かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

旧伊藤耳鼻咽喉科医院(昭和区御器所)

2010-10-03 | 名古屋の近代建築

名古屋市を南北に走る幹線道路、空港線の東郊通2丁目交差点のすぐ南側に、道路に西面してひときわ目を引くクラッシクな洋館が建っています。

元々は昭和の初に建てられた古い医院ですが、中央に立派な玄関ポーチを設け、茶色のスクラッチタイルを貼った左右対称の堂々としたファサードは、当時の「お医者様」の威厳を示すかのようで、住宅使用の洋館とは一味違った重厚な造りに仕上がっています。

数年前から空家になっているようで、幹線道路沿いの好立地だけに、いつのまにか取り壊されマンションや駐車場になるのではと心配です。今まで保存されてきた寛大なオーナーさんの気持ちが変わらないのを願うばかりです。


◆旧伊藤耳鼻咽喉科医院/名古屋市昭和区御器所1-9-9

 竣工:昭和7年(1932)
 設計:荒川惣七
 施工:三共工務店
 構造:木造2階建
 撮影:2010/03/14





空港線に西面した正面ファサード
大正末にライトが帝国ホテルで使いその後全国で大ブレイクした
当時流行のスクラッチタイルが重厚な雰囲気を演出しています





正面(西側)以外は下見板貼り





玄関ポーチは3方向に開放され人造石仕上げの持送り付き櫛型アーチが施されている
当初は玄関正面に階段が設けられていたが、道路の拡幅に伴い南側からのアプローチに変更された






玄関ポーチと2階屋根部分に銅版葺きの洋風ペディメントを設け
それぞれ中央に洋風花瓶形の棟飾りを付ける







右書きの医院名と旧字体の「医院」の文字に過ぎ去った時代を感じます





当時のままの木製の玄関扉






玄関ポーチ天井の照明
中央に花びらをモチーフにした幾何学模様があしらわれています