その古本屋さんには
アンティークのソファが ありました
店の奥の ランプのそば
そこは とても 静かな場所です
深緑色の ビロードの生地
座ると からだが 包まれるよう
お店の本を そのソファで読むと
誰もが 必ず 安らかな気持ちに
初めて 座った時にだけ
そのソファには 秘密がありました
アンティークのソファが ありました
店の奥の ランプのそば
そこは とても 静かな場所です
深緑色の ビロードの生地
座ると からだが 包まれるよう
お店の本を そのソファで読むと
誰もが 必ず 安らかな気持ちに
初めて 座った時にだけ
そのソファには 秘密がありました
眼を閉じると
夏は 涼しい高原に
秋は 美しい森の中
冬は 暖かい暖炉のそば
春は 桜の木の下に
周りの景色が 変わるのでした
そして 本の裏表紙には
それぞれの場所の絵が 浮かび上がります
その本を 買って帰ったならば
心に 灯りが ともるかのよう
すべてのお客さんのための
そんな 不思議なソファでした
(2024年8月10日作詩)
*ファンタジー