樹木の伝染病「ナラ枯れ」が乙訓地域でも拡大している。被害を完全に抑える方法はないとされるが、対策の手を緩めれば事態はさらに深刻化していく可能性があり、2市1町は頭を悩ませている。
ナラ枯れは、カシノナガキクイムシ(カシナガ)がコナラやシイなどの樹木に病原菌を持ち込み、吸水機能を弱めて枯死させる。葉が赤くなり、季節外れの紅葉のようになる。
向日市は2008年1月以降、はり湖山や向日神社周辺で被害を確認した。これまで約1千万円の予算を投じて対処。枯死木を伐採したのをはじめ、カシナガの侵入や飛散を防ぐため、保護剤やウレタンマットで木を覆う手法も試みた。しかし、根本的な対策には至らず、はり湖山では約70本が枯れ、向日神社周辺でも6本が枯れた。
市は、被害木への対処に当たる一方、今後は予防にも力を入れる方針で、向日神社周辺の勝山公園や勝山緑地などの木をビニールで覆うなどの対応を進める。必要経費400万円を盛り込んだ本年度一般会計補正予算案を、開会中の定例市議会に提案している。
長岡京市の西山でもナラ枯れが問題化している。これまでも浄土谷地区などの山中で被害は確認されていたが、市内から西山を眺めて分かるほどになった。長岡天満宮境内でナラ枯れが確認されるなど、市街地にも広がっている。
長岡京市は、西山で枯死したコナラを切り、薬剤駆除の対策を推進。しかし、08年度伐採したのは10本だったが、09年度は43本に増えた。本年度はさらに数が増える見込み。
市は新たな予防策として昨年度から、これまで人工林での作業が中心だった西山森林整備事業で、天然林におけるコナラの大木の伐採にも力を入れ始めた。カシナガの被害が出る前にいち早く天然林の木材を有効活用する狙いで、市農政課は「ナラ枯れは、西山森林整備事業のエリアではない場所にも多い。拡大している原因ははっきりせず、山中での被害状況の把握は難しいが、府や森林総合研究所などと協力して調査を進めたい」という。
天王山でもナラ枯れが確認され始めた。大山崎町は昨年度初めて枯死したコナラとシイ計3本を伐採。「山のふもとから見てもナラ枯れが点在しているのが分かるようになってきた」(町経済環境課)といい、府を含めた広域連携での根本的な対策が急務になっている。
【 2010年08月31日 13時22分 】京都新聞
ナラ枯れと里山の健康
ナラ枯れは、カシノナガキクイムシ(カシナガ)がコナラやシイなどの樹木に病原菌を持ち込み、吸水機能を弱めて枯死させる。葉が赤くなり、季節外れの紅葉のようになる。
向日市は2008年1月以降、はり湖山や向日神社周辺で被害を確認した。これまで約1千万円の予算を投じて対処。枯死木を伐採したのをはじめ、カシナガの侵入や飛散を防ぐため、保護剤やウレタンマットで木を覆う手法も試みた。しかし、根本的な対策には至らず、はり湖山では約70本が枯れ、向日神社周辺でも6本が枯れた。
市は、被害木への対処に当たる一方、今後は予防にも力を入れる方針で、向日神社周辺の勝山公園や勝山緑地などの木をビニールで覆うなどの対応を進める。必要経費400万円を盛り込んだ本年度一般会計補正予算案を、開会中の定例市議会に提案している。
長岡京市の西山でもナラ枯れが問題化している。これまでも浄土谷地区などの山中で被害は確認されていたが、市内から西山を眺めて分かるほどになった。長岡天満宮境内でナラ枯れが確認されるなど、市街地にも広がっている。
長岡京市は、西山で枯死したコナラを切り、薬剤駆除の対策を推進。しかし、08年度伐採したのは10本だったが、09年度は43本に増えた。本年度はさらに数が増える見込み。
市は新たな予防策として昨年度から、これまで人工林での作業が中心だった西山森林整備事業で、天然林におけるコナラの大木の伐採にも力を入れ始めた。カシナガの被害が出る前にいち早く天然林の木材を有効活用する狙いで、市農政課は「ナラ枯れは、西山森林整備事業のエリアではない場所にも多い。拡大している原因ははっきりせず、山中での被害状況の把握は難しいが、府や森林総合研究所などと協力して調査を進めたい」という。
天王山でもナラ枯れが確認され始めた。大山崎町は昨年度初めて枯死したコナラとシイ計3本を伐採。「山のふもとから見てもナラ枯れが点在しているのが分かるようになってきた」(町経済環境課)といい、府を含めた広域連携での根本的な対策が急務になっている。
【 2010年08月31日 13時22分 】京都新聞
ナラ枯れと里山の健康