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オクソコ



オクソコ・アヴァルサンOksoko avarsanは、白亜紀後期マーストリヒティアン(Nemegt Formation)にモンゴルのネメグト盆地に生息した、前肢の小さいオヴィラプトル類で、2020年に記載された。ネメグト層では6番目のオヴィラプトル科で、9番目のオヴィラプトロサウルス類である。
 属名のオクソコとは、アルタイ神話の3つの頭をもつワシで、ホロタイプの集合化石が3個体の頭骨を含んでいたことから。種小名はモンゴル語で「救われた」の意で、盗掘から取り戻されたことを意味する。

他のオヴィラプトロサウルス類と区別されるオクソコの特徴は、頂点が肥厚したドーム型のトサカが鼻骨と前頭骨から同等に構成されている;後眼窩骨の前頭骨突起が背側を向いている;頸椎のエピポフィシスが大きい;機能的に2本指の手;腸骨のbrevis fossaに余分の稜がある、などからなる。

前肢は全体として短い。オクソコでは上腕骨、尺骨、第2中手骨の長さの合計が、大腿骨長の109%である。この比率はコンコラプトルで112%、ヘユアンニアで128%、シティパティでは162%である。上腕骨、前腕、手は大体同じくらいの長さであるという。

手の第I指は太く、大きな鎌状の末節骨があるが、他のオヴィラプトロサウルス類と比べて大きいわけではない。第II指はより細長い。第III中手骨は非常に縮小している。指骨III-1は第III指の唯一の指骨のようで、その先端ははっきりした関節顆condyleになっていない。(と本文に書いてあるが、Fig.3fをみると関節面があるようにも見えるが。)指骨III-1は第II中手骨を超えて伸びてはいないので、外観上2本指だったのではないかといっている。

系統的に並べてみると、前肢の縮小はオヴィラプトル科の中でもヘユアンニア亜科で生じており、特にこの仲間が中国南部からモンゴルのゴビ地域へ進出した時期と一致しているという。

オヴィラプトル類といえば、シティパティのように羽毛の生えた長い前肢で抱卵したイメージがあるが、前肢が短いと抱卵するのに不便ではないのだろうか。産卵数が少ないとか、関連があるのだろうか。


参考文献
Funston GF, Chinzorig T, Tsogtbaatar K, Kobayashi Y, Sullivan C, Currie PJ. 2020 A new two-fingered dinosaur sheds light on the radiation of Oviraptorosauria. R. Soc. Open Sci. 7: 201184. http://dx.doi.org/10.1098/rsos.201184
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