かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

柱/オーダー(9)~近代化遺産編

2014-04-27 | まちかどの20世紀遺産

 4月26日「富岡製糸場と絹産業遺産群」がユネスコの世界文化遺産に登録される見通しになりました。国内では「石見銀山」に続く産業遺産ですが、明治期以降では初めての登録になります。これをきっかけに、各地に現存する明治以降の日本の近代化を象徴する産業遺産や近代化遺産が再評価され、保存活用される機運が高まれば、こんな嬉しいことはありません。

 日本の近代化の過程で欧米からの技術を導入し、各地に様々な施設が建設されましたが、上下水道や発電所施設などもそのひとつです。東海地方にも木曽三川に代表されるダムや水力発電所、上水道施設などの近代化遺産が現存していますが、その建物のデザインには当時主流だった歴史様式を採用したものが多く、ここでもオーダーは重要なモティーフとして大きな役割を果たしています。


■旧稲葉地配水塔/昭和12年(名古屋市中村区)
円形の配水塔の周囲には16本の円柱がそびえ、古代ギリシャの神殿を思わせる外観は、どこか神聖な雰囲気が漂う。



■鍋屋上野浄水場旧第1ポンプ所/大正3年(名古屋市千種区)
正面出入り口上部の窓の両脇にイオニア式の円柱を立て、窓廻りも古典様式をモティーフにしたデザインで固める。



■中部電力 井ノ面水力発電所/大正10年(岐阜県美濃市)
発電所の百葉箱にもちゃんとオーダーの上に三角ペディメント風の屋根をのせ、外観はミニギリシャ神殿風。
あと数年後の建設ならモダニズムの影響で、ただの四角いコンクリートの箱になるところでした。