幸せの深呼吸

幸せは自分の中にある。
幸せは自分が決める。

質・量ともに過去最大、京都で藤田嗣治の大回顧展

2018-10-20 | Art

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181019-00050059-lmaga-l26

1920年代のパリで活躍し、その後は時代の波に翻弄されて激動の人生を送った画家・藤田嗣治(1886~1968)。彼の没後50年を記念する大回顧展が、「京都国立近代美術館」(京都市左京区)で10月19日からおこなわれます。

【写真】藤田嗣治《カフェ》1949年 油彩・カンヴァス ポンピドゥー・センター(フランス・パリ)蔵

藤田は1886年(明治19)に東京で生まれ、1905年(明治38)に東京美術学校に入学しました。1913年(大正2)に渡仏して、パリのモンパルナスに定住。長らく模索の時期を過ごしますが、「乳白色の裸婦」に代表される独自の画風を確立し、1919年(大正8)の「サロン・ドートンヌ」に出品した6点すべてが入選を果たすなど、人気作家の仲間入りをします。また、おかっぱ頭、丸眼鏡、ちょび髭の奇抜な風貌でも注目を集め、社交界で人気を博すなど時代の寵児になりました。

1930年代には中南米の旅に出て新たな画風に挑み、戦雲急を告げる1940年(昭和15)には帰国して作戦記録画を多数発表します。しかし戦後は国策協力を糾弾され、1949年(昭和24)に離日。1950年(昭和25)にフランスに戻ると日本国籍を捨ててフランス人となり、カトリックの洗礼を受け(洗礼名「レオナール」)、日本に戻ることなく1968年(昭和43)に没しました。

藤田の没後50年を記念する本展では、国内の作品はもとより、欧米の美術館の所蔵作品も含めた約100点が集結し、質・量とも過去最大規模で藤田嗣治の画業を展観します。「乳白色の裸婦」を代表する作品が10点以上含まれており、初来日の作品や、これまであまり紹介されてこなかった作品が含まれるなど、ディープな美術ファンも唸るほどの充実した内容です。

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フェンダーの調査により、英米のギター購入者の半数が女性であることが明らかに。エド・シーランらの影響でギター・カルチャーに変化か

2018-10-20 | Music

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181019-00000015-rorock-musi

フェンダーによる新たな調査によって、アメリカとイギリス両国において、若いギター・プレイヤーの半数が女性であることが明らかになった。

「Consequence of Sound」によると、フェンダーのCEOアンディ・ムーニーは今日のギター・カルチャーについて以下のようにコメントしているという。

今の弾き手は昔とは異なる文化とポピュラー音楽の環境下で育っていて、ムラ・マサ、タッシュ・スルタナ、Youngr、ダニエル・シーザー、グライムスエド・シーランといった新進のアーティストたちが、ギターの使われ方に変化をもたらしています。

ギター・ブランドとして、我々はこの世代のクリエーターたちが自己表現のために現在および将来的に必要とする物理的あるいはデジタルの道具を作ることに力を注いでいます。

今回の調査結果はフェンダーが3年前にアメリカで実施した調査と符号するもので、この3年前の調査がきっかけとなり、同社は販促キャンペーンの見直しを迫られ、2016年にはウォーペイントやBullyといったバンドを起用して新たにミレニアル世代向けのギターを発売したのだった。

なお、ムーニーは「Rolling Stone」のインタビューに答えた際にも、英米のギター購入者の層が類似しているとして「イギリスにおける新たなギター購入者の半数が女性だという事実は、フェンダーのUKチームにとっては驚きでした。しかしそれはアメリカで起こっていることとまったく一致しているのです」とコメントしていた。

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医師の87%が自身は延命治療を希望しない

2018-10-20 | 医療、健康

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181019-00026463-president-life

■いい病院、悪い病院の見分け方は? 

 いい病院とは“腕がよくて治療方針が明確、患者の話をよく聞いてくれる医師がいて、スタッフのホスピタリティーが行き届いている”理想はこれに尽きるが、なかなか出合えないかもしれない。いい病院、悪い病院を見分けるには、どういった点をポイントにすればいいのだろう。

 「大病院にかかる場合であれば、高度な技術や専門性を持った医師がいるかどうかが重要なので、手術件数が多いことが目安になります」

 と、メドピアの眞鍋歩医師は語る。手術件数は病院のホームページで公開されているので、簡単に調ベられる。また、実際に受診してからのポイントとして挙げるのは、次の点だ。「診察の流れがスムーズで、スタッフ同士のコミュニケーションが取れていることが大事。薬を出しすぎる医師がたくさんいないかどうかも気にしたいですね。薬は効果がある半面なんらかの副作用があります。患者さんのためにも、薬をいかに少なくするかは大切なことですから」

 パーソナル医療コーディネーターのおのころ心平さんが指摘するのは「手術を急(せ)かさないか」。

 「患者が動揺しているのに乗じて『○日が空いているから、この日に手術しましょう』とたたみかけてくるような病院は再考を。冷静になってから、自分も家族も納得する答えを出しましょう」

■信頼できるかかりつけ医を選ぶ方法は? 

 一口に病院といっても、ベッド数などによって呼称が違う。19床以下が診療所やクリニック、20床以上が病院、このうち、100床以上が主に総合病院、400床以上で先端的な医療を行うのは特定機能病院だ。

 日本人にはなぜか大病院信仰があるが、規模が大きくなるほど予約が取りづらかったり、担当医がコロコロ替わるなどのリスクもある。だから、予約しやすく信頼できる「かかりつけ医」を探すことに時間をさいたほうがベター。そこで重篤な病気が見つかった場合、カルテを時系列にしっかり把握している医師の目を通して、より高度な機能を持つ病院を紹介してもらえば問題ない。特に、30~40代の女性はライフステージの変化にそなえた、婦人科などのもう1人のかかりつけ医がいると安心だ。

■ご近所情報が、役に立つ

 「自宅や職場の近所など、ご自身の生活圏で見つけるのがベストですね。医師への評価に関しては、地元の“ご近所情報”ほど正確なものはないかもしれません。もちろん、最終的に、医師との相性は、自分の目で確かめて」(おのころさん)
「話をきちんと聞いてくれて、信頼関係を築ける医師を選ぶとよいと思います」(眞鍋医師)

 院内やスタッフの雰囲気も、「目で見て確認すべき点」だとおのころさんは言う。

 「玄関のスリッパが散らかっていたり、トイレの掃除が行き届いていないようなところは少し考えましょう。受付や看護師さんの私語が多いのも要注意。医師や経営者の教育がなっていない証しです」

■病気についてどこまで勉強するべき? 

