れていることに気付いた店長は、タオルで止血を試みるとともに、ビル横の駐車場の管理人を呼び、街灯を点灯するよう要請。その際、管理人と「救急車を呼びましょうか」と話しあっている。
仰向けだった女性は、その後、自力で、うつ伏せになり、「ウーン」とうなるなど苦しみ始める。
10時40分頃:矢野氏が「朝木さんが行方不明状態。情報入っていないか」と、東村山署に電話。対応に出た大木署員「いま、逮捕事案があり、ごたごたしているが、そうした情報は入っていない。ご心配ですね」と応対。
10時42分:アルバイト店員が駅前交番に通報。
10時45分:通報を受けた警察官が、東村山署経由で救急車の出動を要請。警察官、止血を試みるとともに、住所や名前を問いかけるも応答なし。
10時56分:救急車が現場に到着。
救急隊員が、酸素吸入器を取り付けるが、途中で外したとの目撃情報あり。
東村山署から朝木さんの顔をよく知っている須田豊美盗犯第二係長が現場にいたとの目撃情報あり。
須田係長が現場へ赴いたが、救急車と入れ違いになったため、朝木さんとは確認できなかった(警察発表)。
11時頃:矢野氏が119番に電話。「朝木さんらしき人物の搬送の事実なかったか」と問い合わせ。消防職員、「そうした事実はない」と応答。
11時16分:救急車、所沢市の防衛医大付属病院に向け出発。
受け入れ先の病院が決まらなかったことから、現場に約20分間停車していた(警察発表)。
11時25分:防衛医大付属病院に到着、救急救命医療実施。

〈9月2日〉
午前1時:死亡確認。防衛医大病院から東村山署に死亡の通知。
須田係長、防衛医大病院からの連絡を受けて、東村山署から病院に出向き、朝木さんと確認(警察発表)。
病院が警察に連絡したときには、すでに須田係長は病院に向かっていた(担当医師)。
1時10分頃:須田係長、朝木さんと身元確認。担当医師に「この人物が朝木さんであることはマスコミから問い合わせがあってもしばらく黙っていてほしい」と口止め。
1時20分:須田係長、昭島市の住友典礼に遺体搬送指示。同社は、主として変死や事故死など事件がらみの遺体を、警察の紹介で扱う、いわば警察御用達の葬儀社として知られている。
防衛医大病院、遺体の縫合など事後処置にかかる(約1時間)。
2時半:朝木さんの長女直子さんら、自宅前で運転手が朝木宅を見てニヤニヤ笑っている不審な車を発見。問いただしたところ、「女性を待っている」。
2時40分:矢野氏が「朝木さんの自宅前に不審な車が止まっている。朝木さんは行方不明状態だ。連れさられた可能性もある」と110番通報。
不審車運転手、パトカーが来る前に、通りかかった女性を待っていた人物と称して逃走。車のナンバーから運転手は、狭山市上広瀬に住むS氏であることが判明。S氏、9月5日にフィリピン人らしき女性を伴って「草の根」事務所に来訪。「自分はこの人を待っていただけだ」と弁解。
「週刊新潮」の取材に対し、近所の主婦は「S夫婦は創価学会員で、元警察官の父親がこぼしていた」と発言しているが、本人ならびに親族は創価学会員であることを否定。
2時50分:「草の根」事務所の矢野氏のもとに東村山署横田交通課長から電話。「llO番したのは矢野先生ですか。朝木議員が防衛医大病院に救急車で運ばれ、すでに死亡したそうです」

◆遺族は解剖を要求
午前3時:直子さん、矢野氏ら遺族、関係者、東村山署へ駆けつける。
「電話連絡の際、『いまどこに朝木さんはいるんだ』と尋ねたところ、『防衛医大からこちらに向かっている』というので、警察署に駆けつけた。ところが、いつまでたっても遺体確認をさせてくれない。そこで、横田課長に『どうなっているんだ』と詰めよると、『いま、縫合している最中です』という。そこで、『話がちがうじゃないか、こちらは一刻も早く会いたいんだ、病院に行く』というと、『行き違いになるといけないので、ここで待ってくれ』という。遺体に会わせまい、会わせまいとしている感じだった」(矢野氏)
4時頃:遺体がすでに棺に入れられた状態で、葬儀社の車によって到着。遺族が会わせるように要求するが、拒否され、そのまま霊安室で検視実施。
「遺族が確認する前に柩にいれるなどということは、普通ありえないことだ」(全国紙社会部記者)
5時頃:遺族ようやく遺体と対面。その際、鶴見刑事課長、霊安室内で遺族に対し「これは自殺なんだから、自殺なんだから」とくり返す。遺族が「殺人なのにおかしい」と鶴見課長に強く抗議。
対面後、葬儀社から「いつ自宅にお連れしましょうか」との打診。遺族が、「解剖は予定されていないのか」と反間すると、「解剖は予定されていない」との返答。白石刑事課長代理も「解剖しない」と発言。遺族が「殺人なのにおかしい」と抗議。任意での病理解剖を要求すると、検察官を要請。
「待たされ、待たされして興奮している遺族が、鶴見課長の言葉に怒り、厳重に抗議すると、『お前ら、その態度はなんだ』とまるで喧嘩腰だった」(矢野氏)
6時頃:検察官到着。同時刻に鑑識ならびに警察犬を使っての捜査開始。

東村山についたばかりの私は、もちろんそうした事件の経緯を知る由もなかった。しかし捜査員の姿を見て、「ロックケープ」ビルを「現場」と確信した私は、状況を把握するためにビルに近づいた。警察犬がビルへの導入路と入り口、二階の焼き肉店に向かう階段、エレベーターホールや非常用階段、そしてビルの前の道路や駐車場を何度も何度も行き来し、しきりに匂いを嗅ぎ回っている。のちに朝木さんが倒れていた現場と知るビル裏側を見ようと思ったが、すでにビル入り口およびビル裏側に隣接する駐車場の入り口にはロープが張られており、捜査中ということで立ち入ることができなかった。
やむなく私は、東村山駅東口から500メートルほどの距離にある東村山署に向かった。


解説
ジャーナリストの乙骨正生さんは、非常に冷静な筆致で、事件の経緯を描き出します。

遺族が抗議しなければ、警察の手で自殺と断定されかねなかったとは、驚きました。

獅子風蓮



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