新型コロナ終息に向けて、行政能力の真価が問われている厚労省だが、それはそれこれはこれ、トランス脂肪酸使用制限への取り組みは、一体全体どうなっているのだろう。
ショートニングやマーガリン、ファットスプレッドに含まれる人工のトランス脂肪酸の健康への有害性が明らかになったのは2003年、WHOは警告を発した。
トランス脂肪酸を取りすぎると、動脈硬化の原因となるLDLコレステロールが増え、動脈内膜に炎症が起きやすくなるといわれている。それまでは、マーガリンは健康に良いなどと言われていた。何が本当か、消費者は気をつけなければいけない。
トランス脂肪酸は心筋梗塞や脳卒中など循環器系疾患のリスクを高める成分を含んでいるらしい。
過日マーケットに、昔懐かしい某社のビスケットがあった。郷愁を感じて買おうとしたが、原料表示を見て愕いた。WHOの根絶目標期限が迫る今もなお、ショートニングが使われている。これはイカンと、同社の別のビスケットを手に取る。これもショートニングを使っていた。
既に欧米の菓子類の原料表示からは、ショートニングやマーガリン、ファットスブレッドなど硬化油系の名称は消えている。
試みに成城石井の輸入菓子を見れば分かる。欧米各国の焼き菓子類に、トランス脂肪酸は使われていない。
日本での人工トランス脂肪酸の扱いは、この20年間、業者の自主判断に任されて来た。トランス脂肪酸はあらゆるタイプのスナック菓子や加工食品、パン類、それにレストランのメニューに含まれている。
厚労省は、国民の健康に真剣に取り組んでいるのか疑念を抱かざるを得ない。取り組みの姿勢に、消費者保護への視点が欠けているように思える。政府が動かないのは、国民の大多数が政府の手ぬかりに寛大(無関心?)だからだろう。国民の大半が声をあげれば、行政は無視できない。
新型コロナでの初動の遅れも、国民の生命よりも防疫機関の事情や態勢の方に配慮が偏った結果と見られている。これも、国民の大半が異議を申し立てないからである。
政治が正しく行われるためには、良識ある国民の数が増える外はない。その国の政治は、国民の良識を映す鏡であると言われている。