 もし自分が抱えている症状について何科にかかっていいか不明なときは、住んでいる地域の役所の健康課などに問い合わせて、受診相談ができる窓口があるかどうか確認できる。

 また、インターネットによって、一般の人でもさまざまな知識をいつでも簡単に得ることができる。その気になれば、病院からCTやMRIなどの画像結果をもらい、その見方もネットで得られてしまう。病気に関してきちんと勉強することは必要だが、その弊害もなきにしもあらず。

 「患者が今かかっている病気について知りたいことといえば、病気の原因、成り立ちや診断についてではなく、治療法です。しかし、一足跳びにそれを求めると、情報の集め方に偏りが生じます。ネット上に躍る“画期的治療法! ”といった言葉に目を向けがちになり、玉石混交の情報に翻弄(ほんろう)され、逆に混乱してしまいます」(おのころさん)略


■医師のモチベーションが上がる患者になるには? 

 相手がどんな患者であろうと公平に平等に診療すること。ドクターは大学の医学部での6年間、徹底的にそういった教育を受けている。また、日本には国民皆保険制度が敷かれていて、誰もが同じ医療を受けられ、基本的な診療に差は出ないはず。

 そうはいっても、ドクターだって人間。その気にさせ、「この人を治してあげたい」とモチベーションを上げられる患者になるには、どうしたらいいのか? 

■自分の症状を「プレゼン」しよう

 そのためには、「まずは自分の症状をいかに的確に、正確に伝えられるか」が重要だと、両者は強調。

 ●いつから症状が始まったか? 
●いろいろな症状があるのなら、どの症状が一番辛いのか? 
●その症状に対して、ほかの医療機関で診療を受けているか? 
●薬を服用しているか?  また、その薬の名称は何か? 

 以上のようなことをメモして、きちんと説明できるようにしておくこと。病気に関係ないことを脈絡なく話し続け、基本的なところが整理できていないと時間のロスを生み、忙しい医師のやる気をそぐことになりかねない。いわば、「自分の病気のプレゼン力」を高めておくと、診療がうまくいく可能性が高い。

 また、診療中のやり取りをメモして、忘れないようにすることも必要だ。場合によっては、ICレコーダーやスマートフォンでの録音も可。「ただ、発言を記録するのは、医師に対して軽い圧迫感を生むので、メモのほうがいいでしょう。メモを取ると『もう1度言ってもらえませんか? 』と言いやすいし、医師もわかりやすくゆっくりしゃべってくれます」(おのころさん)

■まずは医師の診療方針に従う

 「いい患者」になりたいからといって、医師の言うことを何でもかんでも聞くという態度が好ましいというわけではないが、「最初は言うことを聞いてほしい」と眞鍋医師は言う。

 「自分で治療方針を決める、という信念は持ってほしいのですが、まずは医師の治療方針に従っていただきたいです。処方された薬を飲まない、途中でやめる、といったことをされると、その後の治療がうまくいかなくなる場合があります。そのうえで、相性が合わない、信頼できないとなれば、医師や病院を替えてもいいと思います」

 また、普段の人間関係と同様に、気遣いのできる患者は好かれる。いい意味でドクターや看護師から“ウケがいい”患者でありたいもの。

 「私のクライアントさんで、ある難治性の病気にかかっていた方がいました。ずいぶん辛いはずなのに、周囲への気遣いが素晴らしかった。『今日の先生のネクタイはすてきですね』と医師をほめたり、注射や検査のたびに看護師さんに感謝の言葉を忘れない。その女性によって病院のスタッフが癒やされ、彼女は“病院の天使”と言われていました。こういう患者さんがいると、病院全体に活気が出てきます」(おのころさん)

セカンドオピニオンは受けたほうがいい? 

 以前に比べると、セカンドオピニオンを受けやすい風潮になり、医師の間でも、積極的に受けるべきだという意見が多数派になっている。そうはいっても、面と向かって「セカンドオピニオンを受けたいのですが」と切り出すのは気がひける。そんなときはどうしたらいい? 

 「電話でいいので『こういう事情があるので、ほかの病院でも診断を受けたいです』と伝えるだけで十分。医師が忙しくて電話に出られない場合は、看護師さんに伝えるだけでも大丈夫です」

 と言うのは眞鍋医師。もちろんセカンドオピニオンを受けた後、最初のドクターのほうがいいという結論になっても問題なし。ただし、セカンドオピニオンの病院で手術を受けてしまった場合、最初の病院に戻るのは困難とのこと。

 「手術を担当した医師なら、その後の経過をちゃんと見たいからです。それに、ほかの病院での術後の処置をするのは難しいですね」

 がんや難治性の病の宣告を受けた場合は、「セカンドだけでなくサード、フォースオピニオンまで受けるべき」と言うのはおのころさん。

 「最初の医師にセカンドオピニオンを紹介された場合は、その医師の診断に間違いがないか、フォローするだけになってしまう場合もあるので注意が必要です。だから、ほかに2人ほど自分で探して、意見を聞くことをおすすめしています。3、4人の医師に診てもらうと、治療方針や手術法など、自分の病気を俯瞰(ふかん)して見ることができます」

■もう治療法がない、と言われたらどうする? 

 末期がんや難病などにかかり、医師から「もう治療法がない」と言われたら……。本人だけでなく、家族も絶望的な気持ちになるが、本当に打つ手はないのだろうか? 

■まだ見ぬ治療法が見つかるかも

 「医学は日進月歩で進歩しています。治療法がないというのは、現時点でのことなので、可能性が全くないわけではありません。現在の体調をなんとか維持して余命を延ばす間に、画期的な治療法が出てきたり、再生医療が進歩するかもしれません。臨床試験に参加するというのも、1つの手段です。臨床試験の対象になるためには、細かな条件やデータが必要になるので、選ばれた人しか参加できません。もし私の親族が臨床試験をすすめられたら、受けたほうがいいと伝えると思います。ほかに、経済的な余裕があれば、外国に渡って、治療や手術を受けることも選択肢に入ります」(眞鍋医師)

 さらに、「病気と共存する」という意識の転換も、余命を延ばす可能性があるとおのころさんは提言する。

 「死ぬまでにやりたいことをリストアップします。どこに行きたいとか、誰に会っておきたいかなど。そうやって自分の体力との兼ね合いをつけながら前向きな気持ちでいると、知らない間に存命する例が少なくありません。周囲の家族も『治すことより大事なこと』に目を向ける姿勢で接することができたら、何か、大きな発見があるかもしれません」

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致死率97%の脳食いアメーバ 感染がわかった時は手遅れ 米国の研究者「日本では温泉や水田にも注意を」

