大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

米オレゴン州が最低賃金を時給1700円に大幅引き上げ

2016年03月04日 | 日記

 2016年3月3日、オレゴン州知事は最低賃金を大幅に引き上げる法案にサインした。

 フォーチュンガーディアンなどによると、オレゴン州は州を3地域に分けたうえで、2022年までに、ポートランド都市圏の最低賃金を時給14.75ドル(1700円:1ドル=115円で計算)、中規模郡の最低賃金を時給13.5ドル(1550円)、残る地域の最低賃金を時給12.5ドル(1440円)に引き上げる法律を成立させた。ちなみに現在の最低賃金は9.25ドル(1060円)。

 アメリカでは連邦政府が時給7.25ドル(830円)の最低賃金を定めているが、州や市郡がそれより高い独自の最低賃金を設定する動きが強まっている(詳しいデータはこちら)。オレゴン州の動きは、その中から生まれたもの。

 なおこれまで州の最低賃金は、州のすべての地域に一律に適用される仕組みだった。これに対し今回オレゴン州は、地域を3分割して、それぞれ独自の最低賃金を設定した。これはアメリカでははじめての試み。これは、経済が良好な地域が、実態に合わせて高い最低賃金を設定するのを可能にするもの。

 なお、WSJ(3/3)などによると、こうした動きへの反対も一部では強くあり、先月、アラバマ州では、市や郡が州より高い最低賃金を設定することを禁止する法律を制定。その動きにミシガン州とオクラホマ州が続いている。

★ 2016年5月1日追記

 2016年4月28日のWSJによれば、アラバマ州で市郡が州を上回る最低賃金を定めることを禁止する州法が制定されたことに対し、バーミンガム市の住民が市民権が侵害されたとして連邦裁判所に訴えた。WSJは、州法によりとくにマイノリティーが大きな不利益を被ることが問題視されていると伝えている。バーミンガム市は2017年半ばまでに市の最低賃金を10.1ドル(1100円:1ドル=110円で計算)に引き上げる条例を制定したが、上記の州法により条例の効力がなくなった。裁判が決着するには数年かかる見込み。