緩和ケア病棟に限らず…、のお話です。
しばしば、ナースコールを頻繁に鳴らす患者さんに遭遇します。ナースコールは、患者さんが私たち看護師に「用事」があるから鳴らすものです。
その「用事」というものは、時々、患者さんが思う「用事」と看護師が思う「用事」がずれている?時があります。
看護師が妥当だと思いやすい「用事」としましては、『点滴が終わった』『痛いんです…』『おしっこをしたいのですが…』などなど。看護師が患者さんのもとにいって、何らかの行動をとれる「用事」は「用事」として認めやすいものです。
しかしながら、患者さんの中には、コールを鳴らしてくださるのだけど、「なんのために呼んでくれたの?」と思ってしまうようなコールを下さる方がいらっしゃいます。
一見、用事がないように思われるのですが、実は、そこには患者さんの「不安」や「さみしさ」というものが隠れていることがしばしばです。
先日、夜勤の時に、連日のように夕方になるとコールをひっきりなしに鳴らす患者さんを担当していました。
コールを受けて、患者さんのもとにいくと、「来てくれたん?さみしいわ。」と話されます。うちの緩和ケア病棟は全室個室なので、ひとりで過ごしている患者さんがさみしいと思うのも無理はありません。看護師がそばを離れるとまたすぐにコールがあり…。
しかーし!「さみしい!」と訴える患者さんひとりのそばに、夜勤をしながらずーっとそばにいることはできません。
ここんとこ、「業務をこなさなければならない」という思いに迫られると、看護師は「いーーーーーーーーーーっ!(いらいらのことね)」となるものです。
本音は、「あたしゃ、あなた1人を相手にしている暇はないのよ。患者さんはあなただけじゃないのよぅ!」
看護師さんなら、誰もが経験したことがあるのではないでしょうか、こういうことを。
さて。
先日の「さみしいコール」の患者さんに何とか対応しなければならなかった私が、どうすりゃいいかなーと、うーーーーーんと考えました。
で。
患者さんのもとに行く度に、歌を2曲ずつ歌いました。そして、歌い終わると患者さんに、「次の上演は、10分後です。それまでしばらくお待ちください。」とお伝えして、他の患者さんのもとに行きました。(実際に患者さんのもとに再び訪れるのは、15~20分後なのですー)
患者さんは、「うわー、上手ー☆」と手を叩いて喜んでくれました。
おかげさんで、コールがやや減りました。
さっさと眠前の点滴を使えば眠りについてもらえるのですがね…。どうも、それをすると、自然な「おやすみなさい」じゃない気がしてね…。
眠前の点滴をする定刻の20時まではなんとか患者さんのお相手をして、その後は、点滴でぐっすりと休んでもらいました。
それにしても、即興で歌おうにも、自分の歌のレパートリーがあまりにも貧弱さなので、(自分に)びっくりしました。
レパートリーは最初から枯渇気味でしたので、血迷って「ドナドナ」まで歌ってしまいました。心の中では…、「これって、めちゃ、さみしい曲やん!!」と呟きながら…。そして、歌詞もうそっぱちさ!
急性期の過激に?忙しい病棟では、こんなことすらもやる余裕がないことは承知しております。
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