早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和十五年六月 第二十九巻六号 近詠 俳句

2022-07-07 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和十五年六月 第二十九巻六号 近詠 俳句

   近詠
地よりそらへ松のみどりの力かな

日本の俳句をおもへ端午の日

柳葉に風に五月の月十五

旅したく桐むらさきを咲くからに

夕照りて街に女が帶のころ

淺みづのながれ左右してお羽黒蝶

爪蓮華瓦は土に還らざり

石のうへまゆみの花の他を散らず

日のそゝぐ梨は袋の花ざかり

端居して小さき仕事印を彫る

石蘭や渓ならずして徑ふかき

かたばみに豆さがりけり鉢の隅

メーデーなどいふものありし武者幟

しづかさの鷽嘴鳴らす簾内

齒痛抱えてさつき平戸の朱をめぐる

麥の秋風雲の山にもとどまらず

田のかすみ夏にて家が白き干す

楠公忌五畿の若葉に降る雨歟

かたばみに豆さがりけり鉢の隅

メーデーなどいふものありし武者幟

  早春社十五周年記念俳句大會
大阪市内 名苑大家邸南陽園 昭和十五年五月五日
記念に宋斤一鈴一句刻の記念句鈴が配られた
  




   囀り
囀りやこゝらは人のふまぬ草

囀りやかすみの中に池さめて

舟のほとり野に出てひろし囀りに

 
水青氏結婚祝賀句會
業や春日のレールつたひ行く

春日の渦ひとところふたところ

春日のちる葉に涼を見たりけり

  二葉會四月例會
花の雨丸山いでゝ軒づたひ

花を追ふて信濃路ゆくと走り書き

花の雨夕づく家並灯をこぼす



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