大阪アメリカ村に「楽天食堂」という小さな店があったのを知っている人は多いと思う。
とても人気があり、私も週に1度はお世話になっていた。私はここで「酸辣」(サンラー)=酸っぱくて辛いという中国料理の味付けにはまった。また、大豆や小豆などの豆を混ぜて炊いた玄米ごはんの美味しさも教えてもらった。
しかし「楽天食堂」はもう無い。
ここの経営者は自分で麺を打ち、ギョーザの皮も自家製、中華鍋で麺をゆで、何回かに一度はゆで水を交換するという丁寧な仕事をしていた。噂によると、「この仕事は、一生懸命やっても報われない」と思ってやめてしまわれたということだ。
値段はやや高めだったが、僅か10席かそこらの店で、客単価は1000円程度だったと記憶している。私のように近所で働いていて頻繁に利用する常連も多かったが、アメリカ村という土地柄、観光的に訪れる一見客も多く、そういう人は客単価も高い代わりに滞留時間は長かったと思う。
四川風というか、「担々麺」「酸辣麺」「水餃子」などの料理はみな美味しく、個性的な店だったので、閉店はとても残念だった。
普通のラーメン屋なら客席10席でも結構ビジネスとして成り立っている。昼は11時頃から2時半くらいまで客は絶えないし、夕方から深夜までかなり稼働時間が長い。品揃えは、ラーメンのトッピングと店によってはスープの種類の組み合わせでラインナップし、あとは白飯か、少し具をのせたごはんとキムチくらいで、準備すべきものはシンプルだ。
しかし、楽天食堂は、麺類の他に自家製の皮でつくったギョーザや、杏仁豆腐などのデザートを品揃えしていたし、定食のような幾つかのおかずが付いたメニューもあった。きっと手間はかかっていたし、「報われない」と感じるのも仕方がなかったのかも。
その後、カレー屋さんになり、これまた「炭屋町酒店」となって、ご主人は試行錯誤を続けておられるとのことだが、まだ「報われる」業態には行き着かないようです。私もアメリカ村から離れてしまったので、最近の実態は把握していない。今日でも行ってみようか・・・。
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