ポジョンが「陛下、ユシンが流刑地にはおらず、百済で密偵をしていたので捉えました。」と報告すると、トンマンは「何! 密偵だと?」と強い口調で叫ぶ。
「罪人が流刑地から逃げて百済に侵入するとは許しがたい行為。すぐにユシンを処刑すべきです。」という重臣たちの要求の声に、「私が百済の偵察を命じた」と言い放つトンマン。
という場面から始まります。
流刑と言いながらユシンへの信頼が揺らいでいなかったことを知ったピダムは、動揺しながらも何とか女王の心をとらえようと画策するのですが、、、
ピダムを演じているキム・ナムギルの演技がここへ来てますます光ってきましたねえ。
振り返れば、最初に登場したころの天真爛漫の野生児のような時から、トンマンを助けて新羅の政権奪取に自分も参加すると決心したあとの大人になったころのピダム、そして、実の母なのに息子として接しようとしないミシルと対峙するときの複雑な感情の場面、ミシルが死んだあと野望を抱きユシンと伽耶を排除しようとふてぶてしく振る舞うようになったピダム、そして政治的野望と個人としての嫉妬や愛情が交錯する今回のような場面での感情表現。
最初全50話で終わる予定だったのが好評につき62話まで延長になることが決まった時から、ピダムの役割は当初の計画にも増して重要になったんじゃないかと私は想像しています。
おそらく50話なら、トンマンが女王になるまでのストーリーを描けば良かったのであって、その話の中心はトンマンvsミシルの力関係が刻々とトンマンに傾いてついにトンマンが勝つというもので良かったのです。
しかし62話に延ばすからにはミシルが死んでからも話の緊張感を維持し続けないといけなくなった。そのためにミシルが生きている時代から布石を打っていき、ミシルの死後ピダムvsユシンの対立構造の中で女王として悩みながら生き抜くトンマンの一生という展開になった。
ユシンは伽耶の民を守る為に苦しい決断を何度も迫られるが、絶対に伽耶を守るという決意とトンマンをささえ新羅のためにつくすという思いは揺らぐ事がない。しかし、ピダムはその複雑な境遇だけに、また自分の親派は単に利害だけで利用し合おうとしている輩であるがゆえに、策を労し心も揺れ動く。その難しい役をキム・ナムギルは熱演している。ここまで熱演してピダムの印象が強烈になると、今後が大変だというところまで心配してしまうくらい。
ってことで、55話はとても良かったです。
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