新しい「まち」が、いよいよ開く。17日に京都府向日市寺戸町と京都市南区にまたがる大型複合商業施設「イオンモール京都桂川」が全面オープンす る。キリンビール京都工場の閉鎖から15年。向日市が「北の玄関口」と位置付ける北部地域の中核施設で、まちづくりが大きく前進する。新市街地で住宅の建 設や企業の立地が進み活気づく中、交通問題や地元商店への打撃など懸念材料も抱えている。今後の課題やイオンモール開業の影響を探った。
■新住民2~3千人も
新市街地の向日市寺戸町では計画も含めて現段階で、6棟のマンションが建設される予定だ。一戸建ても加えると約1100戸に上る見込みで、2~3千人規模の新住民が流入する可能性がある。
新住民をまちづくりに巻き込むことが、地域活性化の一つの鍵となる。寺戸町連合自治会の中村尚夫会長(75)は「防災や防犯、交通問題、ご近所福祉といった地域の課題にあたるため協力は必要」と話す。新住民の自治会への加入率を高めたい考えだ。
ただ、近年では自治会に加入する世帯は減少傾向にあり、市市民参画課は「自治会をバックアップし、地道な活動を積み上げていきたい」とする。
同連合自治会はマンションの業者などを通じて、入居者に自治会へ加入するように呼び掛けるという。市市民参画課はポスターやチラシを作成してPRする。
■商業関係者、対策さまざま
新しいイオンモールの商圏は乙訓2市1町や京都市南西部、亀岡市など広域にわたる。地元の商業関係者にはイオンの集客力に対する期待と不安が入り交じり、さまざまな対策を講じている。
イオンモールが立地する向日市の激辛商店街はイオン開店後にスタンプラリーを行う。地域とイオン内の加盟店で激辛料理を食べた人に景品を贈る企画で、回遊性を高めて同市内への誘客を図る。
長岡京市商工会と市は今月から小規模企業向けの「小さな一歩支援事業」を実施している。従業員5人以下の商業・サービス業などに補助金を支給して後押しする。
また、2市1町の商工会と亀岡商工会議所は今月初め、地元商品のPRと地域経済の活性化のため特産市を開いた。
京都市西京区の高島屋洛西店とショッピングセンター「ラクセーヌ」は、6月から手作り市「らくさいマルシェ」を開催。高島屋は「地域密着型の取り組みで洛西エリアに足を運んでもらえるようにしたい」としている。
【 2014年10月12日 10時24分 】