2024年4月から始まったNHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」、
予想外と言っては失礼だが、これが面白い、もちろん物語として面白い、
主演の伊藤紗莉も良いし、脇の俳優も良い、
毎日楽しみに観ているのですが、感服するのは物語の面白さもさることながら、
随所にちりばめられている、この国の基礎となったものの考え方と、
21世紀の今、この国が抱えている数々の問題へのアプローチが、
昭和の歴史感の中で見事に昇華されて物語の中に組み込まれているという事、
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たとえば、たびたび登場する『日本国憲法第14条』、社会での平等と差別の禁止を謳っている、
(日本国憲法原文)
すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
日本国憲法 第14条
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これが物語の中でこれを読みあげられると、いやでも“憲法の精神の尊さ”が身に沁み入る、
こんなに分かりやすくて、これほど広く国民に届いた憲法教育は未だかつてなかったのではなかろうか、
1946年(昭和21年)にすでに、法の下での男女・国籍・身分・思想・経済力による差別を禁じているのです、
今のこの国はどうだ?大丈夫か?と問いかけられているのです、
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たとえ、日本国憲法が米国の押し付けであったとしても、
この第14条が示すところの重要さをあらためて噛みしめました、
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民法の改正も物語の中で出て来ました、
常々、民法の古さに驚いていました、
明治時代に作られた法律がまだ残っていたりするのには驚きです、
21世紀の今にそぐわない内容もあるのではないかと、漠然と思っていましたが、
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物語では1946年(昭和21年)の民法改正が扱われていました、
明治以来の家父長制を廃し、女性の基本的権利が認められた現行民法です、
これまた、知りませんでした、
それまで女性は結婚すると家庭に入って、夫や子供に尽くすことが法律で定められていた、
主婦が働くという概念そのものが、無かった世の中だったのですね、
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女性の参政権が認められたのも1946年(昭和21年)4月、
それまで、女性は選挙で投票することも出来なかった、隔世の感あり、
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21世紀の今、やっと次のステップ、夫婦別姓が取り上げられています、
やっとなのか、今だからなのか、今頃やっとなのか?
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痛快だった物語の台詞をいくつか紹介、
進歩的女性たちが皆で民法改正を論じるシーン、
その中で、参加者(役名無し)の1人がこう不満をぶちまけます、
だいたい、こんな感じの台詞、
『男が言う日本の古き良き伝統って、明治以降に出来たものばっかりだから』、
そうなんですよね、これは常々そう思っているので痛快でした、
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なにやら、重々しく語られる日本の伝統、その精神・思想部分はともかくとして、
その形式・所作・習慣・しきたりなどはほとんどが明治以降に作られたもの、
(これについては別の記事で書いてみます)
天皇を神格化して作り上げた、この国初の近代社会が生み出して来た産物、
ほんとうに古来より引き継がれたものは案外少ない、
そんなモノにしがみついていた戦前の男社会への批判です、
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他には主人公 寅子(トモコ)の台詞が面白い、
寅子の夫と兄が戦死、残った次男が『僕がこの家の大黒柱になる』と言うと、
寅子はこう返します、
『男だからって大黒柱にならなくてもいい!やりたいことをやりなさい!』、
男中心社会の終焉宣言、
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年配の民法学者が『か弱き女性を守るのが男の役目です』というと、
寅子はこう返します、
(ちょっと正確ではありませんが)
『言わしていただければ、そういう考えは、女性からすれば大きなお世話です!』、
痛快^^)
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今週は家庭裁判所発足がテーマ、
家庭と子どもの問題、まさしく今この国が抱えている最優先課題です、
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さて、今のこの国、大丈夫ですか?
ここであらためて日本国憲法の3大原則を掲載、
国民主権・平和主義・基本的人権の尊重、
21世紀のこの国は大丈夫ですか?
あらためてこの3つの単語を噛みしめると、
今のこの国、どうも憲法の精神が活かされていないような事象が垣間見えます、
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「虎に翼」は女性弁護士の草分け、初の女性裁判官誕生物語ではありますが、
今のこの国が抱えている問題・課題を、
やんわりとするどく視聴者に突き付けてくる、凄いドラマでもあります、
鏡で見るようなこの国の昭和と令和、
あなたにはどう見えますか?
ぜひ、鑑賞をお勧めします、
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