獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

アクティビスト・友岡雅弥の見た福島 その8

2024-03-31 01:22:19 | 友岡雅弥

友岡雅弥さんは「すたぽ」という有料サイトに原稿を投稿していました。
その中に、大震災後の福島に通い続けたレポートがあります。

貴重な記録ですので、かいつまんで紹介したいと思います。

 


カテゴリー: FUKUSHIMA FACT 

FF8-「故郷」をつくること 「故郷」を失うこと
――飯舘村・浪江町の、もう一つの歴史(その8) 
アクティビスト、ソーシャル・ライター
友岡雅弥
2018年3月28日 投稿


【除染の具体的な姿】

ここで、「除染」のことについて、少し触れたいと思います。ことばだけは、広く知られていると思いますが、その内容はあまり知られていないかと思います。

除染は、環境省のガイドラインに沿って進められます。

このガイドラインは「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境汚染への対処に関する特別措置法」(名前が長い!)の、第四十条第一項において定められた、「土壌等の除染等の措置の基準に関する環境省令」(名前が長い!)を具体的に進めるために定められたものです。


ここでガイドラインを見ることができます。
http://www.env.go.jp/jishin/rmp/attach/josen-gl02_ver2.pdf

 

だいたい、表土は5センチ(線量が高い場合はもっと深く)はぎ取っていくのですが、飯舘村だけで、除染の対象区域は56平方キロメートル、山手線の内側よりほんの少し狭いぐらいです。
山手線の内側の表土を5センチはぎ取る作業がどれほどか、例えばビルがないとして、その広大さを想像してみてください。またそこから出る残土・瓦礫はどれほどか、想像してみてください。
でも、除染されたのは村の総面積の4分の1です。あと4分の3は除染されません。 飯舘村のほとんどを占める森林は、除染対象ではないのです(道路や家の周囲20メートルの森林は除染対象ですが、それはごくわずかです)。

 

県道12号(原町~川俣線)という、幹線道路に面した草野地区(公民館などがあった)は、2012年(平成24年)6月から、調査先行除染が行われていて、その時から、除染の模様を見続けてきました。
除染は、例えば、田畑ならば薬剤を散布して固めて、表土をはぎ取ります。そして、遠くの山を切り崩して運んできた土砂を上に撒きます。建物の場合は、建設用の足場を組み、屋根から順に下へ、雨どいとかも、隅まで細いブラシで洗浄していきます。 最後は側溝へと作業は降りていきます。

(写真:家の除染 これは飯舘村ではありませんが、一般的にこの感じです)

高圧洗浄を行う場合もありますが、基本は家を傷めないように、布でふき取ったり、サンドペーパーで表面を削ったりします。どうしても、線量が下らないときには、高圧洗浄が行われますが、高圧洗浄は、逆に飛散の可能性が高まるので、家にはあまり使われません。
逆に、果樹は高圧洗浄機が使われることが多く、果樹園には、樹皮がはぎ取られた白い幹の木が並んでいて、驚きの風景です。

 

ちなみに、道路はブラシや高圧洗浄を行いますが、しばしば見かけるのは、「ショットブラスト」です。鉄やセラミックの小さな球を道路面に吹きつけて、表面をはぎ取ります。

(写真:道路のショットブラスト これも飯舘村ではありません。最も一般的な形)


道路に面した土地は20メートルまでしか除染されません。家の周囲も20メートルです。つまり、家のすぐ裏の林などは、除染されていないのです。
人口6000人の飯舘村の住民は、全村避難していましたが、そこに多いときは1万人の除染作業員さんがいました。

1トンと少し入るフレコン(だから「トン袋」とも呼ばれる)が、村中に置かれています(200万個以上)。でも、これはあくまで、仮置き場、仮仮置き場です。


飯舘村20地区の一つ、蕨平地区に減容化施設があります。

(写真:蕨平地区の減容化施設)


この蕨平地区の西隣が長泥地区で、ここが浪江町の津島地区の北に接するところ。線量が特に高くて、「帰還困難区域」になっています。
蕨平の減容化施設は、山を一つ削って作られたもので、建設費は400数十億円とも言われています。
同じような減容化施設は、富岡町(仏浜)や浪江町(冒頭の棚塩集会所周辺)など、 各自治体にあります。

仏浜の減容化施設については、このドローンによる空撮をごらんください。これは富岡町だけの、フレコン置き場とその焼却施設です。

https://www.youtube.com/watch?t=21&v=UCP7PFT9coU

他地域が、海辺の「津波浸水区域」に建てられているのに対し、飯舘村の蕨平は、山の中なので、そこに毎日、おびただしい数のトラックが行き来します。細い山道を切り開き、トラックがすれ違う幅にする工事も、かなり長い期間行われてきました。

 


解説
「除染」のことについて、少し触れたいと思います。ことばだけは、広く知られていると思いますが、その内容はあまり知られていないかと思います。
(中略)
だいたい、表土は5センチ(線量が高い場合はもっと深く)はぎ取っていくのですが、飯舘村だけで、除染の対象区域は56平方キロメートル、山手線の内側よりほんの少し狭いぐらいです。
山手線の内側の表土を5センチはぎ取る作業がどれほどか、例えばビルがないとして、その広大さを想像してみてください。またそこから出る残土・瓦礫はどれほどか、想像してみてください。

本当に、「除染」のことについて、具体的内容についてまったく知りませんでした。
おどろくばかりです。

 

獅子風蓮



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