JTDの小窓

川崎市幸区下平間の鍼灸・手技療法『潤天堂』院長のあれこれなつぶやき

生情報1 回転性めまい

2013-02-06 | 臨床・治療
「ぐるぐるめまい&吐き気の一症例」

早朝、朝ごはんを作りに起きた妻が「助けて」と言って戻ってきた。
キッチンに立ってまもなく周囲がぐるぐる回る(回転性)めまいと吐き気が襲ってきたという。耳鳴りや難聴はない。仰向けに寝かせて眼球を見ると眼振が起こっているのを肉眼でも確認。後頭部や肩、項部がガチガチに硬いので横向きに寝かせ、これらと肩甲骨の間までの背中をまず指圧でほぐしてみた。だいぶほぐれたが、ぐるぐる回る感じにあまり変化がない。血圧を測ると101/64、脈拍64で普段と変わらない。そこで、中渚穴に円皮鍼を留め、以前めまい発作に効果があった励兌穴(第2趾爪甲の際の中央←深谷式取穴)にゴマ粒くらいの大きさの灸をすえてみた。最初から熱感を感じていたので左右10壮ずつでやめる(反応が顕著にでている処だと、ツボの温度知覚が鈍くなり熱感を感じない場合がある。そいういうときは感じるまですえる。この時は最初から熱感を得ていたのでとりあえず10壮ずつやってみた)。施灸後、変化なし。仰臥での眼振もおさまらず。次に仰臥のままで百会穴に30壮くらいすえてみた(めまいには百会をとり、めまいが止まるまですえろといわれるので)。すると、仰臥でのめまいは止まり、眼振もややおさまったが、上体を起こすとまたぐるぐるが始まった。そこで上体を起こした姿勢で更に百会に15壮追加。上体を起こした姿勢でのめまいは止まったが、今度は立ち上がるとぐるぐる。視点を変えて今度はもう一度仰臥になってもらい、百会と左右の風池を低周波でつなぎ、筋収縮の確認した状態で1Hz30分間かけてみた。抜鍼すると、残っていた側頚部のこりがきれいに緩んでいた。本人的には「少しよい感じ」。だが、まだ完全ではない。ダイニングに移動できるようになったので少し食事をとるが、また気分が悪くなりソファに横になる。出来うる限りの身体症状所見は取れたので、あとは体が修復に専念できるよう横になって休むよう(寝るよう)指示した。仮眠したあとでなおめまいが出るようなら点滴をしてもらいに行こうと話した。2時間後起こしに行くと顔色もよくなっており、すんなりと立ち上がった。「大丈夫だ。。さっきのは何だったんだろう」と言うくらい。めまいと吐き気はそのまま消失し、その後も12キロの娘をだっこして歩いても大丈夫だった。

印象としては、百会-風池のパルス(低周波)30分であきらかに側頚部の筋がゆるみ、それを元に時間の経過が血流の改善を後押しし、効果があらわれたように感じる。が、それまでの治療の蓄積効果ももしかしてあったのかもしれない。

一番最初に行なった励兌穴(中央に取る深谷式取穴)のお灸で以前めまいがピタリととまったのは、「ぐるぐるめまい(回転性めまい)」でなく、「フワフワするような非回転性のめまい」のことが多かった(自分の臨床経験として)。もちろん回転性めまいにも効果をあげている先生もいらっしゃると思うので、回転性めまいに効果がないというわけではありません。



※ちなみに翌朝もめまい・吐き気なく起床し、現在も再発をみていない。






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