2018-10-20 | 医療、健康

https://news.yahoo.co.jp/byline/iizukamakiko/20181019-00100553/

 先月、ニュージャージー州に住むファブリチオ・ステイビル氏が、“脳食いアメーバ”に感染して、原発性アメーバ性髄膜脳炎(PAM)を発症し、亡くなったことが大きなニュースになったが、10月12日、ステイビル氏が感染したと推測されていた、テキサス州のリゾートパーク、BSRケーブルパークの水の調査結果が出た。

 報告書によると、“脳食いアメーバ”は、パークにある4つのアトラクションの1つで確認された。もっとも、そのアメーバが生息していたのは、人工プールではなく自然の水の中だった。他の3つのアトラクションの人工プールの水では“脳食いアメーバ”は見つからなかったものの、プールの水は生息するのに適した環境だったという。プールの水は消毒用の塩素の量が少なく、非常に濁っており、“脳食いアメーバ”が生息する場所にいるような他のアメーバや大腸菌が発見された。そのため、ステイビル氏が泳いだ9月8日に、“脳食いアメーバ”が生息していた可能性はあると関係者は話している。

 “脳食いアメーバ”とは、温かい淡水に生息しているフォーラーネグレリアのことで、アメリカでは、1962年から2017年の間に、このアメーバに感染した143人のうち139人が亡くなっている。97%という高い致死率だ。

 特効薬はまだないが、カリフォルニア大学サンディエゴ校のラリッサ・ポダスト博士とアンジャン・デブナス博士らを中心とした研究グループが実験を行なったところ、いくつかの既存薬が、フォーラーネグレリアの成長を抑制する効果があることがわかった。お二方に話を伺った。

感染がわかった時はすでに手遅れ

ーーフォーラーネグレリアはどこに生息しているのでしょうか?

 湖や川、池、水たまりなどの淡水や湿った土壌など自然の中に生息しています。プールも、今回のケースのように、適切な塩素消毒がされていなければ生息している可能性があり、感染源になる恐れがあります。

 しかし、フォーラーネグレリアは、それが生息している水が鼻の中に入らない限り感染しません。空気感染はしないからです。人間間でも感染しません。その意味では、非常に感染しにくいアメーバと言えます。しかし、いったん鼻に入ると、フォーラーネグレリアは鼻腔を通じて脳内に入り、脳の組織を破壊したり炎症を引き起こしたりするのです。その結果、脳は溶けたような状態になります。

 統計的には、フォーラーネグレリアがいる場所で泳いだ人、特に、若い男性がより多く感染していますね。海水には生息していません。

 

ーーフォーラーネグレリアに感染した患者はどのような症状を見せるのでしょうか?

 先日亡くなったステイビル氏もそうでしたが、突然頭痛に襲われます。高熱や肩懲り、食欲不振、嘔吐、焦燥感、落ち着きのなさ、まぶしがり症、精神状態の変化、無気力、めまい、幻覚などの症状も現れます。最後には、昏睡状態に陥り、発症してから3~7日で亡くなります。バクテリア感染やウィルス性髄膜炎に似た症状です。

 風邪の症状にも似ているため、通常、感染した人は風邪をひいたと思い込み、一晩寝れば治ると考えて、すぐに医者に行きません。しかし、その間に、フォーラーネグレリアは急速に脳を食べてしまうのです。そして、感染しているとわかった時は、すでに手遅れ状態になっているのです。

* ステイビル氏の場合も、9月16日(日曜日)、頭痛に襲われたため、薬を飲んで一晩休んだが、翌朝、起きてもまだ頭痛が続いていた。午後からは会話がまともにできなくなり、ベッドから起き上がることもできなくなったため、救急車で病院に運ばれた。医師はバクテリア感染だと考え、そのための治療をしたが、効果がなく、症状は悪化して行く一方だった。様々な検査を行った結果、9月20日(木曜日)、脊椎の体液の検査結果が出て、フォーラーネグレリアに感染していることがわかった。しかし、時すでに遅く、ステイビル氏は翌21日に亡くなった。医師は、すぐには、フォーラーネグレリアに感染していると診断できなかったのだ。

実際の感染者数は、報告数より多い

ーー診断が難しい状況があるのですね?

 そうですね。アメリカには先進的な診断法がありますが、それでも、患者の75%が、死後に検視をした結果、フォーラーネグレリアに感染していたことが判明したという状況です。それだけ、診断が難しいのです。その1つの理由として、医師が、フォーラーネグレリアに感染している可能性を最初から考慮していない状況があります。感染例が多いフロリダ州などアメリカ南部にいる医師なら、感染の可能性を考えてすぐに対処するでしょうが、感染例が少ない州の医師は、はなから感染の可能性を考えないで対処している状況があると思います。

 アジアでも、フォーラーネグレリアによる感染は起きてます。パキスタンでは感染例が多いのですが、イスラム教徒は、お祈りする前に、鼻から水を吸い込むという宗教的な儀式を行なっているからではないかと言われています。しかし、アジアでは診断できる医療環境が整っていないため、感染していたとしても見逃されているでしょうし、バクテリア感染だと誤診されている状況もあります。

 これらの状況を考えると、実際に、フォーラーネグレリアに感染した人の数は、報告されている数より多いと思います。

ーー日本でも感染した方がいますか?

 25歳の女性が感染した例があります。その女性の脳は腫れ上がり、出血も起きていました。脳幹は軟化しており、たくさんのフォーラーネグレリアが発見されました。

非常に初期段階なら薬が奏功するケースも

ーー3%の患者が助かったのはなぜでしょうか?

 アメリカには、CDC(アメリカ疾病予防管理センター) が推奨している、ミルテフォシンというドラッグのカクテルがあり、現在、アメリカでは、ミルテフォシンが、フォーラーネグレリアに感染して原発性アメーバ性髄膜脳炎を発症した患者に提供できる最善の薬になっています。数年前に助かった患者も、この薬で治療を受けたのですが、その患者の場合、非常に初期段階で感染していることがわかったので、この薬が効いたのです。フォーラーネグレリアがいったん脳内に入ってしまったら治療は難しいので、患者が頭痛や吐き気などの症状を見せたら、非常に早い段階で薬を与えることが重要です。また、その患者は、薬以外に、低体温化することで、脳の腫れも抑えました。

 しかし、ミルテフォシンが効かなかったケースもあるし、効いて命は助かったものの、脳にダメージが残ったケースもあります。

ーーフォーラーネグレリアがいる同じ場所で泳いだとしても、感染する人もいれば、感染しない人もいます。その違いはどこからくるのでしょうか?

