思惟石

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池波正太郎『散歩のとき何か食べたくなって』健啖である

2021-03-09 11:04:48 | 日記
池波正太郎『散歩のとき何か食べたくなって』。

昭和50年頃に書かれた食のエッセイ。
主に都内の名店を紹介しつつ、
街並みの思い出などを語っています。
当時50歳前後の池波正太郎の思い出だから、
若かりし頃の戦前の風景にかる〜く飛びます。
なんなら祖父や母から聞いた開国前の江戸まで飛びます。

おじいちゃんから聞く思い出話みたいだ。
(うちの祖父は岩かってくらい無口だったけど)

銀座の煉瓦造オフィスが近代ビルに取って変わり、
日本橋が高速道路に蓋されるのを嘆く様は
過去の過去を知っている世代ならではなのかな、と。

我々の世代だと一周まわって、
日本橋の上で踏ん張る高速道路の背骨に愛嬌を感じませんか。
そうでもないか。

江戸時代の甘味処は小部屋もあってあいびきに使われていたとか、
そういう江戸知識はさすがで、おもしろいです。
知らなかった〜。

池波御大は初めてのお店にも気後れせず入れるらしいので、
評判を聞いた店を見つけるとぐいぐいいくし、
とにかく健啖で飲むわ食うわ甘味もいただくわで
読んでいて気持ちいい。

カウンターだけの天ぷら屋とか、
ひとりで入れる大人になりたいもんです…。
コメント
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