緩和ケアで行こう

へなちょこ緩和ケアナース?!のネガティブ傾向な日記です。

リンパマッサージ

2009-03-13 22:59:02 | 患者さん

 最近、毎日、日勤が終了した後の時間、そうですなー、20~21時くらいの間にある患者さんの部屋に毎日訪問しています。

 本田さん(仮称)、女性。
 本田さんの足はリンパ浮腫でパンパンになっています。

 リンパマッサージは、普通のマッサージとは方法が違っているために、肩こりの方へのマッサージのように「ぎゅっ!ぎゅっ!」と揉むことはできません。
 最近は、お金を払ってマッサージを受けたことがある人も多く、リンパマッサージを受けてもらうと、「なに?これ?」と、リンパマッサージに物足りなさを感じる方がいらっしゃいます。
 
 本田さんは、結構、マッサージ経験が豊富な方。旅行先でもラグジュアリーなマッサージを受けたことがあると聞いていたので、
 リンパマッサージを受けてもらう当初は、「リンパマッサージにがっかりしてもらうこと」(あまりにもマッサージの際の手の圧が軽いので)から始めました。
 
 本田さん、最初にリンパマッサージをさせていただいたときは、

 「え~~~~~!」

 っと、その物足りなさに驚いていました。


 月日は流れ、本田さんの体調は、ディープインパクトを受けては安定し…、という状況です。
 マッサージを継続してきたことと、本田さんの足の状態によるのですが、
 本田さんは、徐々にリンパマッサージに「快」を感じてくださっています。

 

 リンパマッサージを行う時間帯は別にいつでもいいのですが、リンパマッサージが気持ちいいと感じていただけるのであれば、夜の方がいい。夜に眠りやすいから。
 本田さんの病状を考えると、リンパ浮腫を増強させない!という実際的な目標を持つよりも、体調が許す限り、「快」を感じることができる状況を優先させる方がいい、そう思います。

 自分の仕事が定時に終わることなど100%なくて、仕事が終わった後に行くほうが、自分にもゆとりができて、心の余裕を持ってマッサージさせていただける…。

 そうは思いつつ、毎日、遅くの時間まで残ってマッサージをやるのも、「しんどいぞー。」と思うこともしばしば。

 
 でも、どうして毎日、続けられるのか。

 それは、マッサージの時間に本田さんとの会話の時間が、とても貴重だから。

 マッサージ中に得た情報が治療の内容を変えることもしばしばなのです。


 私は、マッサージをさせていただく患者さんに冗談で、こう言います。

 「任せといてください。なんたって、私は100人の患者さんにマッサージをしたことがありますから。あ、あくまで、延べ人数ですけど。」

 くすっと笑う患者さん…。



 今夜も、本田さんのマッサージをリンパマッサージを行いました。
 今日も、お話しながら、けらけら~~っと笑いつつ、うとうとと眠っていただきつつ。

 
 ああ。リンパマッサージが、うちのスタッフにもできたらいいな。
 素地は十分できあがっているのだけど。
 まだ、自発的に「やってみよう!」というスタッフはいなくて(残念)。
 
 でも。

 私しかリンパマッサージができないから、自分が患者さんのもとにいって、マッサージをしながら、お話を伺うことはできるからいいかー。
 でもなー、私が休日だと、誰もリンパマッサージをすることができないんだよな。

 スタッフがリンパマッサージに取り組める機会を作らないと。
 リンパマッサージに対する思いは深く。



 本田さんのリンパマッサージを行いながら、本田さんの病状や今後の治療方針だけでなく、ケアの提供の仕方まで考えています。

 リンパマッサージのために、毎日、毎日、帰宅時間が遅くなるのは、体がしんどい。

 でも、本田さんとのリンパマッサージをやっている最中のやりとりは、かけがえのないもの。少しでも「気持ちいい~」と感じることによって、自然な眠りを持っていただきたい。
 
 
 何より、本田さんの体に触れさせていただけるということに感謝しています。
 そして、本田さんの体に「触れている」時間に、いろんな話を伺えることも、感謝しています。


 神さまに感謝しているのではありません。


 本田さんに感謝しています。

 

 マッサージの機会を持たせていただいていること自体に感謝しています。

 


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