 人はみな、湖のような場所ではフォーラーネグレリアに晒されているわけですが、何がある人を感染させ、別の人を感染させないかはわかっていません。また、どういうファクターが感染リスクを高めるのかもわかっていません。その人の免疫の強さとも関係あるかもしれません。何千人もの人が同じところで泳いでも、感染するのはごくわずかですから。いろいろなことがわかっていないのは、誰もこの感染をモニターしていないからです。同じところで泳いだ人が感染しているかどうか、誰もチェックしていませんからね。

看板で警告を

ーー今回、先生方は既存薬の中から、フォーラーネグレリアの成長を抑制する薬を発見されましたが、どういった薬になるのでしょうか?

 研究者たちは特効薬や迅速に診断できる方法を見つけ出そうとしていますが、それにはコストがかかります。医薬品会社も、原発性アメーバ性髄膜脳炎は患者数が非常に少ないまれな病気(アメリカでは年に0~8人の感染が報告されている)であることから、新薬開発に投資しようとしません。そのため、私たちは、こういった病気には既存薬を適用する”ドラッグ・リポジショニング”を行うのが適切だと考え、脳に効くと考えられる13の既存薬で実験したのです。

 その結果、実験したすべての薬が、現在、CDCが推奨しているミルテフォシンという薬よりも、フォーラーネグレリアの成長を抑制するのにより効果的であることがわかりました。乳がん治療薬であるタモキシフェンはミルテフォシンの10分の1の量で、抗うつ剤であるプロザックはミルテフォシンの2分の1の量で、フォーラーネグレリアの成長を半分に抑えることができたのです。

 今回はペトリ皿上での実験だったので、次は、ねずみで実験する予定です。動物実験で効果が見られたら、人にも使うことができるかもしれません。また、アメーバ性髄膜脳炎の特効薬開発にも繋げることができるかもしれません。

ーーしかし、今はまだ特効薬がない以上、人々に警告を促すことが重要ですね。

 地球温暖化のため、様々な感染症の罹患場所が緯度的に北上している状況があります。平均水温が高くなることで、今後、これまでよりも緯度が高い地域でも、人々がフォーラーネグレリアに感染するかもしれません。実際、アメリカ北部のミネソタ州でも、フォーラーネグレリアの生息が確認されました。感染地域が拡大していく可能性があるので、人々にアウェアネスを与えることが重要です。

「頭は水の上に出しておこう」と貼り紙で警告。

 例えば、アメリカでは、温暖な地域の川や湖に行くと、水を鼻に入れたり、頭を水中に入れたりしないよう警告する看板が立てられていますが、そのように注意を喚起することも重要でしょう。

 日本を訪ねた時、たくさんの水田を目にしましたが、水田はフォーラーネグレリアが住むには適した環境だと思います。水田で泳ぐことはないでしょうが、子供が水遊びしたりしないよう気をつけた方がいいでしょう。また、体温に近い35~39度の温水もフォーラーネグレリアが住むにはいい環境なので、温泉にも生息しているところがあると思います。温泉には、頭まで浸からないようにしてほしいです。

ハリケーンの影響も

 ちなみに、アメリカでは、2013年、ルイジアナ州に住む4歳の男児がフォーラーネグレリアに感染して亡くなったが、2005年に起きたハリケーン・カトリーナで引き起こされた洪水と関係があるのではないかと言われている。男児の住む地域は、洪水のため家屋が水に沈み、水がひいた後も、長い間放置される状態が続いていた。太陽の熱が、水道システムの水に含まれている塩素を破壊し、フォーラーネグレリアが繁殖したと推測されている。実際、男児の家の庭にある水道の水からは、男児の脳から発見されたのと同じ系統のフォーラーネグレリアが発見された。

 今年は、世界各地がハリケーンや台風で大きな被害を受けたが、大雨で引き起こされる洪水の水や洪水後の水道水の衛生状態にも気をつけた方がいいだろう。

 非常に感染しにくいフォーラーネグレリアではあるものの、その致死率の高さを考えると、日本でも、アウェアネスを高めていく必要があるのではないか。

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膵臓がんの早期発見に威力「超音波内視鏡検査」 CT、腹部エコー検査より優れた描出能力

2018-10-20 | 医療、健康

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181019-00000019-ykf-soci

通常の内視鏡と違うのは、スコープの先端部に小型の超音波装置が付いていること。口や肛門から挿入して検査する。東京逓信病院消化器内科でEUSを担当する加藤知爾(ともじ)医師が説明する。

 「主に、消化管(食道、胃、腸)から膵臓、胆道、胆のうや粘膜表面に病変の露出のない消化管粘膜下腫瘍(GISTなど)などの検査に用いられ、先端から針を出して組織を採取する『超音波内視鏡下穿刺(せんし)吸引術(EUS-FNA)』を行うこともできます」

 特に威力を発揮するのは、膵臓(すいぞう)がんの早期診断だ。膵臓がんの5年生存率は、リンパ節転移のない2センチ以下で発見されたI期では41・2%。それがII期では18・3%に低下。病期全体で見ると9・2%と、他のがんに比べても著しく低い。それだけ自覚症状が乏しく、早期発見が難しい。

 「膵臓がんは大きさ1センチ以下で発見されれば、約6~7割はI期に入る。1センチ以下のI期で治療した場合の5年生存率は80%といわれています。EUSは1センチ以下の膵臓がんを描出する能力がCTや体表からの腹部エコー検査より優れていることが報告されています」

 各検査の1センチ以下の膵臓がんの描出率は一般的に、腹部エコー検査が17~70%、CTが33~75%、EUSが86~100%という。

 EUS検査は通常の胃カメラ検査と同様に外来で行う。膵臓を調べる場合は口から挿入し、胃と十二指腸の壁に当てて観察する。スコープが通常の胃カメラと比べて若干太く、検査中に苦しくなることがあるため、全例で鎮痛剤を用いて眠った状態で行うという。検査時間は正味で15~20分ほどだ。

 では、膵臓がんの早期発見のためには、どんな場合にEUS検査を受けるといいのか。

 「家族歴や糖尿病慢性膵炎などのリスクの高い人は、まず腹部エコー検査やMRI検査を受けた方がいい。それで小さな膵臓がんでも認められる『膵管拡張』や『膵のう胞』等の異常を指摘された人は、EUS検査を受けるといいでしょう」

 ただし、EUSの病変描出には技術が必要で、実施する施設は限られる。検査を希望するなら病院のホームページなどで確認して受診しよう

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今、ホモ・サピエンスのアフリカ起源説など人類史の常識が次々と覆されている

2018-10-20 | 徒然なるままに

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181019-00182802-dzai-bus_all

 さらに近年、遺跡などから発掘された遺骨からDNAを解析する技術が急速に進歩し、歴史時代はもちろん、サピエンスが他の人類と分岐する以前の古代人の骨の欠片からDNAを読み取ることもできるようになった。この「古代DNA革命」によって、従来の遺跡調査からはわからなかった人類の移動や交雑の様子が明らかになり、古代史・歴史の常識が次々と覆されている。

