in a schale

シャーレにとじ込めたありふれた日常。

2014.03.08 DIR EN GREY“DUM SPIRO SPERO” at 日本武道館

2014-03-10 04:35:00 | ライブレポート
武道館1日目。2日目を観る前に書いたものです。


開演前の会場内に流れていたのは『DUM SPIRO SPERO』(以下DSS)収録曲のオルゴールver.でした。
開演時刻を5分ほど過ぎたころに、ふっとそのオルゴールが止み暗転。スクリーンにはこれまでのDSSツアーの日程と会場が映し出されました。そしてドキュメンタリー風なメンバーのインタビュー映像。Toshiyaさんの言葉だったか、「ライブとは…」という発言が耳に残りました。ライブとはなんなのか、という肝心なところが記憶から抜け落ちましたけどね…。たしか発散できる場所、とかそういったニュアンスでした。メンバー1人ずつの紹介映像も流れましたね。若手バンドのワンマンよろしくメンバー名まで出ていて、ある意味新鮮な感じ。

そして、「狂骨の鳴り」とともに、スクリーンにはビリビリと青いスパークが走ります。やがて宇宙的な映像に変わり、2本のスパークからDSSの文字が生まれて、DIR EN GREYの文字と交わりました。ステージにメンバーが1人ずつ登場。最後に現れた京さんはストールを被り、サルエルパンツ?でした。客席のほうに背を向け、ホリ側に備えられたマイクスタンドへ近づいていきます。

スクリーンには、マイクのヘッド部分と京さんの手が映し出されました。一方の手には、アーティスト写真でも使われていた血の色のようなレザーグローブ。最初はあらかじめ撮ってある映像を使っているのかと思ったのですが、リアルタイムの映像でしたね。つまり「THE BLOSSOMING BEELZEBUB」は京さんのみ後ろ向きで、スクリーンに顔がアップで映し出される、という演出で進行していきました。

その顔というのが、またインパクトがすごい。髑髏のメイクが首まで施され、両目に白いコンタクト、頭からすっぽりと布を被っているものだから、まるでおぞましい死神のようでした。眼球の動きまでハッキリわかるので、表情が見られてある意味レアなのですが、夢に出てきそうなくらいホラーでしたね。

「DIFFERENT SENSE」ではステージ後方のトーチ(10本以上あったかも)からボッと火柱が上がりました。この日の席は2階席後方スタンドだったのですが、こんなに離れていても熱さを感じたのでアリーナはすごかったんじゃないかなと。北西、北、北東スタンドには白い布が被せられてつぶされていたんですが、それもスクリーン代わりになっていました。蛸の足が天上近くまで伸びていきます。

続く「OBSCURE」でオーディエンスをヒートアップさせたかと思いきや、「LOTUS」でしっとりと聴かせる。こちらはPVにも出てくる女性の映像が上空を泳ぐように、前述の北側スタンドを漂っていきました。「AMON」では天上近くの日の丸に蛇の鱗のような柄も投影されていました。

INWARD SCREAMに挟まれたセクションは重々しい雰囲気。「蜜と唾」は、歌詞が後方スクリーンに浮かび上がりました。この詩がコンクリ詰め事件を彷彿させるので観ていて少しつらい。でも、いつも見逃してしまっていたShinyaさんの「死姦」の歌詩ときのショットをじっくり拝見。両手のスティックをクラッシュに振りおろし、体を後ろへ反らせるんですね。

「dead tree」のイントロが爪弾かれると、オーディエンスから「おお~」というざわめきが。戦争の記録映像と原子爆弾が落ちていくCGが使われていました。ラストのサビでは白い光が何本もステージ下方から天上へまっすぐに伸びていき、日の丸を照らしているかのようでした。この演出は以前の武道館公演でも観ましたが、やはりグッときます。

「鴉」はCGのグレーのピラミッド状のものに蛇のような細長い物体が貫通していく映像。こうやって書くと生殖器を象徴している気もしてきました(苦笑)。コーラスのためだと思うのですが、Toshiyaさんが白いマイクスタンドをセルフで持ってきたり、片づけたりを何度もやっているので目がいってしまいました。

