かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

柱/オーダー(8)~医院建築編

2014-04-21 | まちかどの20世紀遺産

 昭和戦前期までは医院などの医療機関も西洋建築が好んで建てられました。特にオーダーとペディメント(三角形の破風)で神殿風の外観にして正面玄関を強調するポーティコは、医院の玄関ポーチや車寄のデザインにうってつけだったようです。ドクターと言えば今でも社会的ステータスの高い職業のひとつですが、当時のお医者さんはそれこそ町を代表する知識人であり名士でした。もちろん医院の建物にもそれにふさわしい威厳と品格が求められたので、オーダーを中心としたクラッシクで格調の高い雰囲気の西洋建築は、医院にはまさにうってつけだったようです。


■新川中央病院(旧私立新川中央病院本館)/大正3年(愛知県碧南市)
玄関ポーチの入り口に、6本のトスカナ式オーダーと5本の角柱が、これでもかとばかりに所狭しと乱立しています。
しかしこれでは患者さんも、さぞかし出入りがしにくかったに違いありません...(特にメタボなおじさん要注意!)



■旧山田歯科医院/昭和元年(岐阜県多治見市)
建物外壁がリュニューアルされたこともあり外観はごく普通ですが、
玄関のオーダーとペディメントは当時のままで、当時の洋風建築らしい雰囲気を残しています。



■竹内産婦人科/昭和3年(愛知県刈谷市)
こちらも玄関ポーチの屋根にオーダーに支えられた三角ペディメントを載せ小神殿風にしています。
ただしオーダーは角柱になり、柱頭も簡単な幾何学模様に変わっています。
 
 

■旧久保田外科/昭和初期(岐阜県岐阜市)
見事なねじれ具合の柱にサニーレタスの様なアカンサスの葉をあしらい、ちょっとおいしそうなオーダーです。