都内に出かける用事ができたので、その前に「キリコ展」を見てきました。
◆キリコをまとめて見るのは初めて
会場はパナソニック汐留ビルの4階。新橋駅から地下街を通って行けます。夕方だったのでちょうど季節のイルミネーションがきれいでした。
◆4階ミュージアムの窓から
うっかりするとミュージアムとは気がつかない(ショールームみたい)ような入口から受け付けを通って入場。展示は大きく5つの部屋に分かれています。
最初の部屋は「形而上絵画の発見」。まさに「キリコ」です。
◆謎めいた憂愁
なんでしょうこの妙な感じは。遠近法が普通じゃない(消失点はどうなってるの?)。眼と頭が混乱する絵です。そして奥の石膏像は昔デッサンでよく描いたヘルメス像ですが、こんなに不気味なヘルメスは初めて見ました。31才の時の作品ということですが、そんな若いうちにもうこの画風になっていたのか。。。
しかし次の部屋「古典主義への回帰」に入ると、今度は見なれた「キリコ」じゃない作品ばかり。
ルノワール風の「裸婦」やセザンヌ風の「林檎と葡萄」、マグリットみたいな「家具」。黙って見せられたらとてもキリコとは思えません。
◆林檎と葡萄のある静物
油彩と一緒に素描が多数展示されていましたが、これがけっこういい感じでした。特にキリコが好きだったという馬、猫、犬の素描は柔らかく味があって生命感があります。
続く「ネオ・バロックの時代」に入るとまた画風が変わってきます。
◆「赤と黄色の布をつけた座る裸婦像」
◆田園風景の中の静物
他にもきわめて写実的な風景画や肖像画など、最初に見た「形而上絵画」を描いた人物とは思えません。
そして次の「新形而上絵画」へ。何が「新」かというと、自分の作品をもう一度リメイクしたものが一杯あるそうです。
◆不安を与えるミューズたち(同名のブロンズ像もありました)
◆吟遊詩人
またここに戻ってきたのか、という感じですね。しかしすごい変わりよう。何かが変わる時はけっこうなエネルギーがいると思うのですが、70歳を超えてこの創作意欲はどこからきたのか。
最後は「永劫回帰」ということで、う~ん、もはややりたい放題?
◆燃えつきた太陽のあるイタリア広場
◆神秘的な動物の仮面
でも何だか力が抜けて飄々とした感じがします。絵で遊んでいるというか。。。「神秘的な水浴場、散策からの到着」(画像なし)なんか、相原コージのマンガを連想しました。
こうしてみるとキリコという画家の画風の変化がよくわかる展覧会でしたが、もうちょっと若いころの代表的な作品が見たかった気がします。ただ意外とよかったのがブロンズ彫刻(こちらも画像なし 残念)。人物だけでなく、キリコの描いた広場や建物、室内を立体にしたら面白そうだな~と思いました。
◆先ほど上から見たイルミネーションで1枚
(2014.12.18)