■中屋織物工業協同組合/岐阜県各務原市成清町4丁目230
竣工:昭和2年(1927)
構造:木造2階
撮影:1999/7
※取り壊し後駐車場
本格的に近代建築探訪を始めた頃に偶然見つけた物件です。
役所を思わせる立派な建物ですが、近代建築総覧には記載がなく、図書館で見つけた岐阜県近代化遺産総合調査報告書で竣工年が判明しました。
協同組合のある各務原市南部の稲羽地区は戦前から織物が盛んで、組合事務所も当時の繊維産業の隆盛を思わせるモダンな造りになっています。
戦後高度成長期頃までは不況知らずの繊維業界でしたが、昭和40年代を境に国内の繊維産業は斜陽の一途をたどり、織物工場は激減、この地区の個人経営の小さな工場もほとんどが廃業に追い込まれました。
組合事務所も老朽化により外壁や屋根の痛みがひどく、行く末が案じられましたが、数年前のある日、たまたま前を通ると建物は跡形もなく更地になっていました。
私にとっては取り壊された後も、いつまでも記憶に残る印象深い建物です。
■建物の規模に比べ玄関車寄が立派です
■建物両端の屋根を独立させて外観にアクセントを出しています
■大正~昭和にかけて流行したセセッション風のデザイン
■換気口も糸巻き風のデザイン
■玄関扉上の糸巻きをデザイン化したステンドグラス
室内から見られなかったのが残念です