ある朝 散歩をしていたら
ドームみたいになっている木を 見つけたよ
私の背より 少し高い
緑葉が 丸屋根のように 茂ってる
下に入ると 陽に透ける若葉が
綺麗なレースのカーテンみたい
ここは まるで 秘密の場所
きっと 私だけが 知っている
ふと 心に 木の声が 聞こえた
「遠い昔 木と人は 話をしていました。
今は 木が 心で話せることを 人は知らないでしょう」
木は さみしそうだった
「これからは 一緒にお話ししましょう」
私が言うと
木は うれしそうに 葉を揺らしながら
そよぐ風の歌を うたった
若葉はきらめき ここは 光の部屋みたい
やわらかな陽が ふりそそぐ世界
緑の息吹に 心をあずけて
(2021年5月16日作詩)
(2021年5月10日撮影)
*小さな物語