
京都府長岡京市の西山森林整備推進協議会は、森林の整備や保全を進めていくための指針を示した「西山森林整備構想」を改定した。同協議会の発足から本年度で10年を迎えるのを機に、現在の西山の植生分布や利用のあり方を再検討し、今後の森林整備や環境教育の場としての整備などの方針を盛り込んだ。
同協議会は、西山の森林約800ヘクタールの整備や保全を目的に、2005年に発足。市や学識経験者、市森林組合、環境団体、企業などで構成する。06年に策定した整備構想に沿って取り組みを進め、昨年度末までに計261・68ヘクタールを整備した。
整備構想の改定は、昨年度にワーキング会議を重ねて実施した。
構想では西山の状況として、マツ枯れの進行やナラ枯れの発生・拡大、シカとイノシシによる被害の拡大などがあると説明。その影響で水源涵養(かんよう)機能の低下や景観の悪化、放置竹林の拡大などが起こると懸念を示した。
そこで、水源涵養や土砂災害の防止、木材生産の保全といった森林の持つ多面的機能を守るため、計画的な間伐や枝打ちなどの手入れを行うとともに、搬出間伐を推進し、資源を循環利用する人工林の育成を行うとした。
市民が望ましい森の姿について考察できる空間を創出するため、西山ファミリー環境探検隊や小学校の環境教育を行い、西山キャンプ場周辺の整備、里山施業体験、里山の観察・記録、シンポジウムの開催なども実施していくとした。
改定された整備構想は、16日に市立図書館で開かれた同協議会の総会で承認された。
また、総会では、同協議会会長に徳地直子京都大フィールド科学教育研究センター教授を再任し、整備構想の改定を報告する環境講演会や間伐材と竹の利活用など本年度事業も決めた。総会に先立ち、「天然水の森」事業に取り組むサントリーホールディングスから、西山保全に対する寄付が行われた。
【 2015年04月18日 09時58分 】