新年度を迎え、新たな目標を立てて生活している方も多いでしょう。学生たちも学年が進行し、それぞれどのように過ごすかを想像する季節です。目標というのは予期・期待などを統合したものですが、その目標が到達するのに時間がかかったり、難易度が相当に高ければ逆に意欲を減退させてしまいます。
意欲の減退の大きな要因がストレスです。長期にわたって、ストレスから逃れられなくなると、動くことをやめます。学習性無力感と呼ばれるもので、期待しているけど、結果が「負」が繰り返されると、動物は「動き」を止めてしまいます。古くは犬に対しての電気ショックを与える研究で明らかになりました。何度も挑戦するけれど、挑戦すればするほど、負の報酬が与えられると、結局は動かなくなるという結果を示しました。これは最近のロボット実験でも明らかになっており、目標を高くしすぎてしまい、結局何回もチャレンジしても達成できないと、動く範囲を狭めてしまいます。
これはもちろん人間でもいうことができます。英会話やダイエットなど。すぐさま英語がしゃべることができるという妄想・イメージを湧かせ、それを目標にしますが、結局は自分は無理と決断し、それをするのをやめてしまいます。病院の組織にも同じことが言えます。若い時はいろんなことがやりたく、そして病院の問題点も見えますが、問題を指摘すればするほど、もうすでに学習性無力感に支配されている上司に、「やっても無駄だよ」と負の指摘を受け、それが繰り返されることで、仕事を懐疑的に見ていくようになります。人の心のなかの負のスパイラルだけでなく、組織・ネットワーク自体も負のスパイラルに陥ります。
「鉄は熱きうちに打て」と言いますが、その目標が大きすぎると、いつしか無力感を学習してしまうようです。目標は大きなものを持ちつつ、細分化した達成できそうなものも同時に設定するのも必要です。
ドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質によって意欲が操作されている以上、やはり、自己の内的な達成感も必要です。そして、それを更新していくのが正の学習です。患者さんも同じようです。「歩きたい」という願望、そしてそれを目標にしてエクササイズを行いますが、すぐさまそれが達成できるわけではありません。特に病気になる前は当たり前に行えていたものが、それによってできなくなると、「歩く」ていうのは些細な易しいものと潜在的な意識をもってしまいがちですが、すぐさまそれができるようになるわけではありません。だから、もっとも単純な神経回路を利用して、単純な運動で達成するように自己組織化していきます。
時間を飛ばしてしまうと、人は単純な回路のみでその行為を実現しようとします。特に大人の場合はすでに神経ネットワークの構造が完成されており、その構造をどのように機能させるかがポイントになりますが、単純な高速道路により、トップダウン的に達成してしまうと、他の回路を全く利用しなくなります。だから、ある環境では歩けるけど、違う環境では全く対応できない脳と身体を創ってしまいます。多様性はボトムアップの連続性によって創られます。辛抱が必要なのです。
「苦労は幸福のための貯金」
あるルートだけでのリハビリは幸福を創りません。時間をかけることも重要なのです。子どもが環境と身体を相互作用させながら、数年かけて自己の身体内感を育てていくように。しかしながら、大人の脳にそれほどの可塑性はありません。それを見極めるセラピストの視点も必要でしょう。
意欲の減退の大きな要因がストレスです。長期にわたって、ストレスから逃れられなくなると、動くことをやめます。学習性無力感と呼ばれるもので、期待しているけど、結果が「負」が繰り返されると、動物は「動き」を止めてしまいます。古くは犬に対しての電気ショックを与える研究で明らかになりました。何度も挑戦するけれど、挑戦すればするほど、負の報酬が与えられると、結局は動かなくなるという結果を示しました。これは最近のロボット実験でも明らかになっており、目標を高くしすぎてしまい、結局何回もチャレンジしても達成できないと、動く範囲を狭めてしまいます。
これはもちろん人間でもいうことができます。英会話やダイエットなど。すぐさま英語がしゃべることができるという妄想・イメージを湧かせ、それを目標にしますが、結局は自分は無理と決断し、それをするのをやめてしまいます。病院の組織にも同じことが言えます。若い時はいろんなことがやりたく、そして病院の問題点も見えますが、問題を指摘すればするほど、もうすでに学習性無力感に支配されている上司に、「やっても無駄だよ」と負の指摘を受け、それが繰り返されることで、仕事を懐疑的に見ていくようになります。人の心のなかの負のスパイラルだけでなく、組織・ネットワーク自体も負のスパイラルに陥ります。
「鉄は熱きうちに打て」と言いますが、その目標が大きすぎると、いつしか無力感を学習してしまうようです。目標は大きなものを持ちつつ、細分化した達成できそうなものも同時に設定するのも必要です。
ドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質によって意欲が操作されている以上、やはり、自己の内的な達成感も必要です。そして、それを更新していくのが正の学習です。患者さんも同じようです。「歩きたい」という願望、そしてそれを目標にしてエクササイズを行いますが、すぐさまそれが達成できるわけではありません。特に病気になる前は当たり前に行えていたものが、それによってできなくなると、「歩く」ていうのは些細な易しいものと潜在的な意識をもってしまいがちですが、すぐさまそれができるようになるわけではありません。だから、もっとも単純な神経回路を利用して、単純な運動で達成するように自己組織化していきます。
時間を飛ばしてしまうと、人は単純な回路のみでその行為を実現しようとします。特に大人の場合はすでに神経ネットワークの構造が完成されており、その構造をどのように機能させるかがポイントになりますが、単純な高速道路により、トップダウン的に達成してしまうと、他の回路を全く利用しなくなります。だから、ある環境では歩けるけど、違う環境では全く対応できない脳と身体を創ってしまいます。多様性はボトムアップの連続性によって創られます。辛抱が必要なのです。
「苦労は幸福のための貯金」
あるルートだけでのリハビリは幸福を創りません。時間をかけることも重要なのです。子どもが環境と身体を相互作用させながら、数年かけて自己の身体内感を育てていくように。しかしながら、大人の脳にそれほどの可塑性はありません。それを見極めるセラピストの視点も必要でしょう。