
京都府大山崎町のアサヒビール大山崎山荘美術館で、企画展「光と灯(あか)り」が催されている。明るさをもたらす光、胸に秘める祈りの光、生活を彩る光-さまざまな光をテーマに美術館のコレクションから絵画や陶磁器など約80点を紹介している。
地中館「地中の宝石箱」では「自然の光、祈りの光」と題して、美の巨匠たちが描いた光にスポットを当てている。
パウル・クレー(1879~1940年)の「大聖堂(東方風の)」は点描の彩色と柔らかなタッチが印象的だ。直接的な光の表現はないが、祈りをささげる人々の心に差す光を感じさせる。
ピエール・ボナール(1867~1947年)の「開いた窓辺の静物」は、日常に降り注ぐ、夕暮れの光を描写している。
クロード・モネ(1840~1926年)の「エトルタの朝」「睡蓮(すいれん)」「日本の橋」では、光の画家と呼ばれた巧妙な表現力が際立つ。
本館では、「民芸運動」に携わった作家の作品を中心に、釉薬(ゆうやく)を施された陶磁器が展示されている。
釉薬は自然や人口の光を受けることで、光沢や色彩などさまざまな表情を見せる。陶芸家・河井寛次郎(1890~1966年)の「海鼠釉片口(なまこゆうかたくち)」をはじめとする作品を楽しむことができる。
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実業家・加賀正太郎(1888~1954年)が住んでいた当時から残る暮らしの灯りも見どころの一つだ。2階への階段では、2羽の鳥が仲良く並ぶランプシェードと外光を取り入れて輝くステンドグラスの異なる光が来場者を包み込む。
【 2013年12月03日 10時52分 】