 デイヴィッド・ライク『交雑する人類 古代DNAが解き明かす新サピエンス史』(NHK出版)は、サピエンスとネアンデルタール人の交雑を証明したマックス・プランク進化人類学研究所のスヴァンテ・ペーボとともに、この「古代DNA革命」を牽引する現役の遺伝学者が学問の最先端を一般向けに紹介した刺激的な本だ。

 詳細は本を読んでいただくとして、ここではそのなかから興味深い知見をいくつか紹介したい。とはいえ、その前に用語について若干断っておく必要がある。

 日常的に「人類」と「ヒト」を区別することはないが、人類学では両者は異なる意味で使われる。「ヒト」は現生人類(ホモ・サピエンス)のことで、「人類」はヒト族のみならず化石人類(アウストラロピクテス属など)を含むより広義の分類だ(専門用語ではホモ属=ホミニンhomininという)。ここでは、ユヴァル・ノア・ハラリに倣って現生人類を「サピエンス」とし、ネアンデルタール人やデニソワ人など絶滅した古代人を含むホモ属の集合を「人類」とする。

 本書でいう「交雑」とは、人類のなかの異なる集団(サピエンスとネアンデルタール人)や、サピエンスのなかの異なる集団(アフリカ系とヨーロッパ系)のDNAが混じりあうことだ。これは一般に「混血」とされるが、血が混じり合うわけではないから、科学的には明らかに誤っている。そのため「交配」が使われたりしたが、これはもともと品種改良のことで優生学的な含みがあるため、消去法で「交雑」に落ち着いたのだろう。

 そうはいっても、「交雑」には「純血種をかけあわせたら雑種になる」というニュアンスがあり、「彼らは混血だ」というのと、「彼らは交雑だ」というのではどちらがPC(政治的に正しい)かというやっかいな問題は避けられないだろう。しかし私に代案があるわけでもなく、将来、よりPCな用語が定着するまで、本稿でもサピエンス内の集団の性的交わりを含め「交雑」とする。

 これまで何度か書いたが、「原住民」と「先住民」では漢語として明確なちがいがある。「原住民」は「かつて住んでいて、現在も生活している集団」で、「先住民」は「かつて住んでいて、現在は絶滅している集団」のことだ。日本では「原住民」が一部で差別語と見なされているが、ここでは漢語本来に意味にのっとり、「アメリカ原住民」「オーストラリア原住民」として「(絶滅した)先住民」と区別する。

 多地域進化説では、180万年ほど前にユーラシアに拡散したホモ・エレクトス(原人)が各地で進化し、アフリカ、ヨーロッパ、アジアの異なる地域で並行的にサピエンスに進化したとする。それに対してアフリカ起源説では、サピエンスの祖先はアフリカで誕生し、その後、ユーラリア大陸に広がっていった。

 1980年代後半、遺伝学者が多様な民族のミトコンドリアDNAを解析して母系を辿り、すべてのサンプルがアフリカにいた1人の女性から分岐していることを明らかにした。これがミトコンドリア・イブで、約16万年(±4万年)に生存したとされる。この発見によってアフリカ起源説に軍配が上がったのだが、これはサピエンスが10~20万年前のアフリカで誕生したということではない。

 ライクによれば、この誤解はミトコンドリアのDNAしか解析できなかった技術的な制約によるもので、全ゲノム解析によると、ネアンデルタール人の系統とサピエンスの系統が分岐したのは約77万~55万年前へと大きく遡る。サピエンスの起源は、従来の説より50万年も古くなったのだ。

 そうなると、(最長)77万年前からミトコンドリア・イブがいた16万年前までの約60万年が空白になる。これまでの通説では、その間もサピエンスはずっとアフリカで暮らしていたということになるだろう。

 ところがその後、サピエンスの解剖学的特徴をもつ最古の化石が発見され、その年代が約33万~30万年前とされたことで、従来のアフリカ起源説は大きく動揺することになる。“最古のサピエンス”はジェベル・イルード遺跡で見つかったのだが、その場所は北アフリカのモロッコだったのだ(正確には石器や頭蓋の破片が発見されたのは1960年代で、近年の再鑑定で約30万年前のものと評価された)。

 アフリカ起源説では、サピエンスはサハラ以南のアフリカのサバンナで誕生し、約5万年前に東アフリカの大地溝帯から紅海を渡って「出アフリカ」を果たしたとされていた。だが30万年前に北アフリカにサピエンスが暮らしていたとなると、この通説は覆されてしまうのだ。

遺伝学的には「アフリカ系統」と「ユーラシア系統」がある

 遺伝学的には、サピエンスは「アフリカ系統」と「ユーラシア系統」の大きく2つの系統に分かれる。ユーラシア系統は5万年ほど前にアフリカを出て世界じゅうに広がっていき、アフリカ系統はそのまま元の大陸に残った。

 この2つの系統は、ネアンデルタール人のDNAを保有しているかどうかで明確に分かれる。ネアンデルタール人はユーラシアにしかいなかったため、アフリカにいるサピエンスとは交雑せず、そのためアフリカ系統の現代人にネアンデルタール人のDNAの痕跡はない。

 従来の説では、ネアンデルタール人の遺跡がヨーロッパで多く発見されたため、出アフリカ後に北に向かったサピエンスが交雑したとされていた。だが現代人のDNAを解析すると、非アフリカ系(ユーラシア系)はゲノムの1.5~2.1%ほどがネアンデルタール人に由来するが、東アジア系(私たち)の割合はヨーロッパ系より若干高いことが明らかになったのだ。

 その後も、単純な「出アフリカ説」では説明の難しい人類学上の重要な発見が相次いだ。

 2008年、ロシア・アルタイ地方のデ二ソワ地方の洞窟で、約4万1000年前に住んでいたとされるヒト族の骨の断片が見つかった。サピエンスともネアンデルタール人とも異なるこの人類は「デニソワ人」と名づけられたが、DNA解析でニューギニアやメラネシアでデニソワ人との交雑が行なわれたいたことがわかった。――ライクは、これをシベリア(北方)のデニソワ人とは別系統としてアウストラロ(南方)デニソワ人と呼んでいる。

 さらに、アフリカ系と非アフリカ系のDNAを比較すると、ネアンデルタール人、デニソワ人とは別系統のDNAをもつ集団がいたと考えないと整合性がとれないこともわかった。

 ライクはこの幻の古代人を「超旧人類」と名づけ、サピエンス、ネアンデルタール人、デ二ソワ人の共通祖先(約77万~55万年前)よりもさらに古い140万~90万年前に分岐したと推定した。超旧人類はデニソワ人と交雑し、その後、絶滅したと考えられる。

