かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

軍馬軍犬軍鳩慰霊碑(名古屋市中区三の丸)

2010-10-04 | まちかどの20世紀遺産

近代建築を求めて街歩きをしていると、建物ではないけれど「おっ、これは」という物件に出会うことがあります。

わたしが面白いと感じる基準は、まず古いこと。
明治、大正はもちろん戦前から昭和30年代頃までに造られた街角の構造物(橋などの土木工作物や記念碑、記念塔、看板など)はデザイン的に面白い。
まず最初に全体・細部の形をじっくりと鑑賞、その後それらが造られた時代背景に思いを馳せると、また新たな興味が湧いてきます。

今回は東海郵政局を訪れた時に遭遇したちょっと興味深い石碑を紹介します。
この石碑は東海郵政局の北、外堀に架かる本町橋(明治44年竣工)を渡った北東側の草原(くさはら)の奥に建っているので、通りからは見えにくく意識して探さないとまず通り過ぎてしまいます。
柵を乗り越え草むらの奥に足を踏み入れると、「軍馬軍犬軍鳩慰霊碑」と刻まれた石碑が人目を避けるようにひっそりと建っています。第三師団と刻まれた台座の上のほぼ正方形の石碑には、馬、犬(シェパード)と鳩が3羽レリーフの様に浮き彫りになっています。

この慰霊碑は戦前、三の丸にあった旧陸軍の第三師団が、戦争で使われ犠牲になった動物たちを供養する為、昭和14年この場所に建立したもので、現在は訪れる人も無くほとんど忘れ去られた存在になっています。
戦没者の慰霊碑は全国どこでも目にすることができ、わたしたちに戦争の記憶を伝えてくれますが、戦争で犠牲になった軍用動物の慰霊碑は珍しいのではないでしょうか。
戦争で亡くなった多くの人と同じように、死んでいったたくさんの動物たちに思いを馳せ、軍人さんたち自ら建立した慰霊碑の存在は、時代が変わってもその思いを確かに伝えてくれます。






向かって右奥の茂みの中に慰霊碑が建っています





木立の奥にひっそりと建つ慰霊碑





軍用に伝書鳩が使われた時代がありました(撮影:2010/05/05)