アメリカで株と国債が同時に下落するという非常にめずらしいことがおこっている。
一般的に、リスクの高い株が売られるときは、安全な国債が買われて国債価格は上昇(利回りは低下)する。
ところが、下のグラフにあるようにアメリカでは先週、株(青い線)の下落と同時に、国債利回り(赤い線)の上昇(価格は低下)がおこった。
これは、とにかく手元の現金を可能なかぎり積み増しておきたいひとたちが、市場が吸収できないほど大量の国債を売っていることを意味している。
ひとことでいえば、信用のひっ迫(現金が足らない)がおこっている。
これを解消するため、ニューヨーク連銀は2020年3月12日(木)、国債を担保とした3か月の短期融資(レポ)を1兆ドル(110兆円:1ドル=110円)、1か月の短期融資を5,000億ドル(55兆円)実施すると発表した。
また、Fed(米連銀)は現在、短期資金市場の安定を目的に短期国債の買い入れを月600億ドル(6.6兆円)おこなっているが、長期国債の売りがふくらんでいるため、今後は国債買い入れの対象を長期国債にまで広げることも決定した。
週末に株価が反騰したこともあり、巨額のレポ実施に対し、実際の応札はそれほどなかったが(3か月物、1か月物ともに1,000億ドル=11兆円前後)
、1日(翌日物)、14日の短期融資(レポ)はあいかわらずきわめて高い水準で推移している。
3月17-18日(火-水)のFOMC(公開市場委員会)では1%の利下げが決定されると考える人が多いが、はたして国債、金融市場は安定に向かうのであろうか。
注意してみていきたい。
2020/3/16追記
2020年3月15日に緊急のFOMCが開催され、1%の利下げを決定した。