まほろば俳句日記

毎日見たこと聞いたこと感じたことを俳句にします。JーPOP論にチャレンジ。その他評論・エッセー、学習ノート。競馬も。

【中心から辺境へ】草原が耳から流出する片足立ち 古田嘉彦/極メタ俳句の系譜(2)

2017-10-18 01:21:57 | エッセー・評論

気化拒み拘束 密林へも脱出不可   古田嘉彦  「吟遊」75号より*表題句も

草原が〈耳から流出する〉と聴いて、視覚より聴覚の優位によって何ものかが顕現することと読める。実際は、どこまでも不可知の領域に属する。作者の、この一瞬の言語表出の体験は『片足立ち』によってもたらされた。この時、草原はもはやこの涯の時空さえ一瞬ごとのメタファーとする儚きものと化す。作者は、いまも『片足立ち』のままどこへも向かわず、地球の中心から辺境へ向けて直立しているのだと思った。

中心から辺境へ 黒い夏野を仁王立ち   まほろば