お盆休みを利用して東京に住む娘を訪ねるついでに、近代建築巡り(実はこちらが本命)をしてきました。
近代建築探訪のバイブル、「日本近代建築総覧/1980年刊行」によると東京都23区内で実に2700ほどの建物が掲載されています。
今から37年前のデータですので、何割の建物が現存しているのかは想像もつきません。
それでも政治・経済の中心地東京が、全国で現存する近代建築のかなりの割合を占めているのは間違いありません。
今回は限られた日数でしたが、大東京ならではの圧倒的な質・量の建物を目の当たりにでき、近代建築好きにはたまらない至福の時間を過ごすことができました。
初日は東京駅を起点に、丸の内オフィス街から皇居一周コースを巡りました。
まずは2012年に戦災で失われた丸いドームが復活し、創建時の姿に復原された東京駅。
明治建築界のレジェンド、辰野金吾晩年の代表作が東京の玄関として蘇りました。
外観は煉瓦と花崗岩を交互に積むクイーン・アン様式を基調とした辰野式と呼ばれるデザインで、赤と白のコントラストがあざやかです。
東京駅は復原費用の面で一時取り壊しの話もありましたが、上空に建物を建てる権利「空中権取引」の売却を認めるウルトラC的特例制度で、JR東日本が三菱地所に使われていない容積率を譲渡することにより、復原にかかる大部分の事業費を賄うことができました。
また東京都は新たに「文化財特別型特定街区制度」を創設、東京駅とともに重要文化財の三井本館や明治生命館など、歴史的建造物保存への道が開かれたことは特筆に値します。
■3階部分が復原され創建時の重厚な姿を取り戻しました
■南北ドームの天井のレリーフは、創建時の意匠に復元され見どころがいっぱい。
見上げると八羽の鷲や干支の彫刻が出迎えてくれます。
◆JR東京駅丸ノ内本屋/千代田区丸の内1-9-1
竣工:大正3年(1914)/平成24年(2012)復原工事
設計:辰野金吾
施工:大林組他
構造:鉄骨煉瓦造3階
撮影:2017/08/11
※国指定重要文化財