緩和ケアで行こう

へなちょこ緩和ケアナース?!のネガティブ傾向な日記です。

かつての「ある日」の記録

2011-03-22 01:34:30 | 日々の「ケア」

 今日は、どうか平穏に勤務が終わりますように…。

 日勤(朝から夕方までの勤務)からの申し送りが始まります。日勤も手一杯というくらい忙しくて、それぞれの担当から順序よく申し送りが始まりません。
 私は夕方から消灯あたりの時間までの勤務です。

 外来時間はもうとっくに終わっているけれど、入院患者さんの外来受診の時間が時間外にずれ込むことはよくあることです。
 「あ、患者さんのお迎えを呼ばれた…。」 
 入院患者さんには自分で歩けない患者さんがとても多いです。だから、病棟から外来までの道のりを往復するのって、夜勤帯の人数が少なくなる時にこなすのって、ちょっと大変。

 そろそろ食事の時間。食事の準備を整えつつ、夕方の点滴を配って歩く。それと同時に、糖尿病の患者さんの食前の血糖測定をする。8人分。そしてそれと同時に、自分の担当の患者さんの部屋をのぞく。
 部屋を回りながら、自分ひとりでは食事をできない患者さんをいつものように、ナースステーションにお連れする。患者さんをベッドから車椅子へ移動してもらう。患者さんはまったく動けません。すべて介助。
 ナースコールはその間、鳴り続けています。
 低血糖の影響で認知障害のある患者さんが輸液ポンプ(点滴を落としてくれる器械)がつけてあるのをお構いなしにトイレに行こうとする。消化吸収障害のために、下痢が止まらない患者さんです。トイレに着いたときにはおむつは既に汚れていて…。
 とにかく、トイレで用を足してもらう。
 「ああ、業務はなかなか前に進まないな。」
 食事のために、認知症のある患者さんをナースステーションにお連れする。4名。
 食事を乗せたワゴンが運ばれてきた。
 食事を運ばなくてはならない時間に、ある患者さんの緊急手術が決まった。
 「一人は手術の手続きに取られるから、自分のチームの患者さんは(病棟は2つのチームにわけて患者さんをケアしています。)私一人がやりくりしないといけない…。」

 食事を配るのには少々、時間がかかります。配っている間に食事を終えてしまう患者さんもいます。
 ナースステーションで食事を介助しながら、他の患者さんのところへ…。
 人工呼吸器のついている患者さんの体位変換(体の向きを変える)をしないと…、痰をとってあげないと…。
 食後の薬を配っている間に、食事を終えた患者さんがお膳を下げて欲しいとコールの嵐。
 ナースステーションでは食べ終えた患者さんが「もう帰る!」と立ち上がっている。しっかりと歩けない患者さんが一人で立ち上がって歩こうとすると、転倒してけがをする危険性が高い。だから、一人で歩いて部屋に帰ってもらうわけにはいかない。何とかなだめて居てもらう。
 数人の患者さんの内服のお手伝い、歯磨きのお手伝いをする。
 ナースステーションに帰るたびに患者さんの口に少しずつご飯を運びつつ。その横で「もう帰る」と患者さんが耐え切れず、だだをこねるようになってきた。
 とりあえず、帰って貰う…。
 
 緊急手術の予定が決まり、搬送のお手伝い。患者さんの家族が壁に頭をもたせかけるように、落ち込んでいらっしゃる。
 「大丈夫ですか」
 これくらいしか声をかけれない。またナースステーションに戻って患者さんの口に食事を入れる。
 先ほど部屋に帰って貰った患者さんがトイレに頻繁に通う…。すべて付き添わなくてはならない。お尻が半分みえたままズボンをずらして部屋に向かって歩いている。
 トイレが終わったらボタンを押して呼んでください、とお願いしても、それができない患者さんには何度もこれをお願いすると「わからない!」と怒ってしまわれる。
 とにかく、付いて歩く。

 食事を終えた認知症の患者さんを自室に一人にしておくのはベッドから勝手に降りて危険なのでナースステーションにお連れする。
 「(部屋に)帰らせてくれ!」と患者さんが車椅子でもがきだす。
 「もう少し待ってね、ここでいてもらえないかな??」となだめつつ、食事に1時間はかかる患者さんの口に食事をまた一口運ぶ。
  
 緊急手術の患者さんを手術室に搬送し終えた後、内線電話が鳴る。
 「直入(緊急入院)、お願いします。」

 「なんでこんな大変な時に自分の病棟に緊急を入れるの?他に病棟はなかったの?」ついつい、こころでぼやく。
 すべての患者さんに食事の介助をできていない状況で緊急入院は受け入れられない。15分は待ってもらうことにした。

 勤務を始めて3時間あまり。
 私は悲鳴を上げていました。その後、勤務終了まで、次の勤務者が来るまで何とか持ちこたえなきゃ…、と思いつつ…。
 
 何とか、勤務を終えた後、へとへとでした。

 へとへとなのは、体だけ?
 そうだ、と答えられない自分がいました。

 私だけ?
 私だけ?


 
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 かつて、私はこんな勤務をこなしていました。
 そう思うと、今の環境で仕事できること自体が、とてもありがたいことに思えて仕方なくなってきました。

 自分自身や自分が目指すところ、大切にしないといけないことなどなど、振り返ることはたくさんあります。
 
 まだ、時間はある。
 そう言っていていいのだろうか。
 
 そうやって毎日が同じように過ぎ去っていき、結局、以前と変わらない…。
 それじゃ、成長もなければ、結局、面白味すらなくなる気がしてきました。

 何を言いたいのでしょうかね…。
 そろそろ寝ます。