大阪府が、企業誘致の在り方を抜本的に見直す検討を始めた。大阪の成長戦略に掲げた「ハイエンド(高付加価値)都市」と「中継都市」を念頭に企業立地促進補助金を現行の製造業に限らず、サービス業などにも広げる方針。経済発展する新興国との都市間競争を背景にした方向転換は、一方で地域産業の象徴だった中小製造業の意識改革を迫っている。
大阪ものづくり優良企業賞で表彰される経営者。大阪を象徴する中小製造業も意識改革が迫られている=21日、大阪市中央区
■行政意思□
「行政意思という府庁のメッセージ性を持った企業戦略を出していくことで練り直しをする」
橋下徹知事は27日朝、恒例の記者レクでこう説いた。企業誘致を議題の一つに挙げたこの日午後の戦略本部会議は来月2日に延期になったが、「要件に当てはまれば順番に補助金を出すやり方をやめて企業を選別する」(橋下知事)方向で議論は進むことになる。
■受注減少□
2011年度予算案の編成をめぐって執行部と府議会各会派が向かい合った18日の意見交換会-。産業振興策について、大阪維新の会が関西国際空港を拠点にする全日空の格安航空会社(LCC)設立を踏まえて「観光だけでなく航空業として(在阪の)ダイハツ工業とのリンクなども模索すべき」と提案したが、橋下知事は「製造業ではなくサービス業に変えなければいけない」と“身内”会派に反論。
「中小企業育成のためサービス業ではなく身に付く産業を育てるべき」とする自民党にも「大阪をもう一度製造業の町にするのはあり得ない」と言い切るほど、府内製造業に対する橋下知事の現状認識は厳しい。
09年版大阪経済労働白書は府内製造業の環境変化について「親企業の海外進出や競合する輸入品の増加による受注減少など国際環境変化による国内生産の縮小」を指摘している。
■海外進出□
「新しい分野や世界の市場に打って出る企業を応援する」と橋下知事は、ものづくりビジネスセンター大阪や府立産業技術総合研究所の支援施設活用を呼び掛けるが、果たして大阪の製造業界はグローバル化の波に乗れるのか。
大阪府ものづくり振興協会が26日開いた新年交流会。「デフレに耐えてえとのうさぎのように跳び上がる年に持っていこう」と訴えた瀧山謙会長は、人工衛星「まいど1号」を打ち上げた東大阪市での取り組みを例に「大阪には実力がある。複数の企業が集まれば海外進出も可能」と語った。
府などが顕彰する大阪ものづくり優良企業賞の最優秀企業賞を受賞した日本スペリア社(吹田市)の西村哲郎社長は「(進出先が)大阪の姉妹都市なら推薦状などが功を奏する。金銭面だけでなく安心感のあるサポートがあれば」と行政支援の在り方に問題提起している。
大阪ものづくり優良企業賞で表彰される経営者。大阪を象徴する中小製造業も意識改革が迫られている=21日、大阪市中央区
■行政意思□
「行政意思という府庁のメッセージ性を持った企業戦略を出していくことで練り直しをする」
橋下徹知事は27日朝、恒例の記者レクでこう説いた。企業誘致を議題の一つに挙げたこの日午後の戦略本部会議は来月2日に延期になったが、「要件に当てはまれば順番に補助金を出すやり方をやめて企業を選別する」(橋下知事)方向で議論は進むことになる。
■受注減少□
2011年度予算案の編成をめぐって執行部と府議会各会派が向かい合った18日の意見交換会-。産業振興策について、大阪維新の会が関西国際空港を拠点にする全日空の格安航空会社(LCC)設立を踏まえて「観光だけでなく航空業として(在阪の)ダイハツ工業とのリンクなども模索すべき」と提案したが、橋下知事は「製造業ではなくサービス業に変えなければいけない」と“身内”会派に反論。
「中小企業育成のためサービス業ではなく身に付く産業を育てるべき」とする自民党にも「大阪をもう一度製造業の町にするのはあり得ない」と言い切るほど、府内製造業に対する橋下知事の現状認識は厳しい。
09年版大阪経済労働白書は府内製造業の環境変化について「親企業の海外進出や競合する輸入品の増加による受注減少など国際環境変化による国内生産の縮小」を指摘している。
■海外進出□
「新しい分野や世界の市場に打って出る企業を応援する」と橋下知事は、ものづくりビジネスセンター大阪や府立産業技術総合研究所の支援施設活用を呼び掛けるが、果たして大阪の製造業界はグローバル化の波に乗れるのか。
大阪府ものづくり振興協会が26日開いた新年交流会。「デフレに耐えてえとのうさぎのように跳び上がる年に持っていこう」と訴えた瀧山謙会長は、人工衛星「まいど1号」を打ち上げた東大阪市での取り組みを例に「大阪には実力がある。複数の企業が集まれば海外進出も可能」と語った。
府などが顕彰する大阪ものづくり優良企業賞の最優秀企業賞を受賞した日本スペリア社(吹田市)の西村哲郎社長は「(進出先が)大阪の姉妹都市なら推薦状などが功を奏する。金銭面だけでなく安心感のあるサポートがあれば」と行政支援の在り方に問題提起している。