入院されている患者さんには、ご家族を含めて、どの方もケアは必要とされていると思います。
日々、ケアを行っていると、患者さんやそのご家族のケアに必要とされる時間や「密度」によって、スタッフの注目度と労力と必要性をどれだけ感じているかというのが患者さんによって違ってくるものだと思います。
勿論、それは、患者さんの重症度によることが多々あります。
患者さんの病状の進行は、患者さん自身だけでなく、ご家族の心身の状態にも大きな影響を与えます。
医師や看護師などのスタッフが、時間をかけて、患者さんやご家族のお話を聞き、日々のケアを行っていても、人の最期というものは、そう簡単に受け入れられるものではありません。
悲しみや怒り、後悔、自責、諦め、無力感といった気持ちを抱くのは、当然なこと。少しでも穏やかに、少しでも笑顔で、少しでもありのままの姿でいられるように日々、患者さんやご家族のそばにいつづけようと思っています。
一見、心身ともに「落ち着いている」と思える患者さんやご家族がいます。
「この患者さんには時間をかけてかかわらなくちゃ!」「このご家族のお話はちゃんと聞いておかなくちゃ!」という患者さんがいると、スタッフ全員はそこに必死になります。
カンファレンスの時間は、自ずと、「ケアが必要だ!」と思っている患者さんやご家族についての話し合いに割かれます。
ところが、スタッフがへろへろに疲れるくらい、必死に「ケアが必要だ!」と思っている患者さんやご家族にかかわっているうちに、一見、落ち着いていると思える患者さんのケアへの注目度が下がってしまうことがあります。
ある患者さんやご家族に必死になってケアをしている時こそ、注目度が下がってしまう患者さんがいるのではないかと思います。
スタッフは、意識的に一見落ち着いて見える患者さんを注目していないわけではありません。自分を含めて、患者さんの状況の全体を見渡すだけの余裕がなくなってしまうのです。
自分の役割は、患者さんの状況の全体を見渡して、ケアの必要度が顕在的な患者さんやご家族だけでなく、潜在的な必要度も見極めることだと思っています。
けれど、最近の私ときたら、まるで目が曇っているかのように、目に映っている目の前の現象がケアが必要だと判断できていないときがあります。
日々、患者さんの状況の全体を見渡すだけの余裕を持て!自分に言い聞かせておる次第であります。
「ちょっと待てよ…」と、立ち止まって考えてみること。
これが、患者さんの状況の全体を見渡せるための秘訣かもしれません。
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