道々の枝折

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発酵食品

2012年10月10日 | 食物・料理

 発酵食品が健康に好いと喧伝されている。塩麹や甘酒を常用しているお宅が増えているらしい。

私たちが日常口にしている味噌、醤油、酢、清酒、味醂などは、麹菌のはたらきを利用してできているのだから、さらに麹菌を直接口にしなくても発酵食品は充分摂取していると思うのだが、塩麹の人気はなかなか高い。生きた菌を摂取するところに効果の期待があるのだろう。

乳酸菌も麹菌に劣らず健康によいとされている。かつては乳酸菌といえばもっぱらヨーグルトだった。ヨーグルトは動物由来の乳酸菌だが、植物由来の乳酸菌というものもある。この菌は植物の表面に天然の状態で付着している。

数年前、ある本に触発されて、半信半疑でザワークラウトを作ってみた。天然の乳酸菌の働きで、キャベツが腐敗しないことを実際に確かめてみたかっただけなのだが、存外うまくできた。爾来、自家製ザワークラウトは、毎朝の食卓に欠かせない定番食品になっている。

ザワークラウトがうまくいくなら、キュウリのピクルスはどうかと欲が出た。それも一般のレシピの酸味液に漬けるものと違い、ザワークラウト同様に天然の乳酸醗酵で酸味をつける方法で。

原始的なピクルスは、酢を使わず乳酸発酵に依存していたはずと考え、ネットを検索してみたら、ポーランドでのピクルスづくりに、ワインビネガーを使わず乳酸菌の酸味を用いる製法を載せたブログ記事が見つかった。

キュウリ・ナスとニンジン・ダイコンなどの根菜は、キャベツのように天然の乳酸菌が濃密に表面に付着していない。糠漬けは、糠に常在している乳酸菌を利用して、これら乳酸菌が常在しない野菜を乳酸発酵に導く、極めて優れた加工法だ。

ビネガーを使わないで、天然乳酸菌だけで上記の野菜をピクルスにするには、糠を発酵させた液を使ってみてはどうだろう。ぬか漬けのようにぬか床をかき回す手間がかからず臭くも成らないから、万事洋風好みの若い人が食べる漬け物としては都合良いと思う。実験してみなければいけない。

発酵食品でも、気候風土の違いで二手に分かれる。日本を含む東南アジアは麹菌を利用した食品が多く、ヨーロッパは酵母を利用した食品が多い。食文化の根を掘り下げると、目に見えない常在微生物に行き着くのは、興味深いことである。
 


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