
定数20をめぐり22人が激戦を繰り広げた京都府向日市議選。共産党は6人全員が当選、4年ぶりに単独最大会派に返り咲くことが確実となり、議会の勢力図に変化が出そうだ。一方、「第三極」としてアピールした諸派新人は落選、維新の党新人も最下位当選で、依然として「ムラ型選挙」が根強いことを印象付けた。
■安保法案批判を前面に
共産は得票数が3位だった山田千枝子さん(67)を筆頭に、全員が700票以上を獲得、安定した戦いぶりを見せつけた。選挙戦中盤に安全保障関連法案が衆院特別委員会で可決されると、各候補は「強行採決 怒」と書かれたプラカードを持って練り歩いたり、街頭宣伝で「共産党候補への一票は戦争法案への怒りの一票です」と訴え、幅広く支持を集めた。
■自民、公認増で苦戦
一方、自民党は2011年の前回選挙より2人増の3人の公認候補を出したことがあだとなり、新人の清水文子さん(66)が落選。選挙前には党内部から「公認が多すぎる」と批判の声も上がっていた。清水さんを含め、保守系候補は立候補を決めた時期が遅く、十分な準備ができなかったこともマイナスに働いた。
民主党は前回選で公認候補2人が落選した反省から、公認を1人に絞り、選挙の実働部隊となる連合京都を推薦候補の応援に回したことが奏功した。結果、推薦の近藤宏和さん(36)は4年前の府議選向日市選挙区に立候補した知名度もあって得票数4位、公認の和島一行さん(51)も7位といずれも上位当選となった。
公明党は現職が引退し、新人の福田正人さん(58)を含む3人を擁立、徹底した地域割りで全員当選を果たした。社民党は現職の飛鳥井佳子さん(63)が議席を守った。
■「第三極」伸びず
維新は昨年12月の衆院選で、同市で4443票を集めており、共産の4546票とほぼ互角だった。最下位当選という結果に選対幹部は「国政選挙と市議選は違う。地道な地域活動の大切さをあらためて認識させられた」と話した。
諸派の向日市・生活者ネットワーク新人佐々木郁子さん(50)は、選挙前から「台風の目」として注目を集めていた。1年前から精力的に活動し、上位当選を予想する選対もあったが、届かなかった。
ある選対幹部は「ビラをまくなど空中戦が通用しにくい地域であることがあらためて分かった。地元から推されているかいないかも当落に大きく影響する」と分析した。
■投票率は最低
今回の市議選は投票率が41・87%と過去最低を記録。選挙期間中も国政の問題を除いて各候補者の主張が対立する場面は少なく、盛り上がりに欠けた。
改選後は共産が最大会派となることは確実なものの、安田守市長を支持する勢力は過半数を超えるとみられ、ただちに市政運営に影響を与えることはなさそうだ。ただ、8月には正副議長などの人事も予定されており、市議会のパワーバランスの変化が注目される。
【 2015年07月21日 09時33分 】