意外な選曲だったのは「VINUSHKA」。DSSではなく、その前のアルバム『UROBOROS』の象徴のような楽曲なので。最初の薫さんのアルペジオが若干よれて心もとない感じがしましが、曲が進むにつれ壮大に聴かせます。「武道館!」と京さんが煽り、会場内のテンションも一気に昇りつめていきました。「此処が真実だ」と告げるセクションは、わかっているのにライブで聴くと鳥肌モノ。
アコギ1本になるところで、京さんは自分の譜割りで自由に歌っていたのですが、Dieさんは淡々と元のテンポ通りに弾いていて、その対比がおもしろかった。

本編を締めくくったのは「THE FINAL」。アレンジは「THE UNRAVERING」収録Ver.。スクリーンにはアリーナ席の観客が映し出されました。「もっとおまえらの声を!」という煽りで、サビはオーディエンスも歌います。感動というか、武道館全体が不思議な一体感に包まれていて、ふいに涙腺が緩む。空を切るリストカットで、余韻を残しつつ本編終了。



アンコールは「VANITAS」からスタート。スクリーンには、海外ツアーのときのものだと思われるメンバーのイメージ映像も流れていました。画に雪が降っているようなエフェクトもかけられていました。京さんの声は高音を張るところがギリギリでしたが、生々しさはダイレクトに伝わってきます。

楽器陣の構えや雰囲気で、次はどの曲がくるのかなんとなくあれかな?というのがわかるのですが、新曲の「SUSTAIN THE UNTRUTH」はイントロのフレーズが唐突に始まるのでまだ予測ができませんね。
そして、まさかの「蒼い月」。予想外すぎてすぐにタイトルが出てきませんでした。でも、わたしみたいにポカーンとなっている人よりも、すぐにおおー!と反応している人が多かったですね。ライブでは聴いたことがないので比較はできないのですが、当時の音源に近いアレンジでした。いまのDIRが演奏しているので音はぎっしりつまっていましたが、ツタツタ感もちゃんと残っていました。

驚きもそこそこに、「THE IIID EMPIRE」「C」と畳みかけられ、オーディエンスの熱気は最高潮。悲しいかなわたしは気がつかなかったのですが、「C」で「実際 愛したい 目の前の世界を」という歌詩を「目の前のおまえたちを」に代えて歌っていたようです。
京さんが「ラスト! 生きてるか武道館! ひとつになれるか?」と叫び、「残」へ。これまたなんとなくラストは「羅刹国」かな?と思っていたので予想を裏切られました。

DSS色は薄かったですが2日間あるので、あえてこうしたセットリストだったのかと思います。
終演後、京さんも水を吹きかけたり、オーディエンスのほうを向いて頭上で拍手したり、長くステージに残っていました。


そして、スクリーンにはこんな文字が。

Your path goes on
And who knows what lies ahead
DIR EN GREY


あなたの歩む道は続いていく
そして、行く先になにが待ち受けているかを知る者はいない



といったニュアンスでしょうか…? その先に待ち受けているものを誰が知るだろうか、のほうがカッコいいかな。
2日目は「DIABOROS」「流転の塔」「輪郭」あたりの1日目にやっていない楽曲がくるのかなと予測。いいテンションのまま引き継げそうです。



【SET LIST】
SE.狂骨の鳴り

01.THE BLOSSOMING BEELZEBUB
02.DIFFERENT SENSE
03.OBSCURE

04.LOTUS(Synphonic Ver.)
05.Unknown.Desper.Lost
06.AMON(Synphonic Ver.)

INWARD SCREAM

07.蜜と唾
08.滴る朦朧
09.dead tree

INWARD SCREAM

10.鴉
11.VINUSHKA
12.霧と繭
13.暁
14.THE FINAL


- EN -
15.VANITAS
16.SUSTAIN THE UNTRUTH
17.蒼い月

18.THE IIID EMPIRE
19.C
20.残