病院帰りに映画館に立ち寄る。
今年に入って最初の映画館で、こんなに遅いのは今までになかった。
11時半ごろに着いたので、12:00からの「グリーンブック」を見る。
米国のアカデミー賞で作品賞を取った作品で、平日にもかかわらず一番大きなスクリーンの館内はかなりの観客数だった。
以下感想。
「グリーンブック」 2018年 アメリカ
監督 ピーター・ファレリー
出演 ヴィゴ・モーテンセン マハーシャラ・アリ
リンダ・カーデリーニ ディミテル・D・マリノフ
マイク・ハットン イクバル・テバ
セバスティアン・マニスカルコ
P・J・バーン トム・ヴァーチュー
ドン・スターク ランダル・ゴンザレス
ストーリー
1962年、アメリカ。
ニューヨークの一流ナイトクラブで用心棒を務めるトニー・リップは、ガサツで無教養だが家族思いのイタリア系男。
店の改修で仕事がなくなり、バイトを探していた彼のもとに運転手の仕事が舞い込む。
雇い主はカーネギーホールに住む天才黒人ピアニスト、ドクター・シャーリー。
黒人差別が色濃く残る南部での演奏ツアーを計画していて、腕っぷしの強い運転手兼ボディガードを求めていた。
こうして2人は、黒人が利用できる施設を記した旅行ガイドブック“グリーンブック”を手に、どんな厄介事が待ち受けているか分からない南部へ向けて旅立つのだったが…。
寸評
人種差別問題を描いた作品は重くなりがちだが、「グリーンブック」はユーモアのある場面もあって重くはなく肩の凝らない作品である。
その分、内容的には軽いし黒人差別のひどさをひしひしと感じるものではない。
本年度のアカデミー賞で作品賞に輝いたのだが、僕はそれほどの作品とは思えなかった。
トイレは外にある別の貧弱なものだったり、レストランに入れなかったり、夜暗くなってからは出歩けないとか、黒人専用のホテルしか利用できないとか、あるいはバーでは白人から虐待されるなどの黒人を差別するシーンはあるが、どれもがズシリと覆いかぶさってくるような気がしない。
白人トニーと黒人ドクターのやり取りが軽妙なもので、人種差別の重さを吹き飛ばしている。
ユニークなのは黒人のドクターが白人のトニーを雇っていることで、トニーにとってはドクターがボスということになる。
当時としては逆転しているような関係は、南部に行けば行くほど奇妙にみられる。
黒人奴隷と思われる労働者が奇異な目で彼ら二人を見るシーンが象徴的だ。
がさつだが世間慣れしているトニーと、教養と礼儀を持ち合わせているドクターの対比が面白い。
その面白さを中心にして人種差別が時々描かれているという印象を受ける。
ドクターは音楽家としてはもてはやされるが、一歩社会に出れば差別される被害者である。
成功者に入る彼は、黒人社会からも浮いた存在で、一人でカティーサークを飲んで孤独を味わっている存在だ。
トニーが警官を殴ったことで逮捕された時、電話で助けを求めた相手のエピソードが愉快だ。
14週で2回演奏していると言う伏線が生きているのは言うまでもない。
黒人がたむろするバーでドクターが突然ピアノを引き出す場面に感動したが、僕はラストシーンでトニーの奥さんがすべてを見通していて「手紙を有難う」という場面が一番好きだ。
黒人差別がはびこっていたトニー一家だったが、そのわだかまりが消えていたことを感じ取ることが出来た。
よくできた良心作だが、史上最低の作品賞と揶揄する人もいるというのも納得できる内容だ。
でも、最後までくつろいで見ることが出来る作品ではありました。
今年に入って最初の映画館で、こんなに遅いのは今までになかった。
11時半ごろに着いたので、12:00からの「グリーンブック」を見る。
米国のアカデミー賞で作品賞を取った作品で、平日にもかかわらず一番大きなスクリーンの館内はかなりの観客数だった。
以下感想。
「グリーンブック」 2018年 アメリカ
監督 ピーター・ファレリー
出演 ヴィゴ・モーテンセン マハーシャラ・アリ
リンダ・カーデリーニ ディミテル・D・マリノフ
マイク・ハットン イクバル・テバ
セバスティアン・マニスカルコ
P・J・バーン トム・ヴァーチュー
ドン・スターク ランダル・ゴンザレス
ストーリー
1962年、アメリカ。
ニューヨークの一流ナイトクラブで用心棒を務めるトニー・リップは、ガサツで無教養だが家族思いのイタリア系男。
店の改修で仕事がなくなり、バイトを探していた彼のもとに運転手の仕事が舞い込む。
雇い主はカーネギーホールに住む天才黒人ピアニスト、ドクター・シャーリー。
黒人差別が色濃く残る南部での演奏ツアーを計画していて、腕っぷしの強い運転手兼ボディガードを求めていた。
こうして2人は、黒人が利用できる施設を記した旅行ガイドブック“グリーンブック”を手に、どんな厄介事が待ち受けているか分からない南部へ向けて旅立つのだったが…。
寸評
人種差別問題を描いた作品は重くなりがちだが、「グリーンブック」はユーモアのある場面もあって重くはなく肩の凝らない作品である。
その分、内容的には軽いし黒人差別のひどさをひしひしと感じるものではない。
本年度のアカデミー賞で作品賞に輝いたのだが、僕はそれほどの作品とは思えなかった。
トイレは外にある別の貧弱なものだったり、レストランに入れなかったり、夜暗くなってからは出歩けないとか、黒人専用のホテルしか利用できないとか、あるいはバーでは白人から虐待されるなどの黒人を差別するシーンはあるが、どれもがズシリと覆いかぶさってくるような気がしない。
白人トニーと黒人ドクターのやり取りが軽妙なもので、人種差別の重さを吹き飛ばしている。
ユニークなのは黒人のドクターが白人のトニーを雇っていることで、トニーにとってはドクターがボスということになる。
当時としては逆転しているような関係は、南部に行けば行くほど奇妙にみられる。
黒人奴隷と思われる労働者が奇異な目で彼ら二人を見るシーンが象徴的だ。
がさつだが世間慣れしているトニーと、教養と礼儀を持ち合わせているドクターの対比が面白い。
その面白さを中心にして人種差別が時々描かれているという印象を受ける。
ドクターは音楽家としてはもてはやされるが、一歩社会に出れば差別される被害者である。
成功者に入る彼は、黒人社会からも浮いた存在で、一人でカティーサークを飲んで孤独を味わっている存在だ。
トニーが警官を殴ったことで逮捕された時、電話で助けを求めた相手のエピソードが愉快だ。
14週で2回演奏していると言う伏線が生きているのは言うまでもない。
黒人がたむろするバーでドクターが突然ピアノを引き出す場面に感動したが、僕はラストシーンでトニーの奥さんがすべてを見通していて「手紙を有難う」という場面が一番好きだ。
黒人差別がはびこっていたトニー一家だったが、そのわだかまりが消えていたことを感じ取ることが出来た。
よくできた良心作だが、史上最低の作品賞と揶揄する人もいるというのも納得できる内容だ。
でも、最後までくつろいで見ることが出来る作品ではありました。