戦後、日本の電気製品は、外貨獲得の花形商品としてもてはやされた。
その影で、家電製品の裏で支えたものがある。ベークライトと呼ばれる、人類が最初に手にした、プラスッチクである。この商品は、加工性に優れており、ラジオの基盤に始まり、現在のパソコンの基盤に至るまで、使用され続けてきた。このベークライトが曲者で、紙に塗布し過熱すると紙ベークライト、布に塗布し過熱すると布ベークライトと、どの様なものとも相性が良く加工がたやすく出来る。いち早く目を付けたのが家電メーカーである。複雑な配線を基板上に設置する事によりラジオやテレビの小型化に成功し、利益を上げてきた。その過程で、より耐火性、耐電性能を上げるため、石綿を混入し石綿ベークライトが作られた。強度が飛躍的に向上し、回路のプリント化などもあり、家電メーカーには無くてはならない素材となった。生産ライン上の従業員に、アスベスト疾患が多発したようであるが、実態が厚生労働省も把握できず、旧松下電器、現パナソニックが自ら社員のアスベスト罹患者の労災申請をして始めて、アスベスト使用企業認定を受けた事を、知りました。しかし他の家電企業はそうした事を未だ認めずにいます。現在ではアスベストベークライトは、使用されていませんが、且つて家電製品の生産ラインに携わった人たちの、健康問題が気になります。因みに、鍋の取っ手もアスベストベークライトでした。