地裁レベルですが、
動物の占有者の責任(民法718条1項)に基づく損害賠償請求につき、原告Xが骨粗しょう症であったことを理由に、損害額が減額されるという判断が出ました。
その前提として、民法718条1項についてサラッと。
動物による加害につき、動物の所有者ではなく、動物の占有者であると規定しています。
動物による加害を直接制御できる者に責任を負わせようとする趣旨からです。
今回は、原告X(60代女性)が公園を散歩中、Yの連れていた大型犬がYの手元を離れ(綱がYの手から離れた)[=Yの過失]、Xに接近し、Xが転倒して骨折した、[=X傷害]という事例です。(実際に犬が接触したのかどうかについて争いがあるほか、その他事実関係は割愛)
[Yの過失行為]と[X傷害」という結果につき、因果関係(原因→結果の関係)は認められるが、原告Xの骨粗しょう症が寄与しており、その分(請求額の2割)減額する、と判断したわけです。
本件の詳細を知りたい方は、こちら(PDF)。
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ところで、
「所有」と「占有」の区別は大丈夫でしょうか?
日英クラスの生徒さんは、「死者の占有」についてお話したので、すぐピンときますよね?
注:「死者の占有」…(簡単に言えば)死体から物を取った場合、窃盗か占有離脱物横領か?