桜の季節を目前に控え、向日市寺戸町の市文化資料館で、春のラウンジ展示「史料でめぐる乙訓・桜の名所」が始まった。江戸中期から昭和初期にかけての、乙訓の名所にちなむ歌や絵図、日記などが紹介され、往時の桜の分布や歴史とともに、桜を楽しむ人々の様子が時代を超えて伝わる。
全部で10点を並べ、江戸後期の向日神社の神職で国学者としても知られた六人部是香(むとべよしか)が桜を詠んだ長歌2点のうち1点は、初めての展示となる。亡くなる2年前に、善峯寺(現京都市西京区)に花見に訪れた折に詠んだとされ、スズメやカエルが鳴く自然の音、また帆を立てた舟が淀川を行き交う情景を歌っている。
もう1点は、数えで26歳の時の作品。平田篤胤(あつたね)の門人になって間もないころに作られ、桜花を詠み込むことで、日本の心を観念的に歌い上げている。
また、向日町の商家鳥羽屋の手代、留吉による日記「鳥羽屋日並(ひなみ)帳」では、主人が向日山や長岡(天満宮)の「桜見」に、桜ずしを作って出かけたなどの記述がある。是香や鳥羽屋主人も名を連ねる和歌集の草稿「社頭桜和歌詠草」では、向日山の桜を詠んだ9人の和歌が収められている。
さらに、江戸後期以降、神職や各地区の氏子による植樹で向日神社が桜の名所となったことが分かる文書や、観光ブームの大正末期に作られた、京都市街地から大阪湾までの桜の名所などを描いた「乙訓名所図絵」も展示している。
4月22日まで。月曜と3日は休館。無料。
【 2012年03月31日 11時58分 】
全部で10点を並べ、江戸後期の向日神社の神職で国学者としても知られた六人部是香(むとべよしか)が桜を詠んだ長歌2点のうち1点は、初めての展示となる。亡くなる2年前に、善峯寺(現京都市西京区)に花見に訪れた折に詠んだとされ、スズメやカエルが鳴く自然の音、また帆を立てた舟が淀川を行き交う情景を歌っている。
もう1点は、数えで26歳の時の作品。平田篤胤(あつたね)の門人になって間もないころに作られ、桜花を詠み込むことで、日本の心を観念的に歌い上げている。
また、向日町の商家鳥羽屋の手代、留吉による日記「鳥羽屋日並(ひなみ)帳」では、主人が向日山や長岡(天満宮)の「桜見」に、桜ずしを作って出かけたなどの記述がある。是香や鳥羽屋主人も名を連ねる和歌集の草稿「社頭桜和歌詠草」では、向日山の桜を詠んだ9人の和歌が収められている。
さらに、江戸後期以降、神職や各地区の氏子による植樹で向日神社が桜の名所となったことが分かる文書や、観光ブームの大正末期に作られた、京都市街地から大阪湾までの桜の名所などを描いた「乙訓名所図絵」も展示している。
4月22日まで。月曜と3日は休館。無料。
【 2012年03月31日 11時58分 】
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