『小さな恋のメロディ』で忘れてならないのは、ビージーズによる映画音楽である。これだけ映画のシーンと音楽が見事にマッチングした例はめったにない。映画公開当時、ちょうど洋楽を聴きはじめていたぼくは、この映画でビージーズを知り、映画に使われた曲が入った彼らのレコードを繰り返し聴いたものだ。今ならDVDやTV録画でいつでも好きなだけ見ることができるが、当時は音楽を聴いて映画の雰囲気に浸るくらいしかすべがなかったのである。あとはいつになるかわからないリバイバル上映かTV放映を待つしかないので、こんな時代もあったのが今にして思うと懐かしい。当時はそれだけ映画を見るということ自体が特別な時代だったのである。まあそれゆえ、感銘を受けた映画への思いも深いのだが・・・
『イン・ザ・モーニング』
朝がきて 月が消えると
ぼくの大好きな時刻(とき)がくる
七色の虹が 太陽に踊って
水たまりの水が 夜の冷たさにまだ凍っている
ぼくの人生の朝よ
陽がのぼったら いつものように
君を待っている あの波打ちぎわで
うつり変わる砂に 城をきずきながら
世界がどうなっているのか 誰もわかっていない
ぼくの人生の朝よ
夜になったら 君を月につれていく
ぼくの部屋の天井の 右側の片隅で
二人で待っている
太陽がふたたびかがやいて
物干しのひもを躍らせ あくびが出てくるまで
ぼくの人生の朝よ
■映画のオープニング(主人公たちの住むロンドンの下町の朝の情景)に流れる『イン・ザ・モーニング』
■映画の原題は『Melody』
■ダニエルとトムが入隊している少年軍の行進
■音楽担当のビージーズとクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングのクレジット
■擦り切れるまで聴いたビージーズのレコード