まだソ連・ソビエト社会主義共和国連邦、この国とアメリカ合衆国とが、冷戦で争っていた最中の、八十年代頃、私は中学・高校生活を謳歌して、楽しく学習などにも取り組んでいた。あの時代は、私にとり、嵐の前の静けさ、否、白黒映画「会議は踊る」ならぬ、連夜に及ぶ舞踏会のようなものだったのかも知れない。
或る日、母が、ずっと疑問に思っていたらしく、うちでも父が共産党支持者であり、その関係で、ソ連の旗の赤旗の左上のマークがどうも気になっていたらしく、私が当時、地理で成績が良かったのを知っていた母は私に珍しく質問して来た。
曰く、あの、ソ連の旗のマーク、あれは一体、何なんだろうね、と。
そこで私は、あれは、ソ連という国は、労働者が自ら革命を起こして立てた国であるから、トンカチと鎌をあしらって、後の星はきっと、アラビアなどに近かったロシア時代からの影響で、イスラム系の星系統のデザインにならっているのではないのか。
その証拠に、ソ連・ロシアの古い建物には、必ずと言っていい程、上がヘビの頭のように膨らんだイスラム様式の建物であり、中には頂上に小さな星をあしらったものもある。
それらを一言の下に言い含めると、母は「あー、呆れた」と言って、本当に呆れていたようだった。
何しろ、労働者の国、というのには、母なりに非常なる嫌悪感を思い感じたようだった。まさしく労働者の天国のような国である筈が、あのソ連という体制の国家の筈であった。
それでも、その何でも労働労働と、元々父は工場等の労働者であったが、それ以前は農家、行商等であり、後には小鳥屋を経営していた、いわば自由業である。母も美容師、事務員他、それ以前も以降も勿論、工場等でも勤めた。
しかし、その何でもありの、労働者がおッ立てた国、国家、というものに、母なりに何とも言えない味気無さ不気味さを感じたのであろう。母は「日本がそんな国じゃなくて良かったわー」とまるで命拾いしたかのような反応であった。
もしも、日本がそんな、赤旗を掲げる国と成れば、当然、天皇陛下などもいなくて、独裁国家で、ソ連、中国、北朝鮮、東欧、等々の社会主義国家の体を為すのが、どうも母には怖ろしく感じたようだった。(それが日本国民一般の正直な反応かも知れない)。
ちょうどその頃、世界の社会主義・共産圏が皆、次々とその看板を降ろしだした。
我が家の母にとっては、そんな事はどうでも良かったかも知れないが、自由主義・民主主義陣営のアメリカ・ヨーロッパ・日本等にとっては朗報だった。
ソ連が夢見た鎌とハンマーを国旗に掲げた労働者本位の国家。そんなものは実際には幻想に過ぎなかったのだ。労働を強制する国家像。それらは正に地に堕ちた。
常に時代は変り続ける。
北海道のシンガーソングライターの中島みゆきは歌「世情」の中で、
「世の中はいつも変わっているから頑固者だけが悲しい思いをする
変わらないものを何かに例えてその度崩れちゃあ
そいつのせいにする (繰り返し)
シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく 変わらない夢を流れに求めて
時の流れを止めて 変わらない夢を見たがる者たちと闘うため」
とある。
金八先生のドラマ番組のラストシーンで使われた印象深いシーンの有名曲だが、そっくり、過去の遺物たるマルクス・レーニン主義へと連なって行こうとした者達へのレクイエム・鎮魂歌ともいえる曲である。
以上。よしなに。wainai
中島みゆきさんの歌詞も、そういう意味で考えたら…まさにあの当時の「世情」だったのかもしれませんね。
凄く考えさせられました。
今から考えても、
あのソ連の国旗は、
我が国の日の丸や、
アメリカの星条旗、
フランスのトリコロール・三色旗、
ドイツの渋い国旗、等々よりも、
非常にダサい感覚が今でもしている。
それよか、今のロシア国旗の方が、
数倍はあの頃よりは垢抜けているとさえ思います。
今のプーチン氏の復権があるのかは不思議で、謎で、難しいですが、
新アメリカ大統領になるトランプ氏がついていれば、鬼に金棒な気もする私です。
あの戦争が、うやむやになるのは少し気の毒ですが、いつまでも戦時下にあるというのは異常な気がするんです。
ですから、即時停戦を、是非ともトランプ新大統領には見せて行動で示して欲しいと思います。
以上。よしなに。wainai