https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181021-00023520-forbes-bus_all
多くの人がオンラインショッピングを利用する現在、消費者の中には必要以上に多くの商品を注文し、一部を返品する人も多い。
このほど発表された調査結果によると、小売各社が無料で返品を受け付けていることを悪用する顧客が増加していることから、度重なる返品規定の違反者による購入の拒否を検討している業者がますます増加しているという。
小売業者を支援するためのソフトウェアの開発などを行うブライトパール(Brightpearl)が今年9月に米英の小売業者200社を対象に行った調査では、米国の約60%、英国の45%以上の業者が、返品を繰り返す顧客への販売を無期限に拒否する用意があると回答した。米国で玩具やギフト、赤ちゃん用品を販売する業者に限定した場合、同様の考えを示している企業の割合は80%を超えるという。
小売業者の対応が変化している理由は、どこあるのだろうか?業者のうち米国の約42%、英国の30%は、過去12カ月間に返品を繰り返す顧客が増加したと答えている。
何度も返品するのは、どのような人たちだろうか?オンライン通販を利用している消費者およそ4000人からも回答を得たこの調査で明らかになったのは、両国ともに18~34歳の購入者の3分の1以上が、一部の商品を返品するつもりで余分に購入したことがあると述べていることだ。こうした買い方をしたことがある人の割合は、両国ともこの年齢層が最も高くなっている。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは今年5月、インターネット通販最大手のアマゾン・ドットコムは今後、あまりにも返品が多い顧客への販売を拒否する可能性があると報じた。上記の調査結果からみると、アマゾンのそうした意思表示はほかの小売業者を勇気づけたと考えられる。
記事によればアマゾンは、「全ての人に当社のサービスを利用してもらいたい。だが、数は少ないものの、長期にわたって繰り返し、当社のサービスを悪用している顧客がいる」と説明。軽々に下せる判断ではないとしながらも、世界におよそ3億人の顧客を持つ同社としては、「必要な場合には対策を講じる」意向を示した。
小売業者には頭痛の種
消費者はオンラインで購入した場合の方が、返品する確率が高い。例えば、小売業向けのソフトウェアを提供するショピファイ(Shopify)の調査によれば、購入後の返品率は、実店舗の場合は10%だ。だが、オンライン通販の場合は20%となっており、さらにホリーデーシーズには30%に上昇するという。
販売形態にかかわらず、小売業界にとって返品は大きな頭痛の種だ。ネット通販事業を支援するアプリス・リテール(Appriss Retail)が米国での返品に関してまとめた報告書によると、昨年中の返品額はおよそ3510億ドル(約39兆46000億円)に上っている(売上高の総額に占める割合の中央値は10%)。
さらに、返品された商品の金額のうち、約228億ドル分(返品額の総額に占める割合の中央値は6.5%)が、詐欺行為や返品規定の悪用だったとみられている。
アウトドアブランドのL.L.ビーンは商品を「永久保証」することで知られてきた。だが、同社は今年2月、返品に応じるのは購入から1年間とする規定を新たに設けたことを発表し、注目を集めた。
同社はその理由として、「少数ではあるものの、保証制度に関して当社の本来の意図とは異なる解釈をする顧客が増加している」ことを挙げている。保証制度を永久交換プログラムと捉え、何年も前に購入し、使い古した商品の払い戻しを求める顧客や、ヤードセールなどで第三者から購入した商品の払い戻しを求める人もいたという。
ますます気まぐれになる消費者を満足させようとする小売業者は、同時にコストのかかる不正な返品と戦わなければならない。この問題に関しては今後、微妙なバランスを取っていくことになる