 約5万年前にサピエンスが「出アフリカ」を遂げたとき、ユーラシアにはすくなくともネアンデルタール人とデニソワ人(アウストラロ・デニソワ人)という人類がおり、サピエンスは彼らと各地で遭遇した。交雑というのは性交によって子どもをつくることで、動物の交配(品種改良)を見ればわかるように、きわめて近い血統でなければこうしたことは起こらない。

 分類学では、子をつくらなくなった時点で別の「種」になったとみなす。ということは、サピエンス、ネアンデルタール人、デニソワ人は(あるいは超旧人類も)「同種」ということだ。ネアンデルタール人とデニソワ人は同じユーラシアに住み、47万~38万年前に分岐したとされるから「同種」なのもわかるが、それより前の77万~55万年前に分岐し、地理的に隔絶したアフリカ大陸で(最長)70万年も独自の進化をとげてきたはずのサピエンスがとつぜんユーラシアに現われ、彼らと交雑できるのだろうか。

 ここでライクは、きわめて大胆な説を唱える。サピエンスもユーラシアで誕生したというのだ。

サピエンスはなぜ他の人類を絶滅させるまでになったのか

 従来の人類学では、人類はアフリカで誕生し、約180万年前にホモ・エレクトス(原人)がユーラシア大陸に進出した後も、ネアンデルタール人の祖先やサピエンスなど、さまざまな人類がアフリカで誕生しては繰り返し「出アフリカ」したことになっている。だがなぜ、新しい人類はアフリカでしか生まれないのか?  ユーラシア大陸にも180万年前から多くの人類が暮らしていたのだから、そこで進化したと考えることもできるのではないか。

 ライクは古代人のDNA解析にもとづいて、ユーラシアに進出したホモ・エレクトスから超旧人類が分岐し、さらにサピエンス、ネアンデルタール人、デニソワ人と分岐していったのではないかと考える。デニソワ人は東ユーラシアから南ユーラシアに広がり、ネアンデルタール人はヨーロッパを中心に西ユーラシアに分布した。だとしたら、サピエンスはどこにいたのか。

 ライクの説によると、サピエンスは脆弱な人類で、ネアンデルタール人に圧迫されて中東の一部に押し込められていた。その後、ネアンデルタール人がさらに中東まで進出したことで、約30万年前には北アフリカや東アフリカまで撤退せざるを得なくなった。これが、モロッコでサピエンスの痕跡が発見された理由だ。

 ところが5万年ほど前に、そのサピエンスが「出アフリカ」を敢行し、こんどはネアンデルタール人やデニソワ人などを「絶滅」させながらユーラシアじゅうに広がっていく。このときネアンデルタール人は中東におり、サピエンスと交雑した。このように考えると、アフリカ系にネアンデルタール人のDNAがなく、東アジア系がヨーロッパ系と同程度にネアンデルタール人と交雑していることが説明できる。ネアンデルタール人の遺跡がヨーロッパで多数見つかるのは、サピエンスと遭遇したのち、彼らがユーラシア大陸の西の端に追い詰められていったからだろう。

 中東でネアンデルタール人と交雑したサピエンスの一部は東に向かい、北ユーラシアでデニソワ人と、南ユーラシアでアウストラロ・デニソワ人と遭遇して交雑した。その後、彼らはベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸へ、海を越えてオーストラリア大陸へ、そして千島列島から北海道、本州へと渡り縄文人の先祖になった。

 ところで、ネアンデルタール人に圧迫されて逃げまどっていた脆弱なサピエンスは、なぜ5万年前には、他の人類を絶滅させるまでになったか。これについては遺伝学者のライクはなにも述べていないが、ひとつの仮説として、アフリカに逃げ延びた30万年前から「出アフリカ」の5万年前までのあいだに、共同で狩りをするのに必要な高度なコミュニケーション能力を進化させたことが考えられる。これによってサピエンスは、マンモスなどの大型動物だけでなく、ネアンデルタール人やデニソワ人など他の人類を容赦なく狩り、男を皆殺しにし女を犯して交雑していったのかもしれない。

馬を手にしたヤムナヤの遊牧民がヨーロッパに移動した

 ライクは『交雑する人類』で、DNA分析からヨーロッパ、南アジア、東アジア、アメリカ原住民、オーストラリア原住民、アフリカなどでどのようにサピエンスが移動し、交雑していったのかを説明している。ここではそのなかで、ヨーロッパとインドについて紹介しよう。

 1万年前、中東の肥沃な三日月地帯で農耕が始まると、新たなテクノロジーを手にしたひとびとは農耕可能な土地を求めて東西に移住していった。しかしなかには農耕に適さない森林地帯や草原地帯(ステップ)もあり、そこには依然として狩猟採集民がいた。農耕民と狩猟採集民は、時に交易し、時に殺し合いながら暮らしていた。そうした集団のなかには、今日、DNAにしか痕跡を残さない者もおり、ライクはそれを「ゴースト集団」と呼ぶ。

 遺伝学的には、8000年前頃の西ユーラシアの狩猟採集民は青い目に濃い色の肌、黒っぽい髪という、いまでは珍しい組み合わせの風貌だったと推定されている。ヨーロッパの最初の農耕民のほとんどは、肌の色は明るかったが髪は暗い色で茶色の目をしていた。典型的なヨーロッパ人の金髪をもたらした変異の最古の例として知られているのは、シベリア東部のバイカル湖地帯でみつかった1万7000年前の古代北ユーラシア人(ゴースト集団)だ。

 ヨーロッパの東には中央ヨーロッパから中国へと約8000キロにわたって延びる広大なステップ地帯があったが、5000年ほど前にそこで馬と車輪というイノベーションが起きた。この最初の遊牧民の文化を「ヤムナヤ」と呼ぶ。

 馬という高速移動手段を手にしたヤムナヤの遊牧民は、新たな土地を求めて移動を繰り返した。このうち西に向かった遊牧民が現在のヨーロッパ人の祖先だ。

 ここでライクが強調するのは、遊牧民がヨーロッパの農耕民と交雑したわけではないということだ。DNA解析によれば、彼らは定住民とほぼかんぜんに置き換わってしまったのだ。

 遊牧民が定住民の村を襲ったのだとすれば、男を殺して女を犯して交雑が起きるはずだ。その痕跡がないということは、遊牧民がやってきたときには定住民はいなかった、ということになる。そんなことがあるのだろうか。

 ここでの大胆な仮説は病原菌だ。ペストはもとはステップ地帯の風土病とされているが、遊牧民が移住とともにこの病原菌を運んできたとしたら、免疫のない定住民はたちまち死に絶えてしまったはずだ。こうして交雑なしに集団が入れ替わったのではないだろうか。

 15世紀にヨーロッパ人はアメリカ大陸を「発見」し、銃だけでなく病原菌によってアメリカ原住民は甚大な被害を受けた。興味深いことに、それとまったく同じことが5000年前のヨーロッパでも起き、「原ヨーロッパ人」は絶滅していたかもしれないのだ。

西ヨーロッパ人と北インドのアーリア、イラン人は同じ起源を持つ同祖集団

 馬と車輪を手にしたステップの遊牧民のうち、ヨーロッパ系とは別の集団は南へと向かい、現在のイランや北インドに移住した。彼らはその後「アーリア」と呼ばれるようになる。

 独立後のインドでは、「インド人とは何者か? 」が大きな問題になってきた。

 ひとつの有力な説は、ヴェーダ神話にあるように、北からやってきたアーリアがドラヴィダ系の原住民を征服したというもの。この歴史観によると、バラモンなどの高位カーストは侵略者の末裔で、低位カーストや不可触民は征服された原住民の子孫ということになる。

 だがこれが事実だとすると、インドはアメリカの黒人問題と同様の深刻な人種問題を抱えることになり、国が分裂してしまう。そこでヒンドゥー原理主義者などは、アーリアももとからインドに住んでおり、神話にあるような集団同士の争いはあったかもしれないが、それは外部世界からの侵略ではないと主張するようになった。

 現代インド人のDNA解析は、この論争に決着をつけた。

 インド人のDNAを調べると、アーリアに由来する北インド系と、インド亜大陸の内部に隔離されていた南インド系にはっきり分かれ、バラモンなど高位カーストは北インド系で、低位カーストや不可触民は南インド系だ。インダス文明が滅び『リグ・ヴェーダ』が編纂された4000年~3000年前に大規模な交雑があり、Y染色体(父系)とミトコンドリア染色体(母系)の解析から、北インド系の少数の男が南インド系の多くの女と子をつくっていることもわかった。

 近年のヒンドゥー原理主義は、カーストが現在のような差別的な制度になったのはイギリスの植民地政策(分断して統治せよ)の罪で、古代インドではカーストはゆるやかな職業共同体で極端な族内婚は行なわれていなかったとも主張している。この仮説もDNA解析で検証されたが、それによると、ヴァイシャ(商人/庶民)階級では、2000~3000年のあいだ族内婚を厳格に守って、自分たちのグループに他のグループの遺伝子を一切受け入れていないことが示された。ジャーティと呼ばれるカースト内の職業集団にもはっきりした遺伝的なちがいがあり、インドは多数の小さな集団で構成された「多人種国家」であることが明らかになった。

 西ヨーロッパ人と北インドのアーリア、イラン人は同じステップ地方の遊牧民「ヤムナヤ」に起源をもつ同祖集団で、だからこそ同系統のインド=ヨーロッパ語を話す。それに加えてライクは、バラモンによって何千年も保持されてきた宗教もヤムナヤ由来で、ヨーロッパ文化の基層にはヒンドゥー(インド)的なものがあることを示唆している。

ゲノム解析では「アフリカ人」「ヨーロッパ人」「東アジア人」「オセアニア原住民」「アメリカ原住民」はグループ分けできる

 『交雑する人類』にはこれ以外にも興味深い仮説がたくさん出てくるのだが、それは本を読んでいただくとして、最後に人種問題との関係についてライクの見解を紹介しておきたい。

 ここまでの説明でわかるように、DNA解析は歴史を再現するきわめて強力な手段だ。それがサピエンスとネアンデルタール人の交雑であれば科学的な興味で済むだろうが、現代人の異なる集団の交雑を検証する場合、北インド人と南インド人のケースでみたように、きわめてセンシティブな領域に踏み込むことになる。一歩まちがえば「人種主義(レイシズム)」として批判されかねないのだ。

 ライクはリベラルな遺伝学者で、この重い問いに誠実にこたえようとする。その一方で、科学者として耳触りのいい「きれいごと」でお茶を濁すこともできない。

 リベラル(左派)の知識人は、「人種は社会的な構築物だ」とか、「人種などというものはない」と好んでいいたがる。だが2002年、遺伝学者のグループがゲノム解析によって世界中の集団サンプルを分析し、それが一般的な人種カテゴリー、すなわち「アフリカ人」「ヨーロッパ人」「東アジア人」「オセアニア原住民」「アメリカ原住民」と強い関係のあるクラスターにグループ分けできることを立証した。これはもちろん、「人種によってひとを区別(差別)できる」ということではないが、人種(遺伝人類学では「系統」という用語が使われる)のちがいに遺伝的な根拠があることをもはや否定することはできない。

 このことは、もっとも論争の的となる人種と知能の問題でも同じだ。

 ヨーロッパ人系統の40万人以上のゲノムをさまざまな病気との関連で調査した結果から、遺伝学者のグループが就学年数に関する情報だけを抽出した。その後、家庭の経済状況などのさまざまなちがいを調整したうえで、ゲノム解析によって、就学年数の少ない個人より多い個人の方に圧倒的によく見られる74の遺伝的変異が特定された。

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中国で2020年までに「人工の月」を打ち上げる計画が明らかに

2018-10-20 | 宇宙

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181019-00010009-newsweek-int

──太陽光を反射させ月の8倍の明るさで地表を照らす人工衛星……

■ 太陽光を反射させる人工衛星

中国南西部の四川省成都市で、宇宙から地表を照らす、いわば“人工の月”のような人工衛星の打ち上げ計画が明らかとなった。

「深センすごい、日本負けた」の嘘──中国の日本人経営者が語る

中国共産党中央委員会の機関紙「人民日報」によると、人工衛星や打ち上げロケットなどを開発・製造する国営企業「中国航天科技集団公司(CASC)」の呉燕生会長は、2018年10月10日、成都市で開催された「全国起業・イノベーション活動ウィーク」において、「2020年までに“人工の月”となる人工衛星を打ち上げる」と発表した。

衛星の表面にコーティングした反射膜に太陽光を反射させて月の8倍の明るさで地表を照らし、街路灯の代わりに活用するというものだ。直径10キロメートルから80キロメートルのエリアを照らすことができ、その範囲は地上で制御できる仕組みとなっている。

この“人工の月”は、「上空に巨大な鏡のネックレスをかけて太陽光を反射させ、パリの街を一年中照らす」というフランス人アーティストのアイデアから着想を得、数年にわたって技術開発がすすめられてきた。同会長は「ようやく技術が成熟した」と自信を示す。

■ 動植物の概日リズムへの影響は?

しかしながら、宇宙からの反射光が動植物の概日リズムに悪影響をもたらしたり、地球の大気を観測する天文観測システムの障害になるのではないかとの指摘もある。これらの懸念に対して、ハルビン工業大学のカン・ウェイミン氏は「この人工衛星が反射する光は夕闇に似たもので、動物の概日リズムに影響するものではない」と述べている。

反射鏡を用いて太陽光を反射させ、街の明かりとして活用する事例としては、ノルウェー南東部の谷底にある小さな町リューカンで2013年に創設された「ソールスピーレット」(ノルウェー語で「太陽の鏡」の意味)が広く知られている。急な山の斜面に17メートル四方の巨大な鏡を3枚設置し、太陽光を反射させることで、日照時間が短い冬の間、町の中心部にある600メートル四方の広場を明るく照らす仕組みだ。

“人工の月”の打ち上げに向けた具体的なスケジュールや打ち上げ後の運用方針など、詳細についてはまだ明らかにされていないが、成都市では、街路灯の設置コストやエネルギーコストの削減につながると期待を寄せている。

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「週150分の早歩き」で4年半寿命を延ばせる

2018-10-20 | 医療、健康

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181019-00182473-diamond-soci

● 「運動せよ」が医師として最良のアドバイス

 私が医師として患者に与えられる最良のアドバイスは、これだ。

 「動いて、動いて、動き続けろ!」

 定期的に運動する人が元気で長生きすることは疑問の余地がない。

 売上が年間10億ドルを超える医薬品も珍しくないこのご時世に、まったくお金がかからず、それでいて超高価な処方薬に匹敵するほど効果の高いものがあるなんて、信じられないほどだ。公園を散歩するなどの簡単なことで、寿命を何年も延ばせるというのだ。

 ビタミンDを生成する日光と同じで、人生で最高のもののなかには、まったくお金をかけずに簡単に利用できるものがある。

 ニューヨーク・タイムズは、こんなふうに説明する。

 「私たちの遺伝子が運動を好むように進化したことは、多くのエビデンスが示している。いいかえれば、先史時代には、体が強くなく、すばやく動けない人は生きられなかった。体力のある人だけが生き延びて子孫を残し、より『運動に適した』遺伝子を伝えた。だが現代の運動不足の生活では、そうした遺伝子がさまざまな悪影響をおよぼし、慢性疾患の原因になっているとする研究もある」

● 運動は超強力な「クスリ」である

 ハーバードとスタンフォードのメディカルスクールが行い、2013年にイギリスの医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』に掲載された共同研究は、33万9274人を対象とした305件のランダム化比較試験を分析し、運動と薬物療法の有効性を比較し、また対照群とも比較して、死亡率への影響を検証した。

 その結果、2型糖尿病、心不全、慢性脳卒中、慢性心臓疾患という、生命を脅かす4つの疾患や症状について、運動と薬物療法のあいだに統計的に検出可能な差が認められなかった。

 研究責任者のフセイン・ナシによると、彼らが驚いたのは「運動に、重篤な慢性疾患患者に対する強力な救命効果が認められた」ことだ。「また意外にも、身体活動がほかの多くの疾患におよぼしうる効果がほとんど解明されていないことがわかった。私たちは運動の健康効果を知らないことで損をしているのかもしれない」

 定期的な運動には、早期死亡リスクを下げ、体重管理を助け、心臓疾患や2型糖尿病、脳卒中、認知低下、うつ、特定の種類のがん、骨粗鬆症と骨折、性的不能のリスクを低下させる効果があることが、研究で示されている。

 いちばんわかりやすい効果は、減量と体重維持だろう。食事制限なしの運動だけで劇的にやせることはないが、定期的な運動で数キロ減らすだけでも、健康状態を大いに改善することができる

● 「週150分の早歩き」で4年半寿命を延ばせる

 アメリカ国立がん研究所栄養疫学部門のスティーブン・ムーア博士率いる研究チームは、ライフスタイルと疾患リスクの関連性を調べた6件の大規模研究の参加者65万人以上から収集されたデータを分析した。

 この研究の結果は、論文審査のあるオンライン医療専門誌『PLOSメディシン』に2013年に掲載され、1日10分早歩きをする人は、運動習慣のない人に比べて寿命が1.8年長かったこと、また世界保健機関の推奨する週150分の早歩きによって4年半も寿命を延ばせることを示した。

 20年以上前に公衆衛生局長官によって発表された、最初の身体活動と健康に関する報告書は、運動の効果を次のようにまとめている。

 「(身体活動には)早期死亡リスクと心臓疾患、高血圧、結腸がん、糖尿病のリスクを低減させるなどの効果がある。また定期的な運動参加は、うつや不安を減らし、気分を改善し、生涯にわたって日常生活動作の能力を高めるようだ」

 報告書は続けて断定する。

 「高齢者か若年者かにかかわらず、日常的な身体活動レベルが高い人ほど死亡率が低く、日常的な身体活動レベルが中程度の人でさえ、レベルが最も低い人に比べて死亡率が低かった」

 それ以降、この結論は多くの研究によって確認、補強されている。

 たとえば2008年にアメリカ保健福祉省は、長期的研究のメタアナリシスに基づく、健康的な生活を送るための新しいガイドラインを発表した。13人の識者が10年ぶりに科学的研究の包括的レビューを行い、こう結論づけている。「定期的な身体活動には、心臓発作と脳卒中のリスクを20%以上低減させ、早死にするリスクを下げ、高血圧、2型糖尿病、結腸がん、乳がん、加齢による骨折、うつ病を予防する効果がある」

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ボウリング場で客と店員が大乱闘 球を頭に投げつけ

2018-10-20 | 世界

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20181019-00000063-ann-int

 ボウリング場で客の男が大暴れ。店員に向けて球を投げ付けるなどやりたい放題だ。

 ボウリング場で客と店員のバトルが勃発。白いシャツの男が仲裁に入ると思った次の瞬間…。無防備な男性店員にパンチの嵐。男らは店員に「騒がしいから出て行け」と注意されたことに腹を立てて暴行したというのだが、ボウリングの球を頭に振り落とすなどやりたい放題。店員は頭部などにけがをして病院に搬送された。暴行した2人の男はその後、逮捕されたという。

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夜の北海道で謎の光球、「空が光った」と騒然に!カメラにも光の玉!火球が落下か

2018-10-20 | 徒然なるままに

 

「火の玉見た!」 北海道各地で「火球」か
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181019/k10011677101000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_002


18日夜、NHKが北海道の各地に設置したカメラに上空を流れ落ちる「火の玉」のような光が写っていました。専門家は小惑星のかけらなどが大気圏に突入して燃え尽きる際に光る「火球」ではないかと話しています。

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