神戸港に出かける用事があったので、この機会にポートアイランドにある神戸青少年科学館に立ち寄ってきました。
目的は屋上のドームに設置されている英国クック社製の25cm屈折赤道儀(1924年~)の見学。
この望遠鏡は日本に輸入された大型屈折赤道儀としては、国立科学博物館に展示されている英国トロートン&シムズ社製20cm屈赤(1880年~)、京都大学天文台の独ザートリウス社製18cm屈赤(1910年~)に続き、日本で3番目に古いものだそうです。
このクック望遠鏡と京大のザートリウス望遠鏡の2台は今でも現役で観測に使用されている貴重な望遠鏡になります。
平日の科学博物館で流石に小学生がいっぱいで賑やかでしたが、曇りがちの空ということで14時半からの天体観測室公開の時間帯の見学者は私だけであったので、気兼ねなく写真撮影ができました。
このクック望遠鏡については下記のブログにこの望遠鏡の由来が詳しく記載されていました。
https://double-cluster2018.amebaownd.com/posts/3867149
もともとは神戸海洋気象台に設置されていたこの望遠鏡、長い間使われずに放置、保管されていたあと、縁あって現在の地に移設されて活躍の場が与えられたこと、感慨深いですね。
なお、上記のブログにはクック望遠鏡のことだけでなく、我が国における反射鏡制作のパイオニアである中村要氏関連の資料が数多く載っていました。書籍「中村要と反射望遠鏡」(冨田良雄、久保田諄)にも掲載されていないような貴重な写真等の資料がありました。
1984年に新設された神戸市立青少年科学館天体観測ドームに設置されたそうです。
その際、西村製作所によって念入りにオーバーホールされたとのこと。
最近も再整備されたのか、実に美しい姿をとどめています。
科学館のエントランス
4階建ての建物の上(5Fの部分)に観測ドームがありました。
T COOKE & SONS LTD LONDON & YORK の刻印がありました。
木製の微動ノブやクランプノブ。真鍮製のドロチューブ。どれもクラシックです。
25cmの主鏡の上に載っているのは15cmの屈折。その上の小型のタカハシの屈折の接眼部にはカメラ、対物部には太陽フィルターが取り付けられてました。これで太陽をモニター画面に投影しているようです。
現在はモーターで駆動してますが、オリジナルはこの重錘式の運転時計が使われていたそうです。
花山天文台のクック望遠鏡は現在も重錘式で駆動してます。
この2台のモニターに太陽が映し出されてました。写真にはシャッター速度の関係か太陽が写ってませんね。
駆動装置は正確に追尾し、太陽を追い続けてました。