かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

中川運河・名古屋港の近代化遺産(5)~名古屋港跳上橋/旧1・2号地間運河可動橋(名古屋市港区)

2015-04-04 | 近代橋めぐり

今回の港区中川運河~名古屋港めぐりもいよいよラストです。

 港橋から埋め立てられた運河沿いを東へ向かうと、堀川と中川を結んでいた運河の堀川の出口のところに、旧1・2号地間運河可動橋(跳上橋)が見えてきます。この橋は昭和2年(1927)、綿花の輸入取扱会社が鉄道可動橋として建設したもので、鉄道廃線後は橋を上げた状態で保存されています。設計製作は現役最古の鉄道可動橋として知られる旧四日市港駅鉄道橋(国重文)を手がけた、可動橋の第一人者山本卯太郎。国内で現存する可動橋はわずか7橋(そのうち跳開は4橋)で、旧1・2号地間運河可動橋は現役ではありませんが、市内では唯一の現存する跳上橋です。

 現在橋は上がったままの状態で固定され、もう開閉の様子を見ることはかないませんが、昭和初期の名古屋港の運河の雰囲気を伝える土木遺産として、これからも時を刻んでいくことでしょう。


◆名古屋港跳上(なごやこうはねあげ)橋(旧1・2号地間運河可動橋)/名古屋市港区入船1-6~千鳥2-4地先
 竣工:昭和2年(1927)
 設計:山本卯太郎
 施工:山本工務所
 構造・形式:鋼PG(跳開=上部CW/カウンターウエイト式)
 撮影:2015/03/21
 ※国指定登録文化財 


■運河の堀川口に架けられた名古屋港跳上橋を西側より望む



■4径間の桁橋のうち、向かって一番右側の1径間が可動桁になっている



■旧四日市港駅鉄道橋と同タイプの山本工務所・山本卯太郎の銘が